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クリムゾンスカイ  作者: えーじゃん
第三章:ラガーポート Scramble
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ラガーポート Scramble 16

「それでエルフの里を出てきたんですよ」

「なるほど、両親を魔人に……お悔やみ申し上げるよ……」


 ロジェさんの案内で中央広場を越えて裕福な人の住まいがあると言う地区に移動する。

 レルカさんがロジェさんと話している間に、私は彼の護衛である男と一緒に周囲を警戒していた。


<<こちらアイリスです、ヤミさんそちらはどうですか?>>

<<お久しぶりですアイリス、こちらは異常ありませんよ、そちらの首尾は?>>

<<そうですか、頼まれていた惑星地図をアップデートしますね>>


 ネバーサンセットとの非可視光レーザー通信が回復した。と言う事は地平線から出てきたんですかね?


 この通信はレーザー光の射線が通ってないと通信できないものなので、惑星の影に入ってると通信ができないんですよね。ほんとは数基の中継衛星を張り巡らせて使う物なのですがそれも他人の星の周りに勝手に飛ばすわけにはいかないですし。


 ホントは物理的な距離を無視して通信ができる六次元通信施設がほしいんですが。生憎アイリスは落としたコンテナの中には積んでないと言っていましたし。


<<それではこっちの報告を、と言ってもあまり新しい情報はないのですが。ヴィルヘルムは現在巡航速度でMX003現地名称ロアリルへ移動中、到着予定は変更が無いです。MXコクーンの調査も継続中>>

<<宇宙側は変化なしですか>>

<<基本時間がかかりますからね。>>


 確かに一つの事業に数年かかったら早い方ですね。そうなると地上って言うのは宇宙と比べて進む速度が速いですね。


<<重力波反応……D-エスペランサの反応は今のところ無し。完全に休止していますかね>>

<<エスペランサの船種ズィカーダ級輸送船は一応堅牢な事だけは取り柄ですからね。故障などは考えにくいですね。全くどこに居るのか>>

<<クロークデバイスは動作中、細かな重量波も検知していないのでこうなると我慢比べです>>

<<ほかのことをする時間ができたと思いましょうか>>


 道幅が狭くなって前からロジェさんの護衛、本人レルカさん私の順になる。そういえば裕福な方は道が狭いと言ってましたか。確かに馬車と1列づつくらいしか通れないですね。


<<そのほかのことはどうですか?>>

<<支援物資の提供はとりあえずここの王城に打診しようと思っていますが>>

<<ドラゴン族からの援助を約束されていたようですが?>>

<<流石に一つの所に依存するのは良くないでしょうね。人とも価値観が大きく違う種族ですし>>

<<ああ……なるほど>>

<<しかし流石に何も用もなく王城に行っても追い返されるだけでしょう>>

<<ドラゴン族さんと一緒に登城ってのはどうです?>>


 なるほど、ドランさんの性格を考えれば意外と面白がって誰か一匹向かわせてくれそうではありますが。


 そういえばエルフとしか友好を結んでいないと言ってましたか?そうなるとダメそうですね。


<<……先に攻撃されて撃ち落されそうですね。ああ、そうだこの星の文明の発達度合いを更新します。軍事レベルを2段階引き上げます>>

<<えっ、中世から一気に近代レベルですか!?>>

<<ええ、この世界の魔法と言う物の一端に触れました。先ほどの模擬戦の動画を送ります>>


 アイリスと通信をしている間に一行はかなり進んだようですね。間もなくロジェさんの別宅に到着するらしい。


「そうだ、良ければ二人とも後で夕食を一緒にしないか?」

「えっ、でも悪いですよ」

「かしこまらなくてもいいよ。ちょっと良い物が食べれると思ってくれればいいから」

「ヤミさんどうしましょう……」

「私としてはどちらでもいいですが」


 良く帰ってこないあの男と一緒で私たちが何しようが自由でしょう。私自身はレルカさんの護衛ですから彼女に合わせるんですが。


「もしよかったら私の知り合いも呼んで――」

「――Mr.ロジェ、歓談中失礼する」

「ん?私に何か――」


 話の途中横から彼に話しかける声がした。そちらを見ればフードを被った誰かと光を反射する銀色の――


「危ない!」


 ロジェさんの服をひっつかんで引き倒す。私が引き倒したと同時に彼の首のあった場所に白銀の刃が付きだされる。


――襲撃!?


