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ボルクス村 1

そういう展開に?

自分でも以外でした。

「どう? ルダ君は?」

「もう、ぐっすりよ。シェリーちゃんも一緒に寝かして来たわ。そうとう根詰めてたからね」

「ああ、ありがとうな」


ルダがボルクス村に帰って来て大騒ぎだったのは言うまでもない。

千切れた足があり、大量の血痕が残されている状態で3週間、行方が分からなかったルダが突然、公爵家の令嬢と一緒に村に現れたのだ。

初めはアンデットとか幽霊だとか言われ一時は村長宅の地下牢に幽閉されそうになった程だ。

それに待ったを掛けたのは、その公爵令嬢だったことが余計に村人から警戒される事になったのだけど。

それでも医者に見せたり、魔法師に鑑定してもらったりと色々と観察された結果、ルダ本人だと認めざるおえなかった問うのが今までの経過、結果だった。


「私は初めからルダ本人だと思ってたから、心配してなかったけどね」

「リエナがそう言うならそうなんでしょう。でも私は見てるんだ。ルダ君の引き千切られた足の片方をね」

「普通ならありえないって言うのね?」

「ああ、普通ならね」

「やっぱり、私の子という事かしら? それに・・・」

「それに?」

「何故だか、ラフタラーテ様の加護をルダが受けてるのよ」

「はあ? いつ?」

「3週間前には感じられなかったから、この行方不明の間にかしら?」


リエナの家の食堂で仄かに灯されたランプを向かい合わせに、二人の美しい女性が話し合っている。

けれどその内容は同じ年頃の子を持つ親同士の会話ではなかった。


「ちょっと待ってよ。もしそれが本当なら親子で魔王候補って事になるんじゃないか?」

「そうよねぇ。やっぱり血筋かしら?」

「それこそ、はあ? だぞ? 200年前、ラフタラーテ神教の最高位巫女だったリエナが自分自身で魔王候補の神託を受け、来るべく次期魔王に一番近いと言われたのに辞退してどれだけ聖教国が大騒ぎになったか覚えてるでしょ?」

「だって、魔王になんかなったって不自由なだけじゃない」

「はあ~、その自由奔放な性格でどれだけの人が迷惑したことか・・・」

「色々、ごめんね?」

「で、ルダはどうするんだ?」

「まあ、あの子に任せるわよ。魔王になろうが辞めようが。でもあの子なら魔王になっても良い魔王になるかもね」

「親の贔屓目か?」

「そんな訳ないじゃない。これは実力の問題。はっきり言って今はまだ完全には開放されてないけど、素質は私なんか足元にも及ばないもの」


リエナの言葉にさすがのレジーも目を丸くした。


「そんなに凄いのか?」

「はっきり言って私の観察眼を跳ね除けたもの。ラフタラーテ様も私の可愛い息子をあそこまで魔改造するとは、ほんと困った女神様です」


にこやかに話すリエナだったが、その下にある恐怖をレジーはちゃんと掴んでいた。


『ここまで怒ってるリエナは久しぶりね。爆発したら一国が消滅しそうだな。話を変えないと・・』


「それで今後どうするの?」

「たぶんだけど、この聖教国の今の巫女が新たな神託を得ているはずよ」

「ルダの事だな?」

「そう、近いうちに使者が来るはずだから、そこでルダの事は分かるでしょう。ただ今はこの国に居るから、この国の王家が出しゃばって来るかもね」

「何故だ?」

「あの公爵令嬢も魔王候補よ」

「は?! あの変な姫さんが?」

「まあ、何だか近寄りがたい気はしてたが、ただ変態だからかと思ってたよ」

「あら、あの子も相当なものよ? まだまだ力を出し切れてないけどね」

「まあ、それは置いとくとして結局それって公爵家と王家の争いに巻き込まれそうという事だな?」

「そう言う事」

「はあ~、厄介なことだな」

「だから、ルダを守らなきゃいけないの。力を貸してくれる?」

「ふん、当然だろ? 私はリエナの守り人、赤眼の民よ? そしてルダ君の守り人は」

「シェリーちゃんね?」

「その為に今まで教えてきたんだ。はっきり言ってあの子も凄い。それこそ私なんか直ぐに追い越して行くぞあれは?」


呆れたように言い放つレジーだったが、でもどこか嬉しそうに見えた。

読んでいただきありがとうございます。

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