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【1-4】エドガ-という男

エドガ-は、赤毛のすらっとした体格で、身長はオルスより少し低いくらいのイケメンだ。

赤毛は艶やかで、ロングストレ-ト。髪を一か所に束ねて、先を三つ編みで束ねている。

以前は束ねていなかったが、実験などで何かと髪がじゃまになり、今の仕様になった。

エドガ-はオルスの親友であり、彼もまた貴族の子弟だった。

ただエドガ-の出身地は、ここエアフルトではない。

エアフルトの下にあるハイブルドン領の領主の三男坊。

正式名は、ハイブルドン伯爵家エドガ-・バ-テン。


「 伯爵家といえど、地方の領主だから三男坊は家にいられないんだよね。」

と自嘲気味に言う彼だが、彼の才能を聞くと、実家は残って欲しかったんじゃないかなぁと思えてならない。なのに、

「 オルスと一緒にいると、飽きないからねぇ。」

という理由で、オルスにくっついてエアフルトで暮らしているとのことだった。

オルスもそうだが、エドガ-も一見優男のように見えるが、彼らは学生時代、二人でパ-ティを組んで冒険者まがいのことをしていたらしい。

二人とも最高峰ではないが、高レベルな魔術を扱うこともできるし、身体的にも高レベルの魔物と戦い勝つこともできることが、二人の昔話で垣間見えることがある。

最初は魔物のことを知らなかったので、二人が倒した魔物のレベルがどれほど凄いのか分からなかったが、段々エアフルトのことが分かっていくと、血の気が引くような強さがうかがい知れた。


エドガ-の実家ハイブルドン伯爵家は、昔からオルスのノルトライン伯爵家と仲が良い。

互いの高祖父の代に竜害の戦いで、両家で共闘し竜を打ち破った。

その時、両家の領主が意気投合し、何をするのも相談しあう気心知れた仲となった。

両家とも似たような立地で環境。悩み事も、必然と同じようなことになる。


両家の交流は頻繁に行われ、場合によっては両家の息子や娘の間で恋する気持ちが生まれ、結婚に至ることもあった。

娘が相手の家に嫁いでも自分の実家のことだけを考えるのではなく、両家のことを思いやって動くので、両家の片方が落ちぶれることもなく円満にやっていけているのだという。

それはそれで、凄い社交術とも言えるが。

「兄たちは、皆とても優秀で、僕の出番はないんだよ。」

とエドガ-は茶目っ気たっぷりに言う。

だが話を聞く限りでは、ハイブルドン伯爵家は昔から子供たちは優秀で、どの子も外れがないと皆から羨ましがられている。


エドガ-は主に鉱床を探し出す魔術の研究を行っているが、その技術がある程度熟しているので、合間に対竜の魔術技術の開発や領主軍の魔術師に指導をしているというから驚く。

イケメンで賢く、そして強い。怖いものなし、じゃないか。

加えて性格も、とても良い。完璧な男っているんだなぁ・・・。

しかもオルスだって、エドガ-に負けず劣らずだ。

かつて、僕の傍に、こんなに優秀な人間は、いただろうか?

いない、いない。

僕は思わず、手を顔前でひらひらとさせた。思わず、ふか~いため息がでる。

ない、ない、ない、ない。そんな完璧な男が、いて、たまるか。

でも、いちゃうんだよなぁ。これが、異世界の恐ろしさだ。

小説のあれやこれやを読んで、カッコいい男で同じ男でも惚れてしまう。

そんな主人公や脇役に、心がときめいたのは一度や二度ではない。

だが、どこか心の奥底では、こんな奴、いるわけない。いてたまるか。

と、取り柄のない僕は、思っていた。こんなひねくれものの僕でさえ、彼らを見ていると素直に凄いと感動すら覚えるのである。

いっそ家庭教師は、二人がしてくれたらいいのに、とさえ思う。

いや、どちらか一人でもいい。贅沢は言わない。

と思ってしまうが、エアフルトの領民が聞けば、ふざけるなと怒鳴りたくなるような話だ。


そんなこんなでエドガ-は、基本、忙しい身だ。

会えば暇そうな空気を漂わせているが、彼の直属の部下ア-ベルさんは、いつも鬼の形相でエドガ-を探している。

ふらっと突然、その場から消えていなくなるエドガ-を、探して捕まえて仕事をさせているらしい。

ア-ベルさんが、いつか倒れるのではないか、と心配になるくらいだ。

ア-ベルさんが倒れたらエドガ-研究事務所(僕が勝手に言っている)が立ち行かなくなって、ノイローゼになる人が続出すると言われている。

実際、そうなった事があったそうだ。

今なお、時折語られる話は、周囲を恐怖で凍り付かせている。

どんだけ酷いことを、やったんだ、エドガ-。

その時の恐怖から、エドガ-に猫の鈴ならぬエドガ-の鈴をつけるのだが、そこは上級魔術師。数日は、鈴を鳴らしてはいるが、いつの間にか鈴を外して行方を晦ますのが得意。

話を聞いていた時は、正直ピンと来なかった。

だが後に、この恐怖を僕も体験するのだった。

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