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海鳴り

作者: 澤西雄二郎
掲載日:2026/07/12

『海鳴り』(うみなり)


「海鳴り(うみなり)」とは、海岸やその周辺で聞こえる「ゴー」「ゴロゴロ」といった海からの轟音のことです。遠くの波浪やうねりが海岸にぶつかった際に発生する低音の響きが、遠方まで伝わってくる自然現象を指します



ーーエイブラム州知事の条例発表時のニュース


『近年、フルへス海岸での失踪事件が多発しています。これに対しエイブラム州知事はフルへス海岸に近づくことを禁止する条例を議会で可決したことを発表しました。』


『今日の行方不明届です』


『~~~~~(音楽)』


『何情報持っている方は、すぐに連絡してください。』


『続いてのニュースです』


..................


ーーフルへス海岸連続行方不明事件に対する住民の思い。


「あぁ、最近よく聞くね、って言っても、俺何も知らないよ?」


「知らないって言ったって限界あるしなぁ」


「こういうのって大体ろくでもない結果が出てくるだよ、あんたら気を付けるんだな」


ーー気を付けるとは?


「わからねぇフリしたって無理があるぜ」


「俺もこの町じゃ新参者だ、あんたらも俺の後輩になりたいか?」


..................


(旧ワングル地区放送局に宛てられたfax①)


 ご無沙汰してます、ワーグナーです

先日送った「海鳴りの正体」、ご覧になられましたか?

この文献に関して少し訂正を加えたくて、、、


 海面から100m → 海面から20m


 エルクの肉 → ニースの肉

 

 超大型生物 → 規格外生物、我々の想像をはるかに絶する


 嵐にが手が生えて襲ってくる → 嵐の下にいる生物に襲われる


以上、お手数をおかけしますが、お願いします。


..................


(旧ワングル地区放送局に宛てられたfax②)


 編集部長様へ


 昨日訪れたフルへス海岸のアポ許可出ました

明日再び取材してきます

これで一気に経営難から抜け出してやりましょう!

あ、あとこの~~~って部分また僕声当てするのであけておいてください

19時ぐらいにまた帰ります。


..................


(エイプソン夫妻が残したボイスレコーダーの音声)


「こっちは準備できましたよ」


「ありがとう、あの電柱も8回揺れておる、そろそろだ」


「9,今揺れましたよね?」


「あぁ、後二回だ、今日は風もほどよく、といった感じだな」


「窓は閉めてくれたかな」


「えぇもちろんですとも」


「助かるよ、あ、また」


「これで10回目、次ですね.....」


「なに、心配することはないよ、みな訪れるものなんだ」


「本当ですか?」


「あぁ、僕のおじいさんだっておばあさんだって、父さんも母さんも、けど」


「けど?」


「最近は多いね、ニュースで見かけることなんてまずなかったのに」


「ねぇ、本当に大丈夫」


(重く低い音が2分31秒間流れる)


(音には隙間があり、その隙間には、微量ながら女性のうめき声が録音されていた)


(その後、3分57秒の沈黙のあとテープはここで止まった)


(このテープはフルへス海岸で打ち上げられていたのを地域住民が発見し、旧ワングル地区放送局に投稿された)


(エイプソン夫妻はテープが発見される2年前に行方不明届が提出されていた)


..................


(旧ワングル地区放送局に宛てられたfax③)


 いい加減にしてほしいです


あんたらが放送局を立てたときから気に食わなかったんだ


海の見える憩いの地をつぶしやがって


そのせいで海王様はお怒りになられているんだぞ


潰されたくなかったらとっとと出て行って、土地を明け渡すんだな


いい加減にてほしです


あらが放送局を立てたきから気に食わなかったんだ


海のえる憩いをつぶしやがって


そのいで海王様はりになられていんだ


潰れたくなかったらとっと出て行っ土地明け渡すんだ


いい加にてしです


あ送局を立たきから気に食わなかたんだ


海のえる憩いをぶしがっ


そのい王様はりにられていだ


潰れくなかっらとっ行っ土地明すんだ


いい加しです


あ送を立たきから気に食たんだ


海のえる憩いがっ


そのい王はにれていだ


潰れくなかっ土地明すんだ


いい加減にしてほしいです


..................


(エイブラム州にまつわる都市伝説ファイル)


エイブラム州の西側、フルへス海岸がある地域にはある特徴がある。


それが墓の数が極端に少ないのだ。


エイブラム州には事故死した青年や、不治の病にかかってしまった社会人などの墓はあれど、老人の墓は一つとしてないのだ


オカルトライターのワーグルはこういう


「死ぬ直前の老人をいけにえに捧げているんだ」


実際に20年まえにエイブラム州で地震があった


その際、他の州は震度3~4ほど観測されたのだが、フルへス海岸沿いだけ、震度1以下という観測結果があった。


他にも、大きな火災がなかったり、事故死が極端に少なかったりなど。『生贄の結果』と結べる点は存在している。


しかし、物的証拠も、分的証拠も見当たらず、都市伝説の中でも影の薄い話になっている。


..................


