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親友

珠子にとって初めて出来た親友、里奈は大切な存在だった。

高校生という多感な時期をふたりは一緒に過ごし、里奈はいつも珠子に「私たちって親友」という言葉をやたらと使った。珠子はそれが嬉しくて、しっかりと受け止めていた。親友の2人は卒業し別々の大学に進んでも、時々会うほどに仲が良かった。

元々不安定な所がある里奈は珠子に「死にたい」ともらすことがあった。そんな時、珠子は親身になって里奈の話を聞く。里奈にとって珠子は何でも話せる親友なのだ。

里奈は、珠子と初めて会ってから、珠子を観察して感じたこと・・・・・気が小さくて、何でも素直に受け止めるし、馬鹿正直だし、、、、、操れそう・・・。時々、里奈つく嘘を真に受けて一喜一憂している姿に笑ってしまうのだ。普通嘘だって気付くだろうに、里奈は内心、珠子を馬鹿にしていた。

「死にたい」とこぼすのも、自分は珠子みたいな人間にしか心を開けないのだと思うと惨めに思えてくるせいもあったし、親身に受け止める珠子に、甘えている部分もあったのだろう。


そんな里奈にも彼氏が出来ると、そんなことも言わなくなり、ただひたすらのろけ話を珠子に聞かせるのだった。珠子は

「いいな~、私も彼氏欲しいな~」

と里奈を羨ましがった。里奈は

「すぐ出来るって、珠子かわいいんだし」

と言いながら心の中では、ブスだから厳しいだろうな、と毒づいた。


そんな中、里奈の彼氏の浮気が発覚。里奈はショックで珠子に彼氏の悪口を言いまくり、最後に、決まって

「あんなやつ死ねばいいのに」

「生きてるって何・・・・・死にたいな・・・・」

とこぼした。珠子はそんな里奈の話を真面目に聞いていた。


それから数ヶ月後。里奈の彼氏は交通事故で死んだ。即死だったと言う。

里奈はショックを受け「何でこんな事に・・・・・」

と泣きじゃくった。そんな里奈に珠子は言った。

「何で?死んで欲しいって言っていたじゃない。死んで良かったんじゃないの?」

「は?何言ってるの?ば・・・」

馬鹿なの?と言う言葉を里奈は飲み込んだ。死ねばいいって確かに思ったけど、本当に死んでしまって、ショックを受けている里奈の気持ちを珠子は納得できなかった。


それから、数ヶ月後。突然のことだった。珠子が死んだのだ。

神社の敷地内で倒れているところを発見されたという。

珠子の葬式の時、里奈は静かに涙を流した。

里奈が帰ろうとしたとき、珠子の母親に呼び止められ封筒を渡される。

里奈へ。と書かれていた。

「中は見てないです。珠子・・・死ぬのが分かってたみたいに、机の中に。。私達にも手紙を残してましたから・・・」


-----------


里奈へ。


私は死ぬかもしれない。

里奈の彼氏を呪って殺したのは私です。

呪いって本当に効果があるものなんだね。

でも、呪うと自分にも返ってくるんだって。

私はそれを知らなかったから・・・

だからもし呪いが返ってきたら・・・

私死ぬかもしれない・・・

でも安心してね。

私たち親友だもの。

いつも里奈言ってたでしょ

「死にたい」って・・・・


だから、私、死んだら、里奈のこと、引っ張ってあげるよ・・・。


---------


地面の風が吹き上がり、里奈の手から手紙がするり落ちた。

拾おうとして、手紙で指が切れた。血がぼたりと落ちる。手紙はそのまま風に乗ってどこかに飛んでいっていまった。

風が体にまとわりついてくる。


「里奈」


珠子の声がどこからか聞こえた。




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