最初のミッションは一万円稼ぎます ー6ー
「裸でも、元の状態で戻って来れたんだから文句を言わないの! 怪獣の姿で帰って来たらドン引きだし、咲哉の価値は無くなるんだから。ほら、新しいタイツよ」
戦闘員じゃないと価値がないなんて、酷い言われようだ。俺は渋々新しい黒のタイツを身につけるけど、俺の裸を見て、『恥ずかしい』とか反応して欲しかったんだけど。
「……今度こそは外に出て、自分で事件を探すからな」
そんな事を言ってみるけど、流石に俺だけでは何をすればいいか分からないし、何も出来る気がしない。
「仕方ないわね。咲哉みたいな戦闘員が必要な場所に行けるよう調整してあげるわよ。始めたばかりの人なら戦闘員は貴重な戦力になるはずだし」
レムリアは何もない場所でタイピングを始めた。俺に合ったプレイヤーを探してくれてると思っていいんだろうか?
「それが出来るなら、最初からしてくれよ! 合成されるのなんて結構なトラウマになるほど怖かったんだからな」
「ゲームなんだから、ランダム性があった方が面白いでしょ。それに私が選んだ相手なんか拒否しそうな感じだったし」
それは否定出来ないし、そう言われると不安になってくる。
「要望を聞いてくれるなら、女子がいいな。アバターじゃなくて、プレイヤー自体が。さっきはバニーガールのような服を着た女性が、おっさん声で話した時はどれだけ心が砕けそうになったか」
人のアバターは別に性別を同じにしなくてもいい。変身願望があるのなら、男が女になりたいという気持ちもあるはずだからな。
「我が儘言うわね。女性で始めたばかりの人なんて限られてくるし、この時間にヒーロー作戦をやってないと……いたわ! さっさと玉の中に入って、ガチャされなさい」
「ちょっと待った! このタイツでいいのか? ちゃんと穿けてないんだけど」
レムリアはそれを気にせず、俺をガチャの中に押し込み、ガラガラが回り始めた。
「キー!」
「キー!」
「キー!」
「いやん!」
連続で黒タイツの戦闘員達が登場して、俺はどうにかマスクや上半身まで隠せたんだけど、下までは間に合わなかった。女性が見てるのなら、何かを叫ぶのなら、この言葉しかないだろ。




