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【3-2】冒険者ギルド

取り合えずシュレ-スの町に入ったはいいが、生活を落ち着かせる場所を探さないといけない。

とは言え、どこをどう探せばいいのか、全くわからない。誰かに追われている、と考えると迂闊に道行く人に聞くのも躊躇われる。

「 そうだ。冒険者ギルドに行ってみよう。小説なんかだと、子供だって登録して小遣い稼ぎをしてることもあるし、案外いけるかもしれないしな。」

冒険者ギルドに登録できれば、宿の紹介もしてくれるかもしれない。

とは言え、闇雲に冒険者ギルドを探すのも、大変そうだ。僕は道の端により、さりげなく周囲を見回してみた。通行人が、行きかっている道を、暫く見ていると、冒険者っぽい人達が歩いているのを発見した。

「 う~ん、怖いくらい順調。こんなに調子が良くて、いいんだろうか。あ、逃げてるから順調というわけでもないか。」

と混乱した頭で冒険者らしいグル-プの後を、ついていく。20分くらい歩いただろうか。思ったより近い場所に、冒険者ギルドの建物があった。

僕は冒険者ギルドの入口の前で、入るのを躊躇った。今更である。だが、勇気がいる。

冒険者ギルドに指名手配が回ってたら、どうしよう。

別室に連れられて、即牢屋送りとか、怖すぎる。頭を抱えて悩んでいる僕の前には、分厚くて立派な扉が立ちはだかる。冒険者の出入りはあり、隙間から見える中は、活気があるようだった。人も沢山いて、案外僕は気づかれないんじゃないか、と思えてきた。いや、そうだといいな、そうだよ、きっとそうに違いない。気づかれない。

思い切って、ドアを押して中に入った。


ぐるっと部屋の中を見回した。ロビ-みたいなところにカウンターが一列に並んでいる。カウンターで登録とか仕事(クエスト)の受注とか、しているんだろうな。

と思いつつ、ちょっと部屋の隅に移動してみる。入口の前というのは、目立つような気がするからだ。そしてロビ-の隅には、椅子とテ-ブルが幾つか置かれている。談笑している冒険家たちがいたので、混ざることにした。丁度空いている席があったので、早速腰かけてみる。

そして、改めてじっくりとロビ-の様子を眺めてみた。

壁に張られている張り紙。あれが、クエストってやつかな。何人かが張り紙を見て、話し込んでいる。

奥には食堂らしき場所があり、飲食ができるようだ。昼間なのに、ビ-ルっぽい泡立ったものを飲んでいる奴らがいる。楽しそうだ、凄く。

30分ほどロビ-を眺めて、思い切ってカウンターで登録をしてみる気になった。

いつまでもここにいるわけにもいかない。いつかはここだって閉められてしまうのだから。

カウンターには、特に看板など置かれていなかった。どこのカウンターでも対応すると言うことか。市役所の窓口みたいに、要件別に窓口が分かれているわけではないらしい。

カウンターの前に行くと、女性がにっこりと愛想よく笑い僕に言った。

「 いらっしゃいませ。ご用件は、何でしょう?」

「 あ、あの。冒険者登録をしたいのですが。」

僕はちょっと緊張して言った。ドキドキした。

「 登録ですね。分かりました。この用紙に、必要事項を記入願います。」

女性は慣れた様子で用紙をカウンターから申請書を取り出し、僕の目の前に置いた。

僕は名前、年齢と順に書いていくと、住所の欄にたどりついた。あ。

「 えっと、僕はこの町に初めて来て宿を探しているんです。どこかいい宿はないですか。紹介してもらえると、助かるのですが。」

そう。僕はこの町に住んでいるわけではない。住所だって、オルスの家の住所を書くわけには、いかないだろう。

「 宿ですか。そうですね。ここの近くに素泊まりもできるし、食事も頼めばだしてくれる宿があります。小さな家族経営の宿ですが、宿屋の皆さんは親切で気が付くし、評判はいいですよ。」

