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お兄ちゃんと……恋愛が出来る?


 悲しかった、お兄ちゃんが本当のお兄ちゃんじゃないって知って。


 目の前が真っ暗になった……お父さんが本当のお父さんじゃないって知って。


 悲しくなって私は泣いてしまった……全部嘘だったのかって、今までの事は全部嘘だったのかって……私達は嘘の家族だったのかって……そう思った。


 そして怖くなった……お兄ちゃんがお兄ちゃんじゃなくなったって思ったから……お兄ちゃんがいなくなってしまったって思ったから……そう思ってしまったから。


 でも……お兄ちゃんが私を抱き締めてくれた……お兄ちゃんの全身から伝わって来た。私を愛しているって事がお兄ちゃんから伝わって来た。


 私は自分を恥じた……嘘なんて言った自分の考えを恥じた。


 嘘なんて無かったんだ……私達はずっと前からずっとずっと家族だった、兄妹だった。


 どこよりも、どんな家族よりも……本当の家族だった。


 ずっと変わらない、これからもずっとずっと変わらないよって……お兄ちゃんはそう言ってくれた。


 お兄ちゃんなら信じられる……お兄ちゃんの言葉なら……私は信じられる……お兄ちゃんの言葉が魔法のように私の心に染み渡った。


 だからお兄ちゃんと一緒にお母さんと話せた。何があっても変わらないって言ってくれたから……。


 お母さんともちゃんと話して何も変わらないって確かめ合った。その後お父さんとも電話で話し合った。改めて家族の絆を確かめ合った。

 

 ホッとした……私は凄くホッとした、そして嬉しかった。凄く安心した。



 話し合いを終え、私は部屋に戻って制服からいつものフワフワパジャマに着替えると、再びベットに寝転ぶ……だらしない私