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【2-2】湖の畔で、コントロ-ル訓練

ゴウォォォォ~。

右腕の人差し指の先から出している風が・・・・風がどんどん大きくなる。

こ、これではつむじ風じゃなくて、竜巻じゃないかっ。

だ、だめだ。右腕が揺れる。さっと反射的に左手で右腕を支えるが、風の威力で右腕が動く。

「 アルバン先生っ!腕が支えきれませんっ!」

僕は堪らずに、アルバン先生に向かって叫んだ。

お・・・・おかしい・・・・おかしいぞ。小さな風を起こすはずなのに、どんどん焦っていく僕。

「 慌てないで。落ち着いて指先に集中して下さい。」

アルバン先生の語気が、かなり強くなってきた。

あぁ、もうだめだ。もう、腕を支えきれない。

「 風よ、旋風(つむじ)となりて、敵をなぎ倒せっ!」

僕は耐え切れず、思わず叫んでしまった。


竜巻は湖面の上を水しぶきをたてながら流れるように移動し、対岸にたどり着くと岸辺の木々をなぎ倒す。呆然と竜巻を見つめる僕。

どこまで木を倒すんだろう・・・・・・・確かに、なぎ倒している。僕の指示通りだ。

そんな僕にお構いなく、竜巻は数キロ進んだ後、すっと消えていった。

あ”~、また一本の大きな道を作ってしまった。ちくしょう。ちくしょ~うっ!心の中で、叫んだ。

何度試してみても、魔力量が上手くコントロ-ルできない。

僕は短く細い糸のような旋風(つむじ)をイメ-ジしているのに、いつも出てくるのは大きな竜巻だ。しかも、かなり強風。これでは湖の周辺は、荒野になってしまうのではないか。

森に住んでいる動物や鳥が、巻き込まれて死んでないだろうか。死んでるんだろうなぁ。

考えるだに恐ろしい。


「 のぶ。相変わらず、凄い威力ですねぇ~。」

とアルバン先生は、しょげている僕に対して感心するように言った。

「 のぶ、真っ直ぐ風が行くようになったじゃないですか、進歩ですよ。始めたころは、風が方向音痴で、どこへ行くか、全く見当もつかなかったのですから、あの頃に比べれば大きな進歩です。」

そうなのだ。自分の出した風で自分を吹き飛ばした僕は、湖の畔で毎日アルバン先生と魔力量をコントロ-ルする訓練をしているが、全くコントロ-ルできない僕はでたらめな魔力量を出しっぱなしにして、滅茶苦茶な方角に風を飛ばしていたのだ。いや、風なんて可愛いもんじゃないか。

「 確かに真っ直ぐに行くようになりましたが、これでは敵味方共倒れですよ。」

風の威力が強すぎて、見方を巻き込んでしまうのは明らかである。

アルバン先生は僕の言葉を聞くと、大声で笑い、

「 そうですね。確かにのぶの言う通りで、このままでは敵味方、全滅ですね、全滅。はははは。

いや~、凄いわ。」

と、楽し気に言うのであった。既に湖周辺の動植物が、全滅する勢いかも知れないのに。


湖の周辺を荒れ地にしかけてから三か月後。

僕はなんとか魔力量のコントロ-ルができるようになり、攻撃魔法の難易度も上がっていった。風を使って移動することは、まだできない。実は、夜中に屋敷の皆が寝静まった頃。アルバン先生に借りている魔法書で、風の移動魔法をこっそり使ってみたが、瞬間移動かというくらいに飛ばされて酷い目にあったので、それ以来怖くて使っていない。そう、僕は、本当に飛ばされたのである。飛んだのでは、決して、ない。断言する。いや、自慢して言っているわけではない。魔法師になりたくても自分の魔力量が乏しくてなれない人が沢山いることを考えれば、とても贅沢な話だとは思う。

思うのだが、コントロ-ルができなければ宝の持ち腐れである。なんとかならんもんか。悩ましい。

しかし、攻撃魔法はコントロ-ルできたのだから、今度アルバン先生に飛行魔法について聞いてみよう。だが、次は水魔法をするとか言ってたな。最後に雷魔法を習うと言っていた。

「 いや~、僕だって感電死したくないですからねぇ。はははははは。無謀な冒険は、できませんよ。」

とアルバン先生は、朗らかに笑って僕に言ったことがある。

確かにアルバン先生の言う通りで、最初に雷魔法を習っていたら、屋敷の方まで黒焦げになり感電死していたかもしれない。つくづく自分が怖くなる。


そんなこんなで水魔法を習うことになり、最初の風魔法に比べるとコントロ-ルは上手くいき、順調に上位魔法を使えるようになった。割と速く習得できたと言えるだろう。

そこで雷魔法を習う前に、風魔法による移動魔法を教えて欲しいとアルバン先生に伝えた。

アルバン先生は、暫く考えていたが、

「 そうですね。魔力のコントロ-ルが大分上手になったのですから、移動魔法を習得するのもいいですね。移動魔法が使えると、何かと便利ですし。」

と言うことで、雷魔法を習う前に風魔法による移動魔法を習うことになった。


「フェアラ-ゲルン!」

大きな声で僕が叫ぶと、風が僕の身に纏わりつく。と、思ったら、

「 わ!わ、わ、わぁ~~~・・・・」

風は僕を包み込んだまま竜巻となって、遠く彼方へと吹き飛ばした。

アルバン先生は、僕がこうなることを見越していたかのように、迅速に移動魔法を使って僕の後を追いかけ、僕が地面に叩きつけられる寸前に魔法で地面すれすれのところで威力を削いで着地させた。あんな風に吹き飛ばされたら、僕は死んでいたっておかしくないところだ。アルバン先生が神様に見えた。

「 のぶ。あなたは、どうも自分が飛ぶというイメ-ジが、まだできていないようですね。先ずは、宙に浮く、というところから初めてみましょうか。」

アルバン先生は、僕の一発目の飛行魔術を見て、笑いを噛みしめながら言ったのだった。

そして僕は、地面から宙に向かって飛ぶロケットのように、何度も天へ向かって飛んで行っては先生に連れ戻してもらうを繰り返して、ようやく宙に浮くことができるようになった。

最初は地面から10cm程。徐々に高さをつけて、森の木の上までの高さに行けるようになった。

木の上から見た景色は、北部の山脈が見てとれた。まるで城壁のように、大地を二分している山脈。あそこには鉱脈があるのだろうか。そして、魔物も。

風が、ふわっと僕の通り抜けた。


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