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恋に理由なんて無い


 妹が僕のお腹の辺りで顔をグリグリと押し付ける。

 僕は妹の頭をそっと抱く。


「……お兄ちゃん…………」

 顔をお腹に押し付け妹何かを言っている……お腹の辺りから妹の暖かさが伝わる…………って言うか……。


「ちょ、ちょっと……空? あ、あのさ、そろそろ離して……」

 僕はとある事情から、とある緊急の事情から妹にそう懇願する。


「……いや」


「い、嫌じゃなくて……だ、駄目だ……離して」

 興奮状態から少しずつ冷静になって来る。と同時に今の状況がだんだんとわかって来る、と同時に一部が冷静じゃなく興奮状態になってくる……。


 ここは妹の部屋、妹のベットの上、全てを壊したと言ったが、僕は相変わらず妹が大好き……そしてその大好きな人が僕のお腹の辺りに顔を埋めている。


 さらには……今僕は部屋着を着ている。パーカーとハーフパンツという薄着だ。

 中は肌着に下着だけ……つまり妹の感触がほぼ抵抗無く伝わる。

 特にその……胸の感触が、柔らかいとても柔らかい感触が……僕のとある敏感な所に今殆んどダイレクトに伝わっている。


 つまり何が言いたいかというと……非常にまずい状況だ。


「そ、空……は離れて……だ、ダメ、グリグリしちゃ……ら、らめええええええ」


「!」

 僕の一部の変化に、妹の身体がビクッとなる……ああ、ほらだから言ったじゃない……。

 妹はゆっくりと顔を持ち上げ僕を見る……涙と鼻水でグシャグシャな顔、赤身を帯びていた顔が更に赤くなる。今はまるでトマトの様だった。

 

「……お兄ちゃんの……エッチ」


「しょ、しょうがないだろ!」

 僕がそう言うと妹は仕方がないとゆっくり離れベットの上に正座する。

 僕も起き上がると妹と向かい合って正座をした……いや、今は立てないから……あ、まあたってはいるけど……。


「…………あ、あのね……お兄ちゃん……さっきの事だけど」


「い、いや、これは生理現象だから仕方ない」


「そ、そうじゃなくて! さっきお兄ちゃんが言ってた事……その……思いがどうとかの事」


「思いの共有?」


「そうそれ」


「うん、僕達が兄妹だったのに好きになってしまった理由」


「それ……違うよ……間違ってる……」


「え?」


「お兄ちゃんは考えすぎてる……私そんな理由でお兄ちゃんを好きになったんじゃない!」


「いや、でも……そう考えれば辻褄が合うし……他に理由なんて……」

 

「あのね……好きになる理由なんて無いよ……お兄ちゃん考えすぎ」

 妹はそう言うとニッコリ笑う……天使の様に僕に微笑む……。そうか……そうかも……。

 今の笑顔で今の妹の笑顔で僕はさらに妹の事が好きになった。カンストしている筈なのに……いや、好きに天井なんて無い……空の向こうに宇宙があるように……。


「……うん……そうかも……」


「ね……」


 真っ直ぐに僕を見つめる妹……僕の大好きな妹……うん、そうだ、そうなのかも……妹の言った通りなのかも知れない。


 僕の言った理由なんてただの後付け……結局人を好きになる理由なんて誰もわかっていない……。


 今はっきりわかっている事は、僕が妹の事をずっと前から好きだという事だけ……そして妹も僕の事を好きでいてくれている。

 それがわかっていれば……わかってさえいれば理由なんて全く関係無い。


「えっと……これからも……お兄ちゃんって呼んでくれるんだ」

「当たりよ前だよ、お兄ちゃんはずっとお兄ちゃん……私の大好きなお兄ちゃん……」


 そう言うと空は満面の笑みで笑った。ああ、やっぱり思った通りだ……思いにカンストなんて無い、僕はさっきよりもさらに妹の事が……好きになった。




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― 新着の感想 ―
[良い点] はーい(・ω・)ノ [一言] これからの展開が気になるので止まってほしくないです
[一言] 読みたい(ノ)
[良い点] はぁぉ 尊過ぎてため息しか出てこない。 うっかり、二次元に転載したくなるほど尊いです
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