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クリムゾンスカイ  作者: えーじゃん
第三章:ラガーポート Scramble
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ラガーポート Scramble 2

ファンタジーサイドとSFサイド両方で話が進んでいきます。

そしてアイリス側のお話。

「なんで勝手にお金使っちゃうんですか!昨日は後3日は大丈夫だから明日も観光しようとか言ってなかったですか?」

「いやいや先行投資ってのは必要だろ?ほら、仲間が増えたんだし」

「明日から食べるお金が無いってわかってたら、すぐに離れるに決まってますよ」


 食べながら話しているのを聞いてますが、何なんですかね、この二人は?

 同じく食べつつ怒っているレルカと宥めている彼を見てそんな感想を抱いた。

 

「だから皆で稼ごうか、ほらちょうどレルカの保護者になってくれるヤミさんもいるし」

「子ども扱いしないで下さいよ、もう15でお酒も飲めるんですから」


 聞いたときは孫を預けられ、嫌々連れているのかと思っていたがそんな様子もない。むしろ対等……いや若干子ども扱いしているように見える。

 はた目から見たら歳の離れた兄弟のようにも見えるだろうか。もちろんヒトとエルフで種族は違いますが。まあ耳の長さ位ならそんなには違わないでしょう。獣人たちなんて初めはただの動物と思われてましたし。


「いや、15で酒は飲まない方が良いだろ。未成年だし、まだ成長期なんだから」

「15にもなって未成年とか、どこの世界の話にゃ?」

「あっ……いや……」


 なるほど。話を聞いてて判りましたが、そう言う事ですか。

 彼は前の世界の常識的な部分に、結構縛られてるんですかね?それで子ども扱いしてしまって彼女は納得していないと。


 人のふり見てとは言いますが、私はどうでしょうかね。確かに星によって常識が違うなんてことも良くありますが……。獣人たちの様な種族だと思えばいいのでしょうかね。彼らも相当若くして成人扱いされ始めますし。

 こうして思えばもっと前に未知との遭遇をしている私達の方が実は馴染みやすかったりしますかね?


「そうですよね?ヤミさんもそう思いませんか?」

「えっ!?……まあ少しは」

「ほらヤミさんもそう言ってますよ」


 何となく同意を求められて答える、同意してしまいましたが何を言われたんです?

 答えを聞いて頭を抱えた彼は、軽く振って切り替えると、散らばった銅貨を袋に詰め直した。


「まあ……ともかくだ。幸いなことに朝夕2食はあと3日ある事は確定してるんだ。その間にギルドに行って干からびる事は避けよう」


 しぶしぶと言った感じで話がまとまる。そう言えばここの宿の契約がそんな契約でしたか、先払い朝夕付き。たしか値段は大鉄貨1枚から。

 私も自然に頭数に入れられてますけど、まあ良いですかね。結局のところ今持っている大金貨は普通に暮らすうえでは使い道が無いみたいですし。

 

 あれ?そう思えば実質ただ働きみたいなものですか?

 騙されたか?と思っていると、長椅子をクレナイさん側に座っている猫耳の彼女から提案があった。


「それにゃら、私が昼にまかない付きで依頼を出そうかにゃ?」

「本当か?」

「まあ知ってる顔の方がやりやすいにゃ」


 そのまま依頼書を書きに行くと言って、彼女は食べ終わった朝食を持って奥に入っていく。帰りがけに他の店員に声をかけて飲み物のお代わりを持って行かせると言う徹底ぶりだ。にゃーにゃーと巫山戯てるフリして実はかなり仕事してますねあの方、名前まだ知りませんけど。

 そんな地味なプロっぷりを見ていると、クレナイさんが机を軽く叩いて注目させる。


「あとはそうだ、どうせ2部屋とってるなら男女で部屋を分けようか。その方がレルカも気を使わないで良いだろ」

「「えっ?」」


 良い事を思いついたと言う感じで言う彼と、少し不機嫌そうな空気を出すレルカさん。こういうのが子ども扱いしてるって感じることに気が付いてないんですかね?

 まあ彼はともかくだ。部屋には物理的な安全装置しかついてない銃とかも置いているから、正直入ってこられるのはまずい。


 その事を、やんわりと彼だけに伝わる様に伝えて、食後のお茶を一口含むのだった。


――――――――――――――――――――


(窒素約80%酸素20%理想的な大気構成ですね)


 衛星軌道を慣性の法則に従って回り続けるネヴァーサンセット。その中に一人残されたアイリスは、地上送ったコンテナの観測機器から送られてくる大量の情報を整理し続けていた。


 その船は現在もMX003の周囲を回りつつ、地図用の写真を撮り続けている。徐々に出来上がりつつある惑星の地図、これは完全に軍事情報になるだろうからヤミさん以外は見せられないでしょうが。


 通信用の中継衛星を使ってヴィルヘルムの方のデータも集めている。新しく万能細胞から培養した生体コンピュータも正常に動作している。非常に順調だ。


 処理速度がさらに上がったメインフレームを使って、ひたすら集めた情報を整理し処理を続ける。私がLegesとして生まれてからずっと行ってきたことだ。


 そこに問題が入る余地は無い。情報集積及び演算に特化した、アイリスのバックアップコピー、それが私だった。


(再計算が終わりましたか……)


 別スレッドで計算し続けていた物が終わったのを感じる。それは、これまで人類が発見した宙域データを全て使って行う弾道計算だった。


 結果を見る。第三宇宙速度で母星のある太陽系を脱出したその弾丸は、かなりの星々でスイングバイを繰り返し。どうやらこのMX惑星系の方面に来ているだろうという事が、かなり低い可能性で有りうると計算結果から出ていた。

 0が数十個並んでいる確率だが、十分でしょうか。どうやら予想は間違っていなかったようですね。


(本当に魔王……クレナイ……)


 地上の時間で7日ほど前にヤミさんの視界から見た彼。顔面の一致では99%本人と言う結果が出ている。その後、現地で彼を知っている人間から、記憶が無いという事が伝わっていますが。


(彼の記憶喪失の原因についてはいくつか心当たりが有りますが、問題は……)


 問題は彼と一緒に母星を追い出されたオリジナルの私でしょうかね。追い出されたのかそれとも心中したのか、その記録は私には残っていませんが。今でも動いているにしろ動作停止しているにしろ、見つけなくてはならないでしょう。


(ドラゴン族さんたちに頼んで、マテリアルボディを作っておきますかね?)


 幸いにも地上に下ろした物資の中に万能細胞は少し入っている。後はコンテナを置かせてもらっているドラゴン族さんに肉を貰って培養。地上を探索するための一時的な体を作っておくべきでしょうかね。


 そう計算の余剰部分を使って考えているとヴィルヘルムから通信が入る。どうやら提督のようだ、私は即座に録音を始めて通信を取った。


<<ネヴァーサンセット、聞こえているかね?>>

<<ジョシュア提督どうしました?>>

<<アイリス君か、先日は地上のVRデータをありがとう。あの「永遠の夕焼け」けっこう乗員に人気だよ。かく言う私も何回か見させてもらったが少し哀愁のある原風景が良いね>>

<<楽しんでくれて、結構です。もしよかったら他にもよさそうな風景が有ればヤミに取らせようかと思いますが>>

<<ああ、それは楽しみだ。生の自然が初めての乗員もいるからね>>


 どうやら先日の映像は喜んでもらえたようですね。たしかに提督の言った通り完全に手付かずの自然の風景は昨今殆ど残っていない。そういう意味ではこの星は珍しさの宝庫なのでしょう。

 勿論データ使用料は小銭程度に取っている、本当に小銭稼ぎですけどね。


<<さて、ヤミさんと通信は取れるかね?伝えておきたいことが有ってな>>

<<現在惑星の反対側です、伝言でよろしければ>>

<<そうか、実は先日送った無人探査機のデータが送られてきた……>>


 ジョシュア提督が言った内容は、まだこちらで処理できていなかった情報だ。

 コクーン外に向けて送っていた無人機のデータですか。脱出できるなら物資の心配は無くなると思いますが……。


<<結論から言う、どうやらこのコクーン、物理的な脱出は難しそうだ>>


 どうやら、そうはうまく行かなそうですかね。

お読み頂いてありがとうございます。

ご感想お待ちしております。

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