東雲崩壊序曲 ー10ー
「咲哉も咲哉だよ。これは金を請求されてもおかしくは……」
金って、レムリアが勝手に使ったので帳消しに……とかはならないレベルですか?
「一億を払わされるのはちょっと……って、何してるんだ?」
レムリアは会長をもう一度見ただけでなく、体を嗅ぎだした。会長はまだ動きを止めたまま。俺がしたら絶対殴られるか、それ以上だな。
「酒の匂いがね?」
レムリアは服の中に手を入れた。勝手に道具を取り出そうとしてる。他から見れば黒雪の服の中に手を入れる形なんだけど、俺としては会長とレムリアが絡んでる姿に見えるエロい光景。
「な、何? 私にそんな趣味はないんだけど」
会長はようやく反応したけど、レムリアを殴れるわけもなく、為すがままにされてる。
「ああ……イメージを壊すようだけど、レムリアは酒が好きなんだよ」
「すでに壊れてるわよ! 酒を出せばいいんでしょ」
その言葉にレムリアは会長から離れた。ビールやハイボールを出していくけど、『違う』とレムリアは言いながら、それを冷蔵庫に冷やしていく。盗む気満々だ。
「それ! それよ! 最高レアのお酒。出る確率が一番低い奴。神々のお酒、ネクタルよ」
ヒーロー作戦のガチャで一番出る確率が低いのがお酒? ネクタルの説明は『神々のお酒』と書かれてるだけで、効果は何もないんだよ。
「仕方ないわね。それをくれるんだったら、私の存在を知った事や、咲哉の事も許してあげる。協力もしてあげるから」
「別に構わないですけど」
レムリアは了承を得ると、会長からネクタルを奪い取り、ラッパ飲みはせず、グラスに入れて呑み始めた。
「うんうん……あっ! 私の事を知ったから、会長も途中でヒーロー作戦を辞めれないからね。咲哉と一緒に一億稼がないとね」
「酔うのが早すぎでしょ。そんな冗談……」
会長は俺を見たけど、何も返事が出来ず、首を振ってしまった。こっちも本当なのか分からないんだから。
どうやら、俺は会長を道連れ……本当の仲間にしてしまったみたいだ。勿論、俺は会長に殴られた。現実で会った時は蹴りが飛んできそうだ。




