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その嘘を知ってて見逃すと、気付かないのは話が別

作者: 孤独

昨日起きた出来事である。


最近は何かと物騒であると同時に、真実なのか、嘘なのか、という話も多い


「野尻さん、”本人限定”のお荷物です。身分証明であるものを出してください」


ご本人様限定のお荷物を届ける際。

運転免許証やマイナンバーカードといったモノを確認する事で、お渡しできるお荷物だ。どーいう身分証明がいるかは、事前に連絡が入っているのでちゃんと確認してくれ。

勿論のことだが、


これをやるのは、ご本人様が大前提であるのが、こっちが思っているルールである。


実のところ、本当にご本人様なのかは……分かってはいない。顔さえ見えれば、良いよって話にもしてるわけだが……。


「マイナンバーですね。……生年月日、……発行者、……ご住所、……顔写真、……」


本当に失礼な話になるから、基本は聞かない。ただ極稀に……本人とは違う兄弟が出て来たりしている。

あなただって、顔写真の方は髪がフサフサなのに、今は禿げていますが、ホントにご本人様ですか?って尋ねたら嫌に思うだろう?女性だったら、今のスッピンと化粧してる証明写真の顔が大分違いますけどって、言われたらキレるだろ?

若い子の身分証明の写真を見ると、ヒャッハーしている写真だったりして、二度見しちゃいますが。ご本人だよね?って暗黙で確認している。



「野尻雪子様………?……」


だから、ホントの話。

身分証明しか基本は見ていない。疑っちゃいけないし、そーいう書類を持っているという事は、ご本人だよね?っていう、配送業者と差出人の確認に他ならない。


「荷物の受取が野尻秋穗様……?なんですか、こっちのマイナンバーは?」


当たり前だが、荷物には顔写真がない。うっかり、マイナンバーカードを出し間違えたのかと、……1%くらいは思ってあげて、99%はお前本人じゃねぇのかと思う。


「わ、私のです」

「いや、そうじゃなくて。ちょっと待って」


そもそも本人限定の配達の依頼は、ご本人様がやるというのが、当たり前だ。だって、ご本人様じゃないと受け取れないんだから。他の家族では受け取れないわけだ。

これを親がうっかりやっちゃうケースは、いくつもあるんだ。私は『この子の親ですよ!!』って大きな声で叫ぶんだけど。そりゃあ、分かるんだけど、信頼できるんだけど。ご本人様に渡さないと、我々の信頼が損なわれるんですよ。って事で、ご本人様が家の中から顔を出してくれりゃあ、いい話をしつつ、いなけりゃ諦めろって、不在票をお渡す形です。子供の身分証明を見せられても困るわけです。ご本人が受け取れって、通知には書いてあるはずです。中身が分かっててもね。



「あー、これは……無理ですね(できないわけじゃないけど)」

「こ、こっちが母の、マイナンバーです!!」

「いや、だから。無理。秋穗様はいますか?」


長いことやってるけど。

娘が、母親の本人限定の荷物を、受け取ろうという事例は初めてであった。逆があるのか?ビックリしてしまった。


「母のマイナンバーですから!受け取ります!!」

「いや、ご本人がいなかったらダメなんですって(中身が大したものではないのは、分かってるけど)」

「娘でもいいじゃないですか!!」

「ダメですよ」


娘の年齢を学生かなって思う?……これが、20前半。大学生かな?それとも高卒の社会人なのか、分からないけど。



「母親って戻ってきますか?コンビニとかに行ってる感じ?」

「母は長崎に行ってて、危篤のお爺ちゃんの見舞いに行ってるんですぅ!!私が受け取ります!」

「いや、そんな状況なら、配達なんか頼まないでしょ……」



……驚いたのは、1秒も経たずに、こうやって弁明できるんだって、……若い子凄いなーって思う。再配達させるのは申し訳ないって感じなのか、それともこれが欲しいだけなのか?親に怒られるから?……これはどう考えても、親が悪いじゃんってツッコミ入るはずよ。

ただね。


「まぁ、その。留置き期間。6月12日までこっちで預かってるから、時間はあるから、延長もできるんで。焦らなくて良いと思うよ」


期間に余裕があることと、もう一度、ご本人様が時間を作って、再配達の依頼をすることを伝えつつ。


「この事前確認の用紙あるんだけど。これを登録してるの、あなたの名前、”野尻雪子”様になってるのよ。分かってくれ。あなたの情報を送っても、意味がないのよ」


この本人限定の場合。

野尻秋穗様の個人情報を求められているはずなのに、

その登録を、野尻雪子様の個人情報で登録して、再配達を頼んでいるという状態なのだ。


(まぁ、紙を書き換えれば、別にいいんだけど。今回、とうのご本人様が留守だからね)


「秋穗様の個人情報を求めてるのに、雪子様の個人情報を差出人様に送っちゃ、向こうだってオカシイってご連絡が入りますよ。ご本人もいないわけだから、ここは不在対応にさせてもらいますよ」


3分ほど話して、娘さんも納得してくれた。

別に悪い事はしてないと思うけれど、これは分かって欲しい話だ。


◇           ◇



チーーーーーンッ


「レターパックを購入したいんですけど」

「分かりました。いくつですか?」


人は不思議なんだが。……ダメと言われたことをやる人が一定数いる。

実際のところ、それはできるのだ。


「……………」


【現金100万円とキャッシュカードを、この住所に送ってください】


「よし」


我々は当たり前だが、その中身を確認しない。で、現金やキャッシュカード、お通帳などを送る際には気を付けてください。特に家族じゃない、赤の他人に送る場合である。


ガコォンッ


「これで来月に3倍で帰ってくるんだー!お金を稼ぐなんて超、楽~!」


私達はそれを止めることが、”基本的”にはできない。



「木下さん、ここ空き家なのに、レターパックが4つも来てるのおかしくねぇか?」

「現地行くしかねぇだろ。表札が出てたら、入れるしかねぇ。送る奴が悪いに決まってる」

「……あんたねぇ。いきなり、通帳が4つも届くなんておかしいだろ」

「俺は聖人やってるつもりはねぇ」


詐欺グループは極稀に、我々にお金やキャッシュカードを運ばせます。これらは基本的に、書留などで送るようにしてください。レターパックや通常郵便などで送るように言われる事は、おかしい話です。


本編でも書いてますが、お客様がすごく若い方だったので、ビックリしました。

実際、お客様が書類を間違えてなかったら、自分も配達してしまいます。親子も似てる方はいますし。



それもそうですが。

悪い事やダメな事を平然とやれるってことは、自分で考えなくてもこーすればいいよって、他人の言葉を平然と受け取れて実行してしまうことです。

最後の方に書きましたが、こーいう方が”本当に自分を騙そうとする人間”と出会った時に、回避できることを願います。騙される方が悪いって、騙す奴の台詞ですからね。自分は騙す方が悪いと思いますし、そんな奴がいなけりゃ、より平和で安心だと思いますから。


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