(旧ワングル地区放送局特番『海鳴りに迫る!! 恐怖の二時間スペシャル!!!』)


「本日は海洋研究所のスーベンさんにお越しいただきました、本日はありがとうございます」


「ではこちらの映像から.....」


(フルへス海岸で遊ぶ親子連れの映像が流れる)


(画面の左右上部にワイプで出演者がリアクションをとる)


(33秒後、小さいながら、低い音がながれる)


(21秒、画面奥の船が沈み始める)


(11秒後、船が完全に見えなくなる)


「いや~これどうで」


「一方的なんですよね」


「対策のしようがないですよね」


(映像が切り替わりダイバーの水中映像に切り替わる)


(映像中央に何かを発見する)


(映像がぶつ切りされ、コメンテイターが映る画面に切り替わる)


「これってニースの肉ですかね?」


「いいえ、エルクの肉ですね」


「よく見ると上の方にうずができてますね」


(映像が切り替わる)


(エイプソン夫妻の情報が流れる)


(そして失踪の経緯を話す記者)


「馬鹿みたいで」


「は.....え…」


(ここからフィルムテープの摩耗から、音と映像が激しく乱れだす)


(5分後、回復)


「私はこうおもったんですよ」


「この巨人こそ、我々人類の祖先ではないか」


(このあたりから、映像がとぎれとぎれになり、会話の読み取りが不可能になる)


「いやしかしですよ、機器の乱れには」


「ジューンさんに応答を求めてみたんですが」


「ありえないことの連続ですよね、ですが」


(その後の20分間は読み取れず、これ以上の捜査は断念)


..................


(フルへス海岸に接近禁止命令が発令される前日のエイブラム州での天気予報)


本日の天気をお知らせします


今日一日、広い範囲で晴れに恵まれるでしょう


気温も26度とピクニック日和でしょう


しかし、フルへス海岸は天気ぐずつくでしょう


沖の方では、強い風を伴い、雷が降る可能性もあるので、なるべく近づかないようにしましょう


..................


(『海鳴り』についての調査報告書)


 現在フルへス海岸で問題になっている通称『海鳴り』


主に海から聞こえる低い音のことを指すことが多いが、このフルへス海岸でおこる海鳴りにはある特徴がみられた。


海鳴りが起こってから5分以内にフルへス沖で大小違いど嵐が発生しており、人が行方不明になっている


旧ワングル地区放送局に送られたワーグナーのfaxには『嵐にが手が生えて襲ってくる → 嵐の下にいる生物に襲われる』とあり、また『嵐にが手が生えて襲ってくる → 嵐の下にいる生物に襲われる』と書かれている。


その生物に襲われた人が、行方不明者である可能性が高い


ここで謎が複数浮かび上がった。


一つはエイプソン夫妻のボイスレコーダーだ


エイプソン夫妻は、現状記録があるもっとも『海鳴り』の被害者である可能性がある人物であり、行方不明者だ


この夫婦の会話は、レコーダーの確認から始まる。


そして電柱が何回揺れたのかの話に切り替わる。


この後も、電柱が何度か話にあがる


この電柱である。


ほかのどの資料にも電柱は触れられるどころか、話題にもあがっていない


しかし、海鳴りに酷似した音や行方不明者として取り上げられていることから、海鳴り関連で間違いないのだが..........


ここだけがどうしても引っかかる


ここで少し関連するかもしれない資料を発見した


『電柱になりすます怪異』というもの


詳細を省いて説明すると、電柱に化けて人を驚かせる怪異


また、他の怪異との協力関係を結ぶのが得意とされている


もしこの説明が本当なら、海の中の怪異と、この電柱の怪異が協力関係を結んでおり、何か合図を送っている可能性は大いにあると考えられる


また、窓を気にする場面や、妻の方はこの怪異についてあまり詳しくはない様子だった。


夫婦間でも情報に何らかの乖離があったと思われる。


そして海鳴りのほとんどの情報を持っていたであろう組織『旧ワングル地区放送局』


この放送局は1967年から2001年まで存在していた地元のニュースを取り上げる小さな放送局だった


1985年に放送局をフルへス海岸の丘に移転した。


この放送局跡地は、今でもビルが残っており、廃墟になっている。


その二年後から『海鳴り』の調査を行っているとの記録が残っている。


しかし、肝心のその資料はどこにも見当たらず、すべて処分されたか、だれかが故意的に持ち出したかであると考える。


資料として取り上げたfaxも、廃墟内に残っていたものを取り上げている。


補足だが、旧ワングル地区放送局の職員もすべて行方不明になっている


fax③でもあった、『海王様はお怒りになられているんだぞ』が、「怪物=海王」であると考えるのが無難だろう。


また、旧ワングル地区放送局でもう一つ


旧ワングル地区放送局特番『海鳴りに迫る!! 恐怖の二時間スペシャル!!!』である


この番組自体は2000年に収録、放送されたものだが、カセットテープに保存されており、摩耗もひどく、内容がほぼ読み取れなかった。


あの映像の中に、怪異、誰か氏らに好ましくない情報が流れていた可能性が高い


ここでも船が海鳴りに消えている。


エイプソン夫妻の会話でもあったが、ここ数十年で行方不明者が急増している。


この船は「観光船ガッドブルー」


この動画撮影された日に、突如現れた嵐に巻き込まれ、552人が行方不明になっている


またこの町では墓が非常に少ない


これはいけにえと結びつけることができる


「町の一番の高齢者がいけにえに選ばれ、怪異に食われて行方不明になる」


というのが今回の考察である。


いかんせん情報が少ないので、なにか情報を持っている方は、こちらまでお電話ください。

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