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クリムゾンスカイ  作者: えーじゃん
第三章:ラガーポート Scramble
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ラガーポート Scramble 5

「クレナイさん、すごかったですね」


 彼を人身御供のようにギルドに置いて戻る道すがら、興奮した様子のレルカさんにそんな事を言われる。

 私は見ていた仮登録用紙から目を離した。たしかに先程の紙一重の動きは素晴らしいの一言だった。


「彼は軍人とかだったんですかね?」

「一週間ほどお爺ちゃんの所で衛兵をやってましたが、それより前は記憶が無いそうですよ?」

「にしては一週間くらいで身に着く動きじゃ無かったですね」


 相手の攻撃の間合いを見切る、自分と相手の全ての力の流れを制御する。彼は、近接戦闘の極意であろうその二つを容易く扱っていた。

 それは長い時間戦いの中に身を置かなければ、たどり着けない境地でしょう。


 彼が記憶をなくす前何をやっていたのかは、正直な所気になるところですね。


「そう言えばヤミさん、昨日クレナイさんと何を話していたんですか?」

「ん?ああ、それは何と言いますかねぇ……」


 そう言えば彼女は隣の部屋で寝ていたんでしたか。まさか彼から話を聞いていますか?


「彼からは、どこまで聞いています?」

「いえ、話の中身はとかは聞いてないんですが」

「そうですか……」


 さて、どの程度まで言いましょうか。彼女は生粋のこの星の人間ですからね……。


「もしかして、クレナイさんが記憶を無くす前の恋人とかだったりするんですか?」

「えっ……?」


 その続きに少し面食らったが、考えてみれば納得する。先ほどのギルド内でのやり取りを見ても、彼女が彼の事を好いているのは何となくわかっている。


「初めて会ったのは間違いないはずですよ。彼の事を知ってたのは、さっきの受付の御嬢さんが言っていたアランって方が言ってたからです」

「なるほど、おじさんの知り合いだったんですか」


 安心させる様にそう言うと彼女は納得する。あの時森で出会ったアランと言う男は意外と有名な人物らしい。


「さて、着きましたし稼ぐとしましょうか」

「はい、クレナイさんの為にも頑張りましょう」


 ウェルナンに着いて意識を切り替えると、入り口をくぐる。レルカさんも気合が入っている。


 しかし彼女の問題は、あの男は好意を知ってて無視してそうな部分が有る事ですかね。

 そう思ったことは言わないでおいた。










<<ーーと言うわけでしばらくは彼らと行動を共にします>>

<<なるほど、彼と一緒ですか、判りました>>


 夕方になってアイリスからの定期連絡の時間が来た。私はもうすぐ混み始めるであろう酒場から10分だけ抜け出していた。

 しかし相変わらずクレナイの事についてはアイリスが何か含んだような言い方をしますね。


<<アイリスと彼との関係は聞きたいところですが。今は時間が無いので手短にお願いします>>

<<言いたくてもまだ憶測なので何も言えないのですよ。では此方も手短にまずコクーンの現状なのですが――>>


 どうやらコクーン外に出ようとした無人探査機の調査結果が来たらしい。

 結論から言うと、ダメだったそうだ。

 有人操作でコクーン外に出ようとした所、操作が狂い元の場所に戻ってきてしまった。直進のみに設定しても戻ってきてしまったと言う。


<<頂いたデータを見る限り、どうやら空間が歪んでそうなんですよね>>


 戻ってきた無人機内では、方向転換を行わず直進したと言う記録が残っているらしい。なのに現実に機体は戻ってきている。確かに空間が歪んでいるとしか思えないでしょうか?


<<そう言う事で、現在ヴィルヘルムは最低限の調査人員を置いて重力的に安定しているMX005付近へ向かってきているという事です>>


 すぐには出れそうにないコクーン脱出は一旦諦めて、ここMX003。現地名称ロアリルで補給をするとの事。到着予定はこの星で来年以降だ。

 元が大型の戦艦であるヴィルヘルムは、ルートが判らない未開の宙域で本来の速さでは飛べない。

 相対速度の問題だ。もしヴィルヘルムが光速以上の速度で小惑星体に突っ込んだとすれば、自身の速度で一瞬で蜂の巣になってしまうでしょう。そう言うルートを避けるか速度を落として進まなくちゃ行けないのだから必然的に遅くならざるを得ない。


 まあ猶予時間が有るのは良い事だ、その間に支援元の捜索と物資を宇宙に送る方法を考えなくては。


<<別れた調査人員の方の旗艦は?>>

<<ルマンダだそうです。別れたと言っても目的地とは1光年くらいの距離なんでそこまで離れては居ないですが>>

<<そうですね、何かあればすぐ合流できるでしょう>>


 こちらが来た時のデータも渡していますし。中型船が1隻くらいなら確かに問題ないのでしょう。

 そう言えば思い出した。


<<そうだ、まだ完全ではありませんが、言葉と文字のデータを送ります>>

<<はい助かります、一応学習資料として送っておきましょう>>


 彼らがこちらに来るまでに覚えられるように、言語プロトコルを渡す。

 共通と言われている言語だからおそらく大体の場所で使えるでしょう。

 まだ完全じゃない所はおいおい修正していけばいい。


<<それとこちらはヴィルヘルムの艦長からのお願いなのですが>>

<<お願い……ですか?>>


 命令ではなくお願い?優先度が低いという事でしょうか?


<<以前送った物がどうやら娯楽として人気のようでして、同じような地上の風景を取ってきてもらえますか?>>


 聞けば、前送った映像データを渡したところ乗員の中で流行ってしまったようだ。たしかにまとも自然は無いでしょうが、それで良いのでしょうかね?

 しかも使用料を取っているらしい、アイリスもずいぶんちゃっかりしてますよ。


<<判りました、良さそうな場所があれば考えておきます>>


 何が良いでしょうかね?少し考えておきましょうか。

お読み頂いてありがとうございます。

ご感想お待ちしております。

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