表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
また来てね  作者: 七三
6/6

また来てね


 入口をじっと見ている市ヶ谷に来栖は恐る恐る声を掛けた。


「お、おい……市ヶ谷……?」


 声に反応してゆっくりと顔を来栖に向ける。焦点の合わない目をしていた。


「……」


小さく何かを言っている。来栖は耳を澄ませた。


「……」


「…………」


「……ぁ…………ぃ」


「お…………ぁ……わ…………い」


「おれはわるくない」


「おれはわるくないおれはわるくないおれはわるくないおれはわるくないおれはわるくないおれはわるくないおれはわるくないおれはわるくないおれはわるくないおれはわるくないおれはわるくないおれはわるくないおれはわるくないおれはわるくないおれはわるくないおれはわるくない……おれは……わるくない……」


 市ヶ谷は崩れ落ちた。

 それを呆然と眺めていると、後ろから声を掛けられる。


「やあ。楽しんでもらえたかい?」


 そこにはウサギリと呼ばれていたウサギの着ぐるみが立っていた。


「……どういう、ことだ」


「聞いてもしょうがないことだよ」


「いいから、答えろ!!」


 怒鳴り声が響いた。いつの間にか周りには誰もいない。居るのは怒りを露にしている来栖と泣きじゃくる市ヶ谷、そして飄々としているウサギリであった。


「しょうがないなぁ。じゃあ全てを話すよ。市ヶ谷北斗君はおよそ一年前にここ、裏野ドリームランドに遊びに来たんだ。そして彼だけが残った。だから、僕は彼の心を操り、より多くの人を連れてここに戻ってくるように細工したんだ。そして彼は僕の思惑通りに君たちを連れてきてくれた。そして今、彼と君だけが残った」


「君には彼のようにここに沢山の生贄を連れて来て欲しいんだ」


 来栖は虚ろな目で地面を見ていた。フラフラと体を揺らしながら振り向き、出口に向かってゆっくりと歩いていく。


「じゃあ、また来てね」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