 ローブの襲撃者は私の目を一瞬見て、バックステップで距離を取る。建物に切り取られた陽だまりの中襲撃者の姿が浮かび上がる。


 襲撃者は赤黒いローブをまとってご丁寧に仮面をつけて顔を隠している。手に持っているのは片刃のサーベル……?


「てめえ、若になにをして――」


 護衛が即座に抜刀してがローブに切りかかる。無骨な両手剣が上段からから振るわれ――。


「――る……っあ?」


 振り切った護衛の態勢が崩れる。見れば剣が中ほどから折れている。少し遅れて後ろで重い金属の落ちる音がする。


――剣ごと斬った!?


 思い出した!昨日ウェルナンで冒険者が言っていた通り魔。まさかこれがですか!?


<<緊急事態ですアイリス!襲撃です!>>

<<了解、演算バックアップを開始します>>


 今までアイリスと裏で通信をしていたのが幸いした。即座にネヴァーサンセットのメインフレームとつながり世界が加速していく。


 加速した思考の中で武装を再確認スカート内にアーミーナイフ1本、リボルバー2丁とプラズマグレネード2個、背中にLPSライフル1丁と短槍が一本。


 さっきの行動を見る限り襲撃者はロジェさんを狙っていますね。


「レルカさんロジェさんを連れて別館へ退避!」

「ヤミさんは!?」

「足止めします!」

「……っ!すぐ戻りますから!」


 槍を引き抜き気味に振り回して距離を取らせながら後ろに向かって叫ぶ。

 少し遅れて二人分の足音が去っていく音が聞こえた。


<<アイリス、接近用のクローズコンバットプログラムののダウンロードを!>>

<<まさか銃を使うんですか!?>>

<<どこまで効くか分かりませんが、使わないとまずそうです>>

<<わかりました……いつだって引き金を引くのはあなたでしたね……>>


 槍用の動作パターンを主に入れていたのが裏目に出ましたね。直ぐに視界の端に30秒と出てダウンロードが開始されたのがわかる。


 思っていたより長い!それまでこの槍で耐えきればなんとかなるでしょうが――。


――と言ってもこの槍もどこまで持つでしょうかね。


 あの鉄の塊の様な剣が切られていましたか。こんな槍何時斬られるか分からない。

 切りかかってくるサーベルを躱しつつ、それでもレルカさん達が逃げてった先を塞ぐように立つ。


「彼に何の用ですか!」

「……」


 時間を少しでも稼ごうと喋りかけましたが、だんまりですか。


「……!」


 切りこんできた剣を躱して道の端に追いやられる。ここぞとばかりに薙いで来た剣をくぐりこみ立ち位置を入れ替える。

 壁際に槍を振り回して追い込もうとしても、こちらが受けれないのを知っているのか踏み込んでくる。


<<残り10秒>>


 不味いですね、これではいずれ逃げ場がなくなってしまいそうですが――。


――これでもっ!


 視界の端に移った先ほど斬られた剣の先を思い切り蹴りこむ。蹴られた鉄塊は襲撃者の方へ――


――剣で弾くかと思いましたが。


 襲撃者はローブを翻しながらやけに大げさな軌道を取って避ける。なぜと思う前にできた決定的な隙に距離を詰める。


「その時間は命取りですよ!」

「……――ッ!?」


 避けた先を刈り取る様に投げるように突き出した槍がサーベルを弾く。そのまま胸元を蹴って突き飛ばす。


<<クローズコンバットプログラム、ダウンロード完了!>>


 体勢が崩れた!すかさずリボルバーを取り出す。最適化された動きで狙いをつける。


「誰かは知りませんが、これで……!」


 襲撃者が体勢を立て直そうと立った瞬間。私は仮面に向かって引き金を絞った。


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