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クリムゾンスカイ  作者: えーじゃん
間章:ハジメマシテ for the first time
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ハジメマシテ for the first time 2

「ここですか?アイリス?」

<<はい、ビーコンはそこ区画を指しています>>


 夕暮れ時、ガス灯のような明かりが点々と照らしている通り。窓を大きくとった背の高いレンガ建ての建物が立ち並んでいる。

 その一軒、外から見れば酒場になっている建物の前に私はいた。上を見れば薄明かりに宿屋ウェルナンと言う文字が躍っている。

 どうやら酒場兼任の宿屋のようですね。


「宿屋ですか?」

<<もしかしたら荷物として置いて、どこかに行ったのかもしれません>>

「だとしたら待つとしましょう。これより突入しますヤミ、アウト」

<<アウトって……軍事行動じゃないんですよ?了解アイリス、アウト>>


 違うと言いながら律儀に反してくる相棒に笑いながら、建物の中に入ります。

 彼女自身も資料でしか見たことも無いような酒場は夕暮れ時も相まってかなり人が多い。

 先ほどまでジャズやガヤが店の外まで聞こえていたが、よそ者が入ってくると演奏を止めこちらに視線を向けた。

 

「いらっしゃいませにゃ、御一人様にゃ?」

「ええ、ちょっと待ってください?」


 この店の店員だろうか猫耳の付けた彼女に、言語スプリクトを作動させ返事をかえす。


「だれだ?貴族様か?」

「ねえちゃん俺らと飲まねえかい」


 こちらを伺う男達の下心のある視線や声を無視し、店内を見渡す。

 

――見つけました

 

 ジョッキに入った飲み物を飲むふりをしながら。されど視線はこちらに向けて男はいた。

 店の奥のテーブルに座った青年はいぶかしむような視線でこちらを見てる。


 彼を旧時代的に見た目で年齢を判断するとするなら、だいたい二十五から三十位だろうか。さして珍しくも無い黒髪を邪魔にならないように短くして。長袖のチュニックの上にプロテクターをしている。年季の入っている様な物には見えないが良く手入れされているようだ。

 

 恰好だけで言えばさして珍しくない。鎧の胴を着て無い事を除けば、この辺りではよく見る格好だった。


 だがその視線に、いやその目に私は言い知れない危機感を持った。


 周囲から向けられている下心のある視線ではない。ただもっと危険な、対人機銃のレーザーの様なひしひしと危険を感じる視線だ。


――どこか……もっと昔に見たような。

 

 なぜか視線を逸らせない、そんな目だった。

 

「ここ、いいですか?」

「あ、ああ……」

 

 周囲からかけられる同席を求める声を無視し、テーブルをかき分けて彼の席に着く。

 メイド服に忍ばせていた名刺を手に取り、机の上に置く。


「初めまして……私はこういうものと申します」

「あっああ……初めまして?」


 彼は戸惑いながら、名刺を取った。

 『探偵社ネヴァーサンセット ヤミ』とだけ書かれた名刺だ。

 中身のICチップにはもっと多くの情報が書かれているが、この世界に読み取れる機械は無いだろう。


 彼は手書きの文字を読み、裏返す。


「――!?」

「どうしましたか?」


 男は裏面を見て一瞬びくついた。なんでしょうか?

 裏面はこの世界の文字は書かれていないはずですけど。

 

「いや、なんでもない……それで、そのヤミさんが俺に何の用だ?」


 彼の警戒心が何段階か上がったように感じる。ホルスターに行きかけた手を抑え、原因を考える。

 名刺を渡したが、もしかしたら彼らの文化に無かったのか?それとも言語スプリクトがおかしかっただろうか。


 おそらく彼、なんで来たのか判らないから警戒しているのだろう。

 誤解を解かなければいけない。私は彼の敵ではないのですから。


「1か月ほど前の、魔人のお話をお聞きしたくて参りました」


 そう告げると、彼は聞こえが良しにため息をついた。

 見た目の年齢には程遠い、おやじ臭いと言ってもいいふるまいですね。


「どっちだ?魔人側かそれとも」

「止める側です」

「なるほどなるほど……」


 持っていたジョッキを傾けて中身の液体を飲み込むとやるせなさそうに。

 

「……あの狙撃手か」


 彼は私の背負っていたボロ布を巻きつけたソレを横目で見つつ、どこか納得した様子でそう言った。


――布の中身がわかっている?

