俺 異世界に転生する
「おお!ついに生まれたか!?」
「ええ、あなた。元気な男の子ですよ」
誰なんだこの人たちは?……まあ、今は良いか。
そんな事より、この人たち少し大き過ぎないか?
それになんか視界も狭いし……そうだ。試しに声を出してみよう。
「おぎゃ、ぎゃおぎゃ?」
えっ!?
なんか変な声が出たんですけど!?俺ってこんな声しかしゃべれなかったけ!?
◆ ◆ ◆ ◆
色々と思い出して来たぞ。そもそも俺はトラックに撥ねられたはずなんだ。つまりここは病院なのか?
でも病院にしては、何かどちらかと言うと……人の家のような気が……するなあーー。
それに――――――
「フェイ君。暴れちゃだめですよ」
「元気な子だ!流石、俺の息子だな!!」
これはアウトだわー!
まず男の人だ。髪の毛は茶色で、顎からたくさんのひげを生やしている。
所謂、厳ついおっさんだ。
そしてこのおっさん、さっき『俺の息子』と言う爆弾発言をしやがった。
俺の両親は兎も角、親戚にこんな人はいない。
これだけで今の状況が大体掴めるので、現実逃避をしたいのだが、どうやら世界はまだ飽き足らないらしい。
今俺は、きれいな女性におむつを替えてもらっている。
―――――所で、おむつは誰がすると思う?
答えは2択だよね。
お年寄りか、赤ちゃんがほとんどだ。
どうやら俺は、赤ん坊になったらしい。
……って待て!こんな冷静に状況判断するな俺!!
それに無茶苦茶恥ずかしい!幾ら、肉体が0歳に戻ったとしても、こっちの精神年齢は18歳なんだよ!っ分かるか?この年齢になっても母親におむつを替えてもらう恥ずかしさが!!
閑話休題。
はあ、はあ、はあ。
大分暴れたけど、気が付かないだろうなこの二人は。
それよりも、その女性は髪が金色で耳が俺の知っている人間よりも少し長い気がする。
確か友達に読ませてもらった本の中に、こんな感じの人が居たと思うんだが……何だったかな?
「はい、もう終わったわよ。これでしばらくは大丈夫ね」
「そうか。俺にはそんな器用な事が出来ないから、いつもありがとうな」
「いえいえ、エルフの私にはその代わりこの家を守ることは出来ませんから」
この二人はまだイチャイチャしていた。
え?俺にこんなことをする相手?
居なかったよ!修行ばっかしていた俺がモテると思うか!?くそっ、このリア充め!!
はあー、はあ……。
しかもよりによって『エルフ』と来ましたか……。赤ん坊になった位ならまだ何とか生活で来たんだが、これは愈々この二人を頼らなくてはいけなくなってしまったぞ。
だって普通、地球に『エルフ』なんているか?
―――――いや、いないな。
俺の第2の人生1日目のまとめ。
①、ここは異世界。
②、エルフが居る。
③、二人はラブラ――――ゴホンッ!俺には親が居る。