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クリムゾンスカイ  作者: えーじゃん
第一章:同一性
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同一性 2

「それで君はどこからあの里に?」


 どういったものか、正直ほとんどわからない事ばかりだし状況がわからないのだが……。

 どう答えるか少し悩んでいると、イリヤさんが少しいぶかしむ。


「言えないのか?」


「いや、そうじゃないが……どう言ったものかな」


 別の世界から来ました。なんて突拍子もないことを言っても理解できないだろう。

 それにどんな世界だと言われても、記憶があいまいな今詳しく説明できる自信がない。


 そう考えてるとレルカが口を挟む。


「もしかしてお爺ちゃん……クレナイさんを疑っているんです?」


「そうは言わん……だがレルカ、事態の把握は里長の仕事なんだ。わかってくれ」


「むぅ……」


――なるほど、里長としてか……。


 鵜呑みにするわけにはいかないだろうが、イリヤさんの状況はだいたい分かった。ならこちらも正直に言うしかないだろう。


「すみません、ちょっと記憶がなくてですね」


「えっまさかあの時に頭を打ったとか、見せてください」


「いや大丈夫、そうじゃない。その前、大鎧と戦う数十日前森の中で目が覚めて、そこから前の記憶が無いんだ」


「えっ?」

「えっ?」


 しめし合わせたかのように目を丸くした二人に、これまで俺がどこで過ごしていたかを話す。

 森の湖畔で目覚めたこと。それより前の記憶がない事。約1ヶ月湖のそばの洞窟でサバイバル生活をしていたことなどを説明する。


「大聖樹の結界の外ですか……」

「結界?」


「ああ、強い獣や人を森で迷わせることで避ける結界が、エルフの領内には張られていてな……これだ、この短剣を持っていれば結界を通り抜けられる」


 イリヤさんがローブから鞘ごと短剣を取り出す。

 刀身は見えないが、鍔にはまっている石から森の中拾った短剣と同じ意匠をしていると判る。


「それと同じものを森で拾ったんだ……なるほど、急に村が見えたのはそう言う事だったのか」


「それ……きっとお父さんのです、前の日に森で無くしたと言ってました……」


 もしかしたら、森で俺を見かけて逃げる先に刺してくれていたんだろうか。

 もしそうなら、返すと一緒にお礼でも言っておきたいが。


「あの短剣は……俺が倒れていた近くに落ちていたと思うんだが」


「回収している、あいつの名前も彫ってあったな」


「そうか、なら――」

「クレナイさんが持っていてください、その方がお父さんも喜ぶと思います」


 返してあげて、と言おうとした言葉をレルカに消され。俺は彼女の父がどうなったかを悟った。


――そうか……ダメだったのか。


「そうか?なら後で部屋から持って来よう」


「ありがとう、でいいんだろうか」


「ええ、遺志ですから……それにしてもクレナイさん、なんでそんなに冷静でいられるんですか?」


「?……なんでって?」


 レルカの質問に少し考える。どういう事だろうか?


「いえ、普通記憶がないならもっと慌てると思います」

「ああ、それは気になるな」


「慌てはしたけどもう一か月も前だし、それに対処のしようがないだろ?」


 この一ヶ月、記憶を戻す以外にもすることはたくさんあった。

 食料の調達、安全の確保、森の探索、正直記憶にだけ構っていられなかったというのが本音だ。


「なんというか、現実的なんだな」

「じゃないと生きてけなかったもので」


 そう答えるとと二人は納得したようだ。


 実際に生きていくだけで精一杯だったからしょうがない。

 森での日々は日々糧を得ること以外考えられなかった。


「……ありがとう、君のことは大体わかったよ」


「あまり力になれなくすまない――そういえば、あの鎧はどうなった?と言うか何だったんだ?」


「そうか、"魔人"を知らないんだな……」


「魔人?」


「君が戦った鎧の名だ。どこから現れたのかもわからない。剣が通らず、矢を跳ね返し、魔法を無効化しひたすら暴れて去っていく、災害みたいなものだ……」


「それは……」


「私も噂だけだと……思ってたんだがな」


 少し疲れた感じでイリヤさんがため息をつく。

 

「それで今はどこに……?」


「判らないな、私たちが里に着いた時にはもう居なかった」


 そんな生きた災害みたいな者がなんで俺を知っていたのか。そこが気になったが、今言うべきことじゃないだろうと開きかけた口を閉じた。


「噂だけだがいくつかの村が消えている、君のおかげでレルカが生き残っただけでも良かったと思おう、ほかあるか?」


「ええ、常識的な事からだが」


「なんでも聞いてくれ――その方が気がまぎれる」


 そういうものなのだろうか?


「ではお言葉に甘えて――」


 それから二人に質問に付き合ってもらってこの世界の事を知るのだった。


お読み頂いてありがとうございます。

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