【3-8】インゼクトダンジョン―5
のそのそと木の枝を伝って、地面へと辿り着いた。
地面は思ったよりもジメジメしておらず、草も背が低くて歩きやすかった。
人や動物の声や動きがないか、耳を澄まして聞いてみる。どうやら近くにはいないようだ。
空気の塊がでた辺りまで、行ってみることにした。思ったよりも近くだった。
無数の鳥が、木の枝や地面に落ちたまま動かずにいる。
誰がこの鳥を取りにくるのか。いや、動物なのか。もしかして昆虫なのか。肉食の昆虫なんて怖いが、いないわけではない。虫が虫を食べるのだから。あまり想像はしたくないが。
暫く待っていると、ガサガサと何かが近づいてくる音がした。
ゴクリ・・・ 僕は、緊張した。何が茂みからでてくるのか。
ガサガサと草を踏む音と共に出てきたのは、一人の男性だった。
身長は180cmくらいあるだろうか。がっしりした体格ではないが、鍛えているような感じはする。
冒険者らしい服装で、身軽な装備だった。鳥を見つけるとマジックバックの中に収納しているようだった。マジックバックを持っているのだから、結構稼いでいる冒険家なのだろう。黙々と作業をしている。見るからに悪人面ではない男に、僕は思い切って声をかけることにした。
「あのう・・・」
男は声をかけられるとは予想していなかったようで、ちょっと驚くと僕をじっと見た。
「あのう・・・僕は、初めてこのダンジョンに単独で挑戦しているのですが・・・・・・」
と話しかけると、男は
「 道に迷ったのか?」
と訪ねてきた。
僕とエルマ-は、地上を歩いて出口へと向かった。
途中でカブト虫みたいなケ-ファ-という昆虫と出くわした。サイズがサイのような大きさで、大きな角をブンブン振り回して攻撃してきた。エルマ-は慣れたもんで、足元や胴体の下を狙って風魔法で攻撃。どうやらケ-ファ-をひっくり返そうとしているようだった。
僕も見ているだけでは情けないので攻撃をしようと前へ出た瞬間、
「 のぶ! 危ない! 」
とエルマ-が叫ぶ声が聞こえると同時に、ケ-ファ-の角が僕に突進してきた。
僕が恐怖で体が一歩も動かなかった。
その時、僕の後ろから人影が見えたかと思うと、ケ-ファ-の角を素手で持ち上げる男が眼前に立っていた。
「 うおぉぉぉぉぉ~」
と力む声とともに男はケ-ファ-を持ち上げ、そのままケ-ファ-をひっくり返してしまった。
そして腹部を出して慌てふためいて足をバタバタさせているケ-ファ-に、大剣一撃で息の根を止めてしまった。
僕は目の前で起こった出来事に呆然とするしかなかった。
「 おい、のぶ、大丈夫か?」
エルマ-が僕に駆け寄って心配そうに声をかける。
「 あぁ、はい。大丈夫です。」
僕は我に返って、慌てて返事をした。ケ-ファ-を一撃で倒した男は、僕達の方に振り向くと、
「 やぁ、エルマ-。珍しいな、新人を連れて歩くなんて。」
とエルマ-に話しかけた。そして僕に視線を合わせると、
「 君も危ないところだったな。間に合ってよかった。」
そう言ってニカッと人の好い笑顔を向けた。
「 ア-ドルフ。君が居合わせてくれて、本当に良かった。助かったよ。感謝する。」
エルマ-は大剣の男ア-ドルフに感謝を告げると、談笑を始めた。
二人は顔見知りで、仲が良いみたいだった。同じパ-ティなのだろうか。偶然、ここに居合わせたようだ。二人の話を聞いていると、二人とも船の出航まで空いた時間を潰すために、このダンジョンに来たようだった。
「 じゃぁ、俺もエルマ-達と一緒に5階層まで行くとするか。エルマ-。ピングイ-ンを狩ったんだろ。道中、肉を食わせろ。ピングイ-ンの肉は油がのって旨いからな。楽しみだ。」
ア-ドルフは心底楽しそうにエルマ-にいうと、
「 ちゃっかりしてるな。」
とエルマ-が苦笑しつつ応じ、僕らは三人で5階層を目指すことになった。
「 はい。急にドンという大きな音がして鳥が沢山落ちてきたので、びっくりしちゃって。誰かがいるかなと思って・・・」
「 そうか。驚かせて悪かったな。ピングイ-ンを狩ってたんだ。俺の名はエルマ-だ。エルマ-・ノ-トン、B級冒険者だ。君は?」
そういうとフラミンゴのような鳥、ピングイ-ン持ち上げてエルマ-は言った。
