プロローグ
俺の名前は『壊世創次』だ。そして、地球の高校生でもある。
一つ普通の人と違う所を挙げるならば、それは俺の家が『門外不出』の【壊世流】の使い手といった所だろう。
【壊世流】とは、全ての敵を破壊する事を目的として作られた流派で、その危険性から直系以外には絶対に教えられることはない。
また、この流派の存在は誰にも知られてはならないため、俺は今では良好な親友関係を築いているが、昔は色々と大変だった。
この流派を教えてくれた爺さんは既に死んでしまっているが、とんでもないスパルタだった。普段は優しいのだが、修行になるとこっちは死ぬ気でやらないと、本当に死んでしまうレベルだった。
何とか生きてはいるけど、俺の服の下は傷だらけだ。見る人が見たら、虐待に見えてもおかしくないかも……。
そして今の時間は午前6時ちょうど。
また、当たり前の日常が崩れ去るまで、あと20分ちょうどでもあったのに、俺は気が付くことが出来なかった。
いつも通り、俺は親にあいさつをして登校路を歩いていく。
そして高校まで1キロ地点で、手を振りながら何人かが俺のもとに走って来た。
先頭を走っているのは【草原美月】と言う俺のクラスメイトの1人だ。
笑顔で走ってくる。
――――――が、タイミングが悪かった。
信号無視をしたトラックが突っ込んできていたのだ。
「ちっ!!」
俺は舌打ちをしながら、彼女のもとへ走る。
当然、彼女もトラックの存在に気が付いているが、恐怖で反応できていない。
「クソったれがっ!!」
何とか俺は彼女を吹き飛ばす事に成功した。
だが、突き飛ばすと言うことは片方が犠牲にならなければならない。
ドンッ!
視界が反転する。そして過去の記憶などが蘇ってきた。
ああ、これが走馬灯ってやつか……。
「創次君!!?」
最後に聞こえたのは、美月の悲鳴にも近い叫びだった。