東雲崩壊序曲 ー17ー
「ここを狙う説明になってない」
「簡単じゃないですか? 区が消滅するなら、新しい区を手に入れる。これ以上は増える事はないでしょうからね」
フローラの言う事は難しい。新しい区を作るなら、運営に頼めばいいはず。東雲区の消滅が本当なら、一つ空きが出来るわけだし。これ以上という言葉はおかしいはずだぞ?
「狙うのなら、弱ってる区を選ぶのは当然でしょ?」
「……」
店長は何も言わない。
「見つけたぞ! 貴様が」
声を発したのは東雲。ボロボロの服装になっており、俺と視線が合うなり、『変身』とポーズを取らず、言葉にしただけで、全身が黒甲冑の姿になり攻撃を仕掛けてきた。
それをゲス大佐が防いでくれた。東雲の気配を探知してたわけだ。というか、一言も話さないけど、レムリアが教えろよ。
「くそっ! 邪魔をするな。コイツを倒せば、やり直す事が可能なはずだ。影野も手を貸せ! お前がコイツを呼んだのがそもそもの間違いだったんだ」
東雲はフローラを影野と呼んだ。これが彼女(彼)の本名なんだろう。けど、フローラや他の怪人誰一人として動かない。
「残念だけど、私達は既に貴方側から離れてるの。影野とも呼んで欲しくないぐらいよ。それに元に戻らないわ。それは分かってるでしょ? 正義と悪の両方手にする違反もしたわけだし」
正義の組織、悪の組織の両方持つ企業はある。けど、プレイヤーとして両方手に入れる事は無理。それを東雲はした。悪の基地にも部屋があったのに、東雲は正義のヒーローだった?
「……けど、私の主はチャンスを与えてくれるみたいよ。ゲス大佐も、私の提案に乗れば、今回で手を引くわ」
フローラは『指揮権』とか言ってたし、『私の主』とも言うなら、東雲とは別の上司がいるわけだ。
「提案だと……」
「ええ。主はゲーム好きでしてね。普通の戦闘に飽きてるんですよ。こちらの提案するゲームの勝者がこの区を手に入れる事が出来る。勿論、この区を持っているゲス大佐側が有利にしてあげましょう」
ゲーム。カジノであった阿弥陀ゲームみたいなのを、この区でするつもりなのか?
「東雲が憎い、私が憎い者もいるでしょうね。全員役割を持つゲームだから。咲哉さんや連れもゲス大佐側として参加してもらうわ。その名も限定鬼ごっこよ」




