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お兄ちゃんと繋がりたい


 お母さんが帰って来たのでお兄ちゃんとの話し合いは途中で終わった。


 兄妹じゃなかった事、お兄ちゃんが私の事を好きだって事、私がお兄ちゃんの事が好きって伝えた事、この2日でとんでもない事実が次々と発覚した。


 知らなかった……ショックだった。


 でも、お兄ちゃんの気持ちを確認出来ただけで私は満足……だって好きな人と相思相愛になれたんだもん。


「うれしい……お兄ちゃん……しゅき……」


 入学祝いを家族3人(お父さんは単身赴任中)でやった……でもあんな事があった直後だったから、お兄ちゃんも私も心ここにあらず状態……お母さんにバレないかひやひやしながらの食事……殆んど味なんてしなかった。折角お母さんが作ってくれたのに……お母さん……ごめんなさい。


 とりあえずなんとかその場をやり過ごし、お部屋に戻って今日の事を思い出す。


 ベットで寝転び枕に顔を埋めてさっきの事を、お兄ちゃんの事を思い出す。


「はうううう、お兄ちゃん……」

 お兄ちゃんの匂いと、お兄ちゃんのお腹の感触が甦る……そして………………。


「……そうか……お兄ちゃんも男の子だもんね……えへへへ」

 私は自分の胸をそっと触る……お兄ちゃんの感触がここにも……。


 はうううう……恥ずかしい……。


 今までは……そんな事想像もしたこと無かった……あ、まあ全く無いと言ったら嘘だけど、現実感は無かった……それが今は……。


 これがお兄ちゃんの言っていた意味なのかも知れない……今までとは変わってしまった二人の関係。


 ううん、既に変わっている……今日お兄ちゃんが阿佐見先輩に誘われているのを見て……私はあの瞬間どうしようも無く不安な気持ちになった。焼きもちだ……今まであんなにも焼きもちを焼いた事は無かった。


 本当の妹じゃないから……お兄ちゃんとの繋がりが薄れたから……。


 枕から顔を上げて首にかかっているネックレスを見る……。

「お兄ちゃんとの繋がりはこれだけ……」


 そう思ったら、そう考えたら……とてつもない程の寂しさが込み上げて来た。


 どんな事があっても兄妹という繋がりは変わらない……一生お兄ちゃんはお兄ちゃんだと、一生私達は繋がっていると……そう思っていた。


 でも今は……もうその繋がりは……無い……。

 名ばかりの兄妹、紙切れだけの関係……。


 私とお兄ちゃんはこの先どうなるのか……。


「お互い好きって確認したけど、付き合うって言わなかった……言われなかった……言えなかった……」


 私達はまだ兄妹……少なくとも周りは皆そう思っている……お父さんもお母さんも……。

 高校生になったばかり……一つ屋根の下に好きな者同士が住んでいる……。

 

 付き合うイコール同棲……。


「むきゅうううう」

 考えただけで……ドキドキしてしまう……。


 私は枕を抱き締める、思い切り抱き締める……お兄ちゃんを抱き締める様に……。


 もう私達は戻れない……もう今までの関係には、兄妹には戻れない。

 だから行くしかない、進むしかない。


 お兄ちゃんと繋がっていたいから、ずっとずっと繋がっていたいから。


「お兄ちゃんと……繋がる? …………えへへへへ」

 

 枕を抱き締めていたら、お兄ちゃんと思って抱き締めていたら、なんだかお兄ちゃんに抱き締められている気分になってきた。


 またここで、ベットの上で……お兄ちゃんに抱き締められたい……。



 エッチなのは……お兄ちゃんだけじゃ無かった……私も……エッチだ。






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