 

「……部屋を借りよう金は持っているよな?」


 ああ、場所を変えたいんですか?そうですね……

 服をあさる、硬貨は持ち運びに困るから。価値の高そうなものだけを数枚とってきてましたよね。


「ええ、これで足りますか?」

「んっ!――隠せ隠せ」


 持っている金でできた効果を置くと、彼は焦って戻させる。

 足りない?もしくは使われなくなった古い硬貨なんでしょうか?


「これじゃ足りませんか?」

「逆だ逆、大金貨なんて出されても釣り銭がないだろ」


 確か銅が最低ランクで鉄、銀金と100枚区切りで続いていくんですよね。例えば金貨が無くて銀貨で払おうとすると1000枚ですか。

 硬貨一枚25gくらいだとすると25kg。ああ、そもそも持って歩けないですね


「……ああ、そう言う事ですか」


 遅れながら理解した。


「銀貨とかは持ってねえのか?」

「持つのが面倒で持ってきて無いですね」

「……立て替えておく、その硬貨は普通に町じゃあ使えないと思え」


 どうやら常識が足りないようでしたね。

 彼は先ほど案内してくれようとした猫耳の店員を呼び出す。


「マリオン部屋は空いているか?期間は……俺と一緒でいい」

「んー、二人部屋で良いかニャー?彼女さんには黙っておくニャー」

「一人部屋だ、俺の部屋はもうあるだろう」


 こちらを見てニヤリと言った笑顔で笑う猫耳の店員。

 ありえないが、変な想像しているようだ。


「にゃーそもそもうちに一人部屋とかないにゃー……お兄さんの隣の部屋にしとくニャーね、あんまりうるさくしない様にニャー、じゃないとエルフの子が起きちゃうニャー」

「んあろ……お代はここに置いて置く」


 シッシッシと笑う店員と顔をゆがめる男。男がテーブルに鉄でできた硬貨を置くと立てかけていた剣を手に持って席を立つ。

 私も布にくるまれたソレを取ってついていった。









 階段を上り部屋に着くと男が手慣れたように、カードをかざしてドア開ける。

 ん?そういえば鍵穴がありませんね、カードキー式ですか?


――見た目より発展しているようですね。


 部屋の中に着く思っていたより広いベットが2つ別れておかれている。「ごゆっくり」と言う意味ではなく1人部屋がないのだろう。

 明りは彼がつけてくれた。どうやったのかはわからないが、手をかざしているだけだけで部屋の明かりがついていた。


「ああ、そうだお前の部屋だから鍵は渡さねえとな」


 男は部屋の中、広い所に来ると振り返って投げ渡してくる。

 

 空中で金属質な光沢を振りまきながら飛んでくるキーカード。

 それの燐光を私は片手で捕まえようと――


――なっ!


 突如、彼が鞘に入れたままの剣を、こちらに上段から振りかぶる――

 突然の凶行に思わず、背中のソレを手に取って下から迎撃し――


 キンッ


 落ちたキーカードが静かな部屋に澄んだ音を奏でる。

 

 それに続いて撒いていた布が、先の方からパサリと音を立てながら落ちる。


 男は、布に隠して居たコレの中身を予想していたのか。ニヤリと笑みをたたえながら言った。


「やっぱりか、どこで手に入れたんだ?その"アンチマテリアルライフル"は」


 布から現れたのは、大型のマズルブレーキをたたえた銃口。対ラージパワードスーツ用、口径36mmの個人用携帯スナイパーキャノン。

 対LPS用徹甲砲弾の咆哮を上げるモンスターだ。


 彼に合わせてニヤリと笑みを絶やさずいう。


「……しいて言うなら異世界――かと?」

「――チッ」


 彼は舌打ち一つで剣をベットに投げると、どうなってるんだよこの世界はと小声でぼやいて椅子に座る。

 休戦だ、私もそれに合わせてスナイパーキャノンを立てかけると近くのベットに座った。


「――そうですね。まずはどうして私がここに居るかからを言いましょうか」


 今夜は長くなる。

 私は奇しくも彼と同じことを考えていた

Mrs.K……いや英雄ヤミと言ったほうが通りが良いか

そう教科書にも出てくる彼女だ

まあ最近はあまり話を聞かないけどね

知ってるかい?彼女は記憶を自分で封じたらしいよ

次章『Heroes who is not returned.』

理由?さあ?僕は彼女ではないからね


お読み頂いてありがとうございます。

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