最初のミッションは一万円稼ぎます ー7ー
『無事に狙った場所に来れたみたいね。咲哉は声に出さなくても、頭で言葉を思い浮かべば私に届くから。私と繋がってるのを、他の人に知られたくないし』
レムリアの声がチュートリアルの時みたいに頭の中に声が流れ込んでくる。今回は俺が声を発しなくても頭に言葉を浮かべるだけで良いらしいけど、妄想とかも届いてしまわないか心配だ。
『そんなの見たくもないけど、弱味を握れるなら……ね?』
(そんな事よりもだ! 話が違うじゃないか。今回の雇い主は女性のはずだろ? 目の前にいるのはダンディな老紳士だぞ)
俺は話をすり替えるよう、目の前にいる男に注目させた。吸血鬼というか、怪盗というか、黒マントに礼服。変身後のような、変身前のような。
『無所属の黒雪って名前ね。レベルが五になった事で戦闘員を五人雇えるようになったばかり。無所属は雇える人数は少ないけど、どの所属の戦闘員もOKなのよ』
黒タイツばかりいるのは偶然みたいで、無所属はどの戦闘員も雇える。レベルが上がれば雇える数も増えるけど、所属組とは倍は違うらしい。まぁ、俺も無所属だけど、戦闘員が戦闘員を雇う事なんて出来ないんだろうな。
『出来ないわね。Pガチャも戦闘員がメインだけど、咲哉の場合は道具ばかり出てくるはずよ』
『心の声の返事はいいから、老紳士だって事に』
「ん? 一瞬モザイクが掛かってたように見えたけど、出てきたのは普通の戦闘員ね。気のせいだったのかしら?」
老紳士の声は似合わない女の子の声を出した。女性アバの姿で男の声も嫌だったけど、男性アバで女の声も何か……。裸の姿にモザイクをつけてくれたのはレムリアだろうけど、『いやん!』という渾身の叫びもなかった事にされたみたいだ。
『何? 私を疑ったわけ。プレイヤーが女性って事しか聞いてなかったんだけど?』
これは俺に対する嫌がらせだな。っと、これ以上考えると読まれてしまう。
「部下も出来た事だし、失敗し続けたミッションに挑戦するわよ。貴方達は私に協力しなさい」
売られる事もないし、合成される事もない。失敗続きのミッションに協力なんて、やっとヒーロー作戦をやるみたい感じだ。
「私達がするのは本屋で万引きよ」
(普通の犯罪! 正義の味方と戦うんじゃなくて? せめて、万引きじゃなくて襲撃だろ)




