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クリムゾンスカイ  作者: えーじゃん
第三章:ラガーポート Scramble
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ラガーポート Scramble 15

「おっ来たみたいだね」

「……」


 商会の裏、試し振りなどに使われるのであろう中庭には二人が話をしながら私たちを待っていた。……いえ、一方的に女性が鎧姿の男に話しかけていました。


 女性の方は両刃の剣を2本吊った赤髪の女性。そしてもう一人は朝で街の中にも拘らず鎧を着こんで大きな盾を背負った男ですね。


「お待たせしました二人とも。こちら冒険者志望のヤミさんとレルカさんです」

「ご紹介にあずかりましたヤミです」

「レルカです」


 名前を言うと二人から軽く会釈をされる。なるほど、彼らが私たちの教官役の冒険者と言う事でしょうか。


「私はアリッサ、よろしくね、ほら」

「……よろしく」

「名前くらい言いなさいよ……まあいいや、こっちの無口なのがガノンね」

「よろしくお願いします」


 彼女の紹介に男が鎧の頭を外してうなずく。もしかして単語しか喋れないんでしょうか?


「でも聞いた通り二人ともすごい美人だわ、眼福眼福」

「聞いた通り?」

「六日前くらいに目もくらむような美女二人がギルドに来たって噂になっててね、あれ?冒険者の男が一緒に一人いたんだっけ、どっちの彼?」

「……アリッサ」

「あー、はいはいまったく真面目なんだから……」

「……アリッサは話し出すと長くなる」


 あの時のことが噂になっていたんですか、結局ギルドには数度しか顔を出してないですね。


 しかし、ガノンさんは別にしゃべれないなんて事は無いんですね。ただ単にシャイなんでしょうかね。


「それでは僕はここで、またお昼になったら昼食を出すよう言われてますから」

「おっありがたいねー」


 案内してくれた少年が商会に戻っていく。残されたのは裏庭に居るのは私たち4人だけになった。


「さって、ちゃっちゃと始めちゃいましょうか」

「はい、よろしくお願いします」


 さて、この世界ではどのくらい戦闘力が無いと生きていけないんでしょうかね……。








「……ッ!」


 下から救い上げるように振った模擬戦用の槍が盾に阻まれる。

 戦闘支援システムが所持しているリボルバーの使用を推奨してるが無視する。模擬戦でそんな物を使うわけにはいかないでしょう。


「また防がれましたか」

「……」

「ほらほら、相手はいつも一人とは限らな……うわっ!」

「エンチャントウィンド……させません!」


 後ろから風をまといながら飛んでくる矢の援護射撃に合わせて下がる。

 背中のライフルの重さも加わり慣性が強くなるが回るようスカートを翻して勢いを殺していく。


「まだまだ!」


 アリッサさんは矢を判っていたように避け、二刀流の片方を上に放り投げ空いた手でナイフを投げてくる。


「それはさっき見ましたよ!」


 投げてきたナイフを近接モーションの通りに槍を回転させて防ぐ。彼女はやっぱりダメかとぼやくと上から落ちてきた木剣を難なくつかみ取る。


 数度見せてますが凄いバランス感覚ですね。


「レルカさん助かりました」

「いえ……はぁ……」

「っと、二人ともすごいね、これは将来有望だ。でもレルカちゃんはちょっと疲れちゃったかな?」

「いえ、まだです……」

「ちょっと休憩しよっか、適度に休むことも大事だからね」


 肩で息をしているレルカさんを見てそのままアリッサさんの合図でいったん小休止を入れることになった。


 時は先ほどから少し経っている、冒険者としての心得の最終試験として模擬戦をすることになって数度かち合ったところだ。


 しかしこの世界の人の戦闘力は高いですね。先ほどからアクロバットを繰り返しているアリッサさんもそうですが。レルカさんの弓もすさまじい。


 風をまとった矢は短弓だというのに矢一本一本が音速を超えて拳銃弾並みの速度を持っていた。そんな矢が数本セットで飛んでいくんですからちょっとしたショットガン並みですね。


 まあそれを難なく受け止めていたガノンさんもさすが先輩と言ったところなんですが。


――文明レベルを情報修正しないとですね。


 生体装甲一機が荒らしまわっていたと聞いて、中世レベルの戦闘能力だと思っていましたがどうも違うようですね。

 確かに生体装甲には少し届かないとしても、ただの剣と弓などと思わない方が良いんでしょう。


「そういえばヤミちゃん、その背中の魔導具は使わないの?」

「これですか?」

「そうそう、ずっと大事そうに背中に背負ってるけど」


 確かに重そうなものを背負いながら模擬戦をしてたら気にもなりますか。さて……このライフルをどう説明しましょうか。


「……これは使える回数が決まってますので」

「切り札なんですよね」

「ええ、対魔人用の切り札なんですよ」


 魔人と言う言葉を出してそれで納得したのか三人がうなずく。


「……魔人か」

「魔人かー。そっか、それで冒険者を目指すんだ」

「責任を取らせないといけないですから」


 意図的にぼかして魔人に復讐のために旅をしていると誤解させる。いえレルカさんは確かにその為に旅をしているので厳密には嘘ではないんですが。


「そうかそうか、それじゃ昼までにもう数戦行こうか」


 短い休憩を終え、再び槍をかまえる。さて……今の私ではどこまで行けるか見てみましょうかね。










「それだから、二人とも十分だと思うよ」

「……アリッサと同じ……意見だ」

「そうですか、それは良かった。私の見立てはあっていたようですね」


 昼食にはなぜかこの仕事のクライアントであるロジェさんがいた。

 彼は朝迎えにこれなかったことを謝り。昼食を取りつつアリッサさん達から私たちが警備の仕事ができるかどうかを聞いていた。


 彼女から一通りの報告を聞いた彼はこちらに向き直る。相変わらずどこか値踏みするような目をしている。


「それではお二人とも改めて、午後に私の別宅の警備をお願いできまるかね?」


 もしかしたら仕事柄なんですかね?そう思いながらレルカさんと頷き合う。

 と言っても私達には受ける以外の選択肢は無いわけですが。


「私たちは良いですが別宅ですか?」

「そうだ、どうもこの商会は良いんだが別宅までは手が回らなくてね、最近通り魔だとかそう言うのが多いだろう?

「ええ、噂なら聞きましたが」

「それで警備を増やすことになったんだけが、どうもみな同じことを考えているらしくてね」


 それで人がいないって事ですか。じゃああの強引な依頼の出し方も少しは納得がいきますか。


「どうだろう、まあ治安は良い場所だけどね」

「別宅ってのはどこにあるんですか?」

「中央広場を超えた先だよ。そのあたりは治安は良い方だから、ほんとお飾りでも人がほしいのさ」


 どうも見栄の張り合いも困ったものだと首を振る。これだけ大きい商会だとそういう部分もあるんですかね。


「別宅までは私が案内をしよう」

「良いんですか?」

「ああ、女性を招くのならば少し休んだとしても許されるだろう」


 そう言って彼はスープをすする。

 いえ、私は警備に行くんですけどね……。

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