と、これまた慣れた様子で一枚の白紙を取り出して、宿までの地図を書いてくれた。

「 宿の名前は、ヴィントです。看板が掛かっているので、分かると思いますよ。」

「 分かりました。住所は、ヴィントでいいですか?いいんですね。じゃ、そこで。」

僕は住所を教えて貰って記入した。使える魔法属性を書く欄があったが、風だけ記入した。大体一人につき使える属性は一つだと、以前オルスが言ってなかったか。あまり目立つようなことは、したくない。記入済み申請書を、女性に渡すと、彼女は言った。

「 紹介が遅くなりました。私は、ノラと言います。この内容で申請を承りました。こちらが、冒険者ギルドのカ-ドになります。くれぐれも無くさないように願います。」

サクサクとノラは仕事をこなしていく。場所によっては、通行料を取られることもあるが、冒険者ギルドのカ-ドを提示するれば1割の通行料に割引されるとのこと。冒険者ギルドのカ-ドの再発行には、銅貨5枚。ちなみに新規登録料は、銅貨2枚。

「 最初はFランクからのスタ-トなります。登録後の本日から三か月以内に、クエストをこなされなければ登録は無効になります。もう一度最初からの登録になりますので、ご注意願います。

クエストは、あちらの壁に張られていますので、ご確認ください。張り紙にはランク別になっているので、分かりやすいと思います。では、ご活躍を期待しております。有難うございました。」

ということで、あっさりと冒険者ギルドのカ-ドを手に入れた。


早速僕はノラが書いてくれた宿屋までの地図を片手に、宿屋に向かった。

宿屋は直ぐに見つかった。こじんまりとした店だが、清潔そうな宿屋だった。古い建物だが、きちんと手入れされている気がした。ドアを開け中に入ると、

「 いらっしゃい!」

と威勢のいい声で、大柄な男性が迎えてくれた。

「 一人部屋、借りたいんですが空いてますか?」

僕が冒険者ギルドに、この宿を教えて貰ったことを説明して訪ねると、

「 一人部屋だね。空いてるよ。何日泊まる予定?」

男性はと気さくに話しかけてきた。

「 僕、この町に来たばかりで。冒険者ギルドの登録もさっきしたばかりで・・・・・・何日、ここに滞在するかも、はっきり決めてなくて・・・・」

と、僕がごにょごにょ言うと、じ~っと僕を見つめていた男性は、

「 そうかい。じゃぁ、取り合えず一週間くらい予約しとくかい。延長するなら、前日までに言ってくれればいいからサ。素泊まりで一泊銅貨12枚。食事は、事前に言ってくれれば、用意するよ。カウンター前に食堂があるから、メニュ-見ていくといい。洗濯もするから、必要なら言ってくれ。」

と僕に言うと、棚から部屋の鍵を取り出した。

「 じゃぁ、一週間、泊まるので宜しくお願いします。」

僕は、ぺこりと頭を下げると、男性から鍵を受け取った。そして男性が差し出した宿泊記帳に、名前などを簡単に記入した。

「 では、部屋に案内するよ。俺の名は、アルノ-・アンゾルゲって言うんだ。俺のほかに妻のアデリナ、息子のライマ-、娘のエルゼがいる。四人家族で、この店をやり繰りしているんだ。」

アルノ-は、楽しそうに家族の事を話しながら二階へと階段を上がり、角部屋まで行くと部屋のドアを開けながら、

「 ここが、君の部屋になる。部屋には、ベットと文机に椅子。小さいがクロ-ゼットもある。部屋には洗面台とトイレはあるが、風呂はなしだ。4階に共同の風呂があるから、そこに入ってもらうことになる。リネン類は、一週間に一度の交換だ。」

こざっぱりした清潔な部屋に、僕は十分有難かった。思わず、僕はホッとした。

「 十分です。空き部屋があって、良かった。夕食は、何時までレストランが空いてますか?」

「 夜の9時までだ。いつでも来ていいが、ラストオーダーは8時半までだから、注意してくれ。」

じゃぁ、と言うと、アルノ-はテンポよく歩いて引き返していった。

「ふうぅ~」

荷物をベットの上に置いて、ベットに横になる。ベットマットは、イイ感じの硬さだ。久しぶりのベットの感触。掛け布団に潜り込むと、いつの間にか僕は眠ってしまっていた。


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