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クリムゾンスカイ  作者: えーじゃん
第一章:同一性
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同一性 12

 見張りに立っていた男の死体を入り口の横に座らせて、逆側で待機する。

 しばらく待って夕日が沈み始めた頃、見張りの交代の足音が聞こえてきた。


「おーい、交代だ……ったく寝てんじゃね――うわっ!」


 交代が座らせた男を確認しようとしている膝を蹴りこむ。体勢が崩れた所の片手を取りうつ伏せに倒し、そのまま背中側に回し関節を決めて動けなくする。

 


「だ、誰だてめえ!誰の差しが――」

「静かにしろ」

「――ッ!」


 首筋に剣を当ててやると交代の男は黙った。

 やってることがまんま暗殺者だが。まあいい手早く質問を済ませてしまおう。


「ここは賊のアジトで合っているな?」

「誰がてめえなんかに――は、刃が」

「正直に答えろ、正直に話せば話すほどお前の寿命が延びる。わかったな?」

「わ、わかった……」


 脅しながら質問をする。まずは分かっていることから順にだ。


「――人数は10人……今は9人だな。明日の早朝に襲撃する予定で洞窟の中に全員居る……と」

「そ、そうだお前がいくら強くても、この人数じゃ勝ち目ねえだろ。だ、だから早く俺を……」

「余計なことを喋るな」

「お、女か?女なら一人まだ生きてる!解放する様にボスと交渉してやるから……」

「何……?」


 連れてこられた奴がいるのか?


「そ、そうだ!おまえ、いや旦那も一緒にどうだ?犯して殺して奪うんだ!旦那ほどの腕があれば、まっとうに生きているよりよっぽど楽し――うぎゃ」

「余計なことを喋るなと言っただろう」


 喚き散らそうとする盗賊の肩を刺して黙らせる。


「まだ生きている奴がいるんだな?」

「あ、ああ、居る、でもエルフより安いからここで捨てるって言っていた。なあ旦那悪いことは言わねえ――」


 捨てる、襲撃する前にここで殺すって事か、ゲス共が。戻っている間に殺される……と。

 ギャアギャアわめいて命乞いをしている賊を見下ろす。こいつからはもうとれる情報はないか。


「――だから助け――」

「もういい、黙れ」


 俺は一言そういって首を掻っ切る。


――これで2つ……か、やってることがまんま暗殺者だな……


 まあいいか、一人じゃほかにどうしようもないし、英雄なんてガラではない。


 そんな事を思いながらすっかり静かになった二人の持ち物をあさる。

 ナイフ等の武器や小銭等とともに松明が出てきた。


 戦闘中などにライトを維持するのはなかなか難しいため、こういうものが有るのだ。

 ちなみに火打石は持っていなかった、火種の魔法は誰でもできるからだろう。


――これが一番早そうだな…


 還気の利かない洞窟の中でたき火をしてはいけない。俺が入り口付近で暮らしていた理由だ。一酸化炭素中毒は怖いからな。


 生木を燻って煙をたいて燻り出すのも期待できる。

 幸い生木ならいくらでも森の中に有るだろう。


――だがな。


 つかまっている人がいるなら話は別だ、英雄願望は無いが救えるなら救いたい。


 俺は血をふいて剣を取出し下段に構えて入っていく。

 と言っても元暮らしていた洞窟だ、入り口付近の地形は頭に入っている。


 明りをつけずに目をならしつつ進んでいく。


――まさかこういう風に戻ってくることになるとはな


 一週間前、ここを飛び出した時は本当に何も持って行かなかった。

 入口近くを見た時は賊どもが荒らしたのか、ほとんど何も残っていなかったが。


――そういえば、まだあるのかな


 入り口近くに覚えていることを刻んだことを思い出した。

 といっても共通語を覚える前だったから、この世界の言葉ではない賊が見ても利用できることはない。まあ今は明かりをつけるわけにはいかないから確認できないが。


 さて何を書いたんだったか?これが終わったら見てもいいかもしれないな。




 少し進むと道のわきに小部屋がある。入ると茣蓙をひいて男が4人ほど寝ているのが見えた。


――運がいいな。


 一人ずつ声を上げないように口元を抑えながら、喉を掻っ切る。

 先ほど里を監視していた奴もいたが特に思う事は無い。


 あっという間に4つの死体が出来上がると、気を緩めるために一つ息を吐いた。


 ……はあ


 順調だ、順調だが……何かとてつもない違和感を感じる。


 他に眠っている賊を起こさないように処理をしていく、そこに違和感はない。

 多対一は勝ち目がないので奇襲で仕留めていく、そこにも違和感が無い。


 だが……


 そう、違和感が無い事に違和感が有る。


 外の見張りを襲う時、他に手が有るにもかかわらず何の迷いもなく死角からの奇襲を選んだ。

 そしてその後も気を引かせての奇襲。


 この物言わぬ永久の眠りについた4つの男にしてもそうだ。

 薄暗くよく見えないが、いずれも瞳孔が開ききって死んでいるだろう。


――そんなこと確認をせずともわかる。


 そうだ、判ってしまう


 まるでやりなれたことをする様に……殺し慣れすぎている。


 何だよ俺は……殺人鬼か何かか?


 そうなると息を吸う暗示も恐ろしくなってくる。

 このままいくと何かが壊れそうだ……。


――いや、もう壊れきっている……?


 そこで考えを止め壁際にへたり込む前に、息を整える。

 それだけで俺欠けた心が無理やり心が正常までまで引き戻された。


 くそっ……


 訳の分からない自己暗示のかかっている自分に腹が立つ。でも山賊の対処のほうが先だ。


 俺は頭の隅に思考を追いやると、音をたてないように小部屋をあさり準備をすませて、洞窟の奥に進んで行った。


お読み頂いてありがとうございます。

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