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【2-5】 エドガ-さんの発明品

翌日の午後、僕とアルバン先生が実践訓練をしている時、珍しい来客があった。

「 アルバン!今、ちょっといいかな。」

エドガ-さんだった。エドガ-さんとは廊下で会うくらいで、あまり話をしたことはなかった。研究室に籠って、何かに没頭していたらしい。前に会った時より、小汚くなってやつれている感じがした。

「 エドガ-。できましたか。」

とアルバン先生は、手を停めてエドガ-さんに顔を向けていった。

「 えぇ。やっとできました。」

エドガ-さんは服のポケットから丸い金属でできた物を取り出した。

「 思ったより小さいですね。これで通信ができるのですか。」

「 これを一つ、アルバンに渡しておく。ここのボタンを押して話すと、相手と会話ができる。じゃ、僕がちょっと離れて試してみよう。」

そういうと、エドガ-さんは100mくらい離れると、手を振って合図した。

「 エドガ-、聞こえるか。」

そうアルバン先生が、ボタンを押しながら丸い機械に話しかけると、

「 アルバン、聞こえるよ。君にも聞こえているだろう。」

とエドガ-さんの声が聞こえてきた。おぉ~。これは携帯電話みたいに会話ができている。僕は、ちょっと興奮した。これは僕も欲しい。エドガ-さんが、再び僕たちのところへ戻ってきた。

「 これは距離に関係なく使える。ただ、相手がこの機械を作動させていなければ、通話はできない。それと、相手から連絡が入っても気が付かないと通話ができないんだ。」

「 それは、ちょっと不便かもしれませんね。」

「 あ、じゃぁ、文字が出るようにしたら、いいんじゃないですか?

文章で相手と会話できるようにするんです。文章は読んでも残せるようにするんです。文章は、消したいときに消せるようにすれば、問題ないと思います。」

と、僕が会話に混じると、二人は一斉に僕の方を向いて、えっという顔をした。

「 それ、頂きました。」

と、エドガ-さん。

「 そうだよ。文字が出るようにすればいいんだ。バカだなぁ。なぜ、それが思いつかなかったんだ。だが、通話と文字の両方となると、面倒だなぁ。この機械では、詰め込みすぎになってしまう。」

「 じゃぁ、文字に加えて日付と時間が分かるようにすればいいのでは?相手がいつ送ったか分かるようにすれば、対応もしやすいんじゃないかと。」

「 そうだな。将来、会話もできるようにして、今は文字が送れる方が、いいな。」

と僕の提案に、アルバン先生が乗っかる。

「 文字に日時を加えるか。それなら、まだやりようがある。よし。その線で、もう一度組みなおすよ。」

じゃ~ねぇ~、とエドガ-さんは、自分の用事が住むと、さっさと自分の研究室へと帰っていった。



それから二週間が過ぎた頃、エドガ-さんが再び僕らのところへやってきた。

「 アルバン、できたよ~。」

エドガ-さんが、軽快な足取りでアルバン先生を呼んだ。

早速三人でエドガ-さんが作った通信機械の完成品を見た。丸い形は変わりなかった。二つある機会の内、一つをアルバン先生へ手渡すと、その場で魔法で文字を書き込み、送信した。すると今度はアルバン先生が持っていた通信機械が、小さい光がチカチカ点滅した。

次にアルバン先生が機械の中央を押すと、文字が現れた。文字の下には送信した日時がでている。

「 これはいい。これ、直ぐに10個作ってください。」

アルバン先生は、エドガ-さんに向かって言った。

「 10個、ね。はいはい。1個作るのに一週間欲しいんだけど。」

「 できるだけ、早急に。理由は、分かっているでしょう。」

と、あまり引く気になっていないアルバン先生に押されたように、エドガ-さんは仕方がないという諦めにもにた顔で頷くと、研究室へと戻っていった。

「 あれがあると、随分便利ですね。僕も1個、欲しいなぁ。」

と僕が呟くと、

「 のぶ。君に渡すと魔力の込め過ぎて壊すんじゃないですか。1つあなたに渡してもいいですが、魔力のコントロ-ルをもうちょっと頑張らなくては渡せませんよ。」

とキリッとした顔で、アルバン先生に言われてしまった。

「 アルバン先生、いいじゃないですか。僕のコントロ-ルでは、壊れませんよ、試してみますか。」

そう言って、僕は先生に通信機械を受け取ると、魔力を軽く込めてみた。


ボンッ!ブブブブブ・・・・・・・・・・・・プツン。


あれ?機械から変な音がしたけど。光の点滅が、消えてる?あれ?あれ?

「 アルバン先生、なんか、おかしいですね。」

「 おかしいのは、君の魔力量だっ!」

アルバン先生が、怒っておられる。

「 だから言ったでしょう。君には早いと。信じた私がバカだったんです。えぇ、信じた私が。」

アルバン先生は、がっくりと肩を落とすと、てくてくとエドガ-さんの研究室へと向かって行った。

そして思い出したかのように、僕に振り向くと、

「 もう、やる気が失せました。今日の訓練は、これで終わりです。解散。」


そして後からこの話を聞いたオルスは、

「 あ~っはっはっっっはっ!やるな、のぶ。のぶは、そうでなくっちゃ。」

と大いに笑い、美味しそうにワインを飲み干したそうだ。

そしてオルスは、僕を見る度に笑いそうになるのを必死に堪えるような顔をするのだった。

居たたまれない、僕。


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