東雲崩壊序曲 ー8ー
「そもそも、道具がないわね。ガチャを引いてもハイボールとかビールなんかの酒類ばかりが出るのよね。二十歳でもないから飲むわけにもいかないし」
ゲームの世界だから酒は使っても大丈夫なんだけど。酒類の説明を見ると『攻撃力や防御力の上昇、時間の経過と共に低下』これは一時的にテンションが上がるけど、二日酔いが待ってるみたいなものかも。意外と専用武器にも使えそうだけど。
「ガチャ券は残ってないの? レムリアの服を着れば騙し取れるかもしれないはずだけど」
「そんな事してまでガチャ券を欲しいと思わないわ」
そこは商店街を助けるためにやっておくべきだろ。俺の事は利用するくせに、他人からガチャ券を奪わないなんて。レムリアはむしり取ってたぞ。
「……レムリアか」
こういう状況になると、レムリアの存在を会長に教えるというのは? 俺が戦闘員って事はバレたし、フレンドになる事をレムリアも許してくれた。まぁ、レムリアが提示した方法とは違ったわけなんだけど。
イベント中だから、レムリアと会えば十連ガチャが手に入るし、俺の部屋にある道具の山から合成の手助けも。どれもレムリアが許してくれたらなんだけど。それとレムリアがナビとバレたからって、運営からリアルマネーの借金がない事も祈らないと。
「……あっ」
スマホの充電が無くなっていた。動画を見た事よりもレムリアとの連絡だ。この前も満タンに近かったのが三十まで減っていたんだった。
「何かアイデアが浮かんだの! じゃなかったら」
仕方がない。なるようになれだ。
「俺の部屋に来ないか?」
理由も聞かないまま、会長のビンタが頬に。ヒーロー作戦の中じゃないから、本当に痛い。父さんにもビンタされた事がなかったのに。ゲームの中ではあるんだけどね。