「 僕は、藤堂信之と言います。F級でここのダンジョンが初めてです。ピングイ-ンを狩って羽か肉を売るんですか?」
「 そうだ。羽は装飾に使うし肉は美味しいので人気がある。高く売れる。驚かせた詫びに君にも数羽上げるよ。」
エルマ-はそう言うと、僕に数羽のピングイ-ンを渡そうとした。僕は慌てて手を振って、
「 いえ、僕が貰うわけにはいきません。それより地上から打った空気の塊みたいなのは、魔法ですか?何の魔法になるんですか? 」
「 あれか。あれは風魔法の一種だ。コンプレッサーというんだ。圧縮して打つから威力がある。こういう狩りには適してる。君も風魔法を使うのか?」
「 はい。初めて見る魔法だったので、興味があって。」
「 そうだな。威力はあるが、消費する魔力量が半端ない。だからここぞという時に使うことが多いかな。」
「 なるほど。滅多なことでは使わないんですね。ところでこれからどうされるんですか?出口まで行かれるんですか?」
「 そうだな。今回はピングイ-ンの群れにあたったから、これ以上狩る必要もなくなったし。出口を目指してもいいんだが・・・ 君は何層まで行くつもりなんだ? 」
エルマ-は、目的を達成しているようだ。
「 僕は5階層まで行く予定です。ただ、どうも予定通りに事が運ばなくて・・・」
と僕は今までの事を簡単に説明した。
「 そうか。昨日、僕のコンプレッサーで酷い目にあったのか。悪かったな。」
申し訳なさそうにエルマ-は僕を見て謝ると、ちょっと考えてこう言った。
「 だったらお詫びに5階層まで付き合おう。マジックバックに保管しておけば、ピングイ-ンの鮮度は保てるし、ついでに他のものを狩ってもいいしな。」
「 本当ですか! それは願ったりかなったりです! とても有難い! 」
僕はエルマ-が耀いて見えた。やはり僕は、一人では不安で心細かったのだ。
僕とエルマ-は、地上を歩いて出口へと向かった。
途中でカブト虫みたいなケ-ファ-という昆虫と出くわした。サイズがサイのような大きさで、大きな角をブンブン振り回して攻撃してきた。エルマ-は慣れたもんで、足元や胴体の下を狙って風魔法で攻撃。どうやらケ-ファ-をひっくり返そうとしているようだった。
僕も見ているだけでは情けないので攻撃をしようと前へ出た瞬間、
「 のぶ! 危ない! 」
とエルマ-が叫ぶ声が聞こえると同時に、ケ-ファ-の角が僕に突進してきた。
僕が恐怖で体が一歩も動かなかった。
その時、僕の後ろから人影が見えたかと思うと、ケ-ファ-の角を素手で持ち上げる男が眼前に立っていた。
「 うおぉぉぉぉぉ~」
と力む声とともに男はケ-ファ-を持ち上げ、そのままケ-ファ-をひっくり返してしまった。
そして腹部を出して慌てふためいて足をバタバタさせているケ-ファ-に、大剣一撃で息の根を止めてしまった。
僕は目の前で起こった出来事に呆然とするしかなかった。
「 おい、のぶ、大丈夫か?」
エルマ-が僕に駆け寄って心配そうに声をかける。
「 あぁ、はい。大丈夫です。」
僕は我に返って、慌てて返事をした。ケ-ファ-を一撃で倒した男は、僕達の方に振り向くと、
「 やぁ、エルマ-。珍しいな、新人を連れて歩くなんて。」
とエルマ-に話しかけた。そして僕に視線を合わせると、
「 君も危ないところだったな。間に合ってよかった。」
そう言ってニカッと人の好い笑顔を向けた。
「 ア-ドルフ。君が居合わせてくれて、本当に良かった。助かったよ。感謝する。」
エルマ-は大剣の男ア-ドルフに感謝を告げると、談笑を始めた。
二人は顔見知りで、仲が良いみたいだった。同じパ-ティなのだろうか。偶然、ここに居合わせたようだ。二人の話を聞いていると、二人とも船の出航まで空いた時間を潰すために、このダンジョンに来たようだった。
「 じゃぁ、俺もエルマ-達と一緒に5階層まで行くとするか。エルマ-。ピングイ-ンを狩ったんだろ。道中、肉を食わせろ。ピングイ-ンの肉は油がのって旨いからな。楽しみだ。」
ア-ドルフは心底楽しそうにエルマ-にいうと、
「 ちゃっかりしてるな。」
とエルマ-が苦笑しつつ応じ、僕らは三人で5階層を目指すことになった。




