最初のミッションは一万円稼ぎます ー8ー
「店の警備は厳重よ。万引きするのを一目見られると、店員同士で連携してくるの。逃げ道を塞がれ、最後には三、四人で襲い掛かってくるわけ」
監視カメラじゃなく、店員に盗むところをバレる時点でセンスがない気がする。それにNPCに捕まるなんて、力ずくで突破出来ないと正義のヒーローの出番がないぞ。
「貴方達だけでさせる気はないわ。実行するのは私よ。一番良いのは貴方達が壁役となって、万引き自体をバレないようにする。無理だった場合は数と数での勝負よ」
「キー!」
「キー!」
「……馬鹿だろ」
戦闘員が次々と返事する中、俺は思わず本音が漏れてしまった。
「えっ! 戦闘員がしゃべった……しかも反対するわけ? やっぱりバグがあったようね。すぐに」
「バグじゃないから、解雇しないでください! レアキャラなんです。プレイヤーじゃないですから」
流れ的に通報されるか、売られるかのどちらか。ここは頭を下げるのが一番。しかも、土下座なら普通の人は躊躇う。
『土下座までする? 咲哉にはプライドとかないわけ』
黒雪じゃなく、レムリアに言われるなんて。
(俺自身が土下座してるんじゃなくて、分身がしてるだけですから)
現実じゃなくて、ヒーロー作戦の俺。しかも、戦闘員だから問題なし。そんなフィギュアもありそうだし。
「そうなの? そこまで言うなら試してみようかな」
初めて時間が経ってないせいか、戦闘員にレアがあると信じたみたいだ。
「作戦を決行するわよ。私についてきなさい」
黒雪は戦闘員を連れて、目的の場所へ行こうとする。行った事がある場所へ瞬間移動するのではなく、徒歩で行く感じだ。
「だから! 貴女は馬鹿なんですか? レアキャラの話を聞いてください」
「土下座までしたくせに、私を馬鹿扱いする? 助言キャラとでも言いたいわけ? 何か聞いた事がある声が、余計に腹立ってくるんだけど」
そんな事言われると、俺も黒雪の声を聞いた事があるような気がしてきたんだけど、それは置いとくとして。
「戦闘員を壁役とか、入ってくる時点で警戒するでしょ。立ち読みしてる戦闘員とか、スーパーで買い物してる戦闘員を見た事がありますか?」
そんな戦闘員がいたら、それこそレアキャラだと思ってしまうぞ。
「その姿って変身前ですか、後ですか? 姿自体怪しいから。後なら、人の姿で警戒を解きましょうよ」
捕まったりしたら正体を明かす、怪人の登場だ。最初から怪人の姿で入ってきたら、誰も買い物しに来たとか思わないだろ。




