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戦闘員Aですが何か?   作者: マネージャー
第一章 東雲編
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最初のミッションは一万円稼ぎます ー12ー

「着替えも終わったし、会長に連絡するか」



 トイレは当然無人で簡単に着替える事が出来、会長に連絡した。



『ちょっと! 非通知設定にした? 普通に掛けたら番号がバレるわよ』



「あっ……」



 今さら切ったところで、会長の携帯には番号は残ってしまう。



「戦闘員なの? 携帯を持ってるなんて本当にレアなのね」



 会長は俺をプレイヤーだと思わず、『レアキャラだから携帯を持ってるんだ』って感じで納得してるみたいだ。



「出来れば……その番号を消すなり、忘れるなりして欲しいんですけど」



「いいわよ。その代わり私の番号を消してよ」



 番号もお互いが消す事で忘れてくれる……消すのは勿体ない気がする。会長のミッションに成功、失敗しても終わり次第で移動するなら。



『良いんじゃないの? 終わり次第戻ってくるのは正解。報酬は結果で変わるけど、黒雪に直接貰うわけじゃないから。いずれ交渉とかに使えるかもだし。けど、現実では駄目だからな』



 俺が黒雪じゃなく、会長と頭の中で呼んでるから知り合いだとレムリアにバレてしまった。



『それは大丈夫。会長に話し掛ける勇気はないから』



「何で黙るのよ。私の番号を消すつもりはないから?」



「いやいや……ちゃんと消します。作戦実行について考えてたんですよ。ここまで広いとかは思ってなかったんで。黒雪さんは何処にいるんですか?」



「参考書や赤本が置いてるコーナーよ」



 盗もうとしてるのが渋い。結構値段は高いのは分かるけど。



「反対側ですね。俺は漫画、ライトノベルコーナーにいるんで」



 2Dにして本屋のマップを確認。参考書コーナーで全く動かないキャラがいる。これが会長だと思う。その反対側は漫画、ライトノベルコーナーで店の三分の一を占めており、トイレに止まっているキャラが俺ってわけだ。ミニキャラでも戦闘員だと分かるぞ。



「中にいるのね? こっちも戦闘員を呼び出して、作戦を開始してもいいの?」



『はぁ……あんまり機能を理解してなさそうだから、アドバイスしてあげるわ。黒雪に2Dにするように言って。切り替えが出来るのも知らないかもしれないわ』




 レムリアがそう思ったのは、俺がいる事を2Dにして確認してなさそうだから。『中にいるのね?』と疑問系じゃなく、『見つけたわ』とかなら切り替えたと分かる。



「か……黒雪さん。戦闘員を出す前に2Dに切り替えてくれませんか? ボタン操作でも出来るけど、声にも反応するんで」



「そんな機能があったわね。必要ない物だと思ってたけど」



 まぁ、VRが目的で2Dや3Dを使う人は少ないかも。会長もその一人のようだし。



『VRとか3Dだと戦闘員を自分の周囲にしか出せないのよ。けど、2Dなら戦闘員の登場位置を一体ずつ決められるの。全てのコーナーは無理でも分断は出来るでしょ』



 俺もそんな事が出来る事は知らなかった。ゲームの中で、レムリアが公式キャラなんだと初めて実感出来たかも。俺はその説明をそのまま会長に伝えた。



「本当に出来たわ! OKを押せば、戦闘員が出てくるのね。逃げるのも2Dがいいわけ?」



『駄目ね。2Dは接触された時点でアウト。人と人の隙間を通り抜けるのも無理。3Dは周囲を確認しながら逃げやすいし、VRなら店員が手を伸ばしくる当たり判定を避ける事が出来るから。場面場面で切り替えるのが理想なんだけど』



 レムリアが言いたい事は分かる。切り替えるのに一瞬暗くなる時間のロスがある。リアルタイムで進むからその間に捕まるかもしれない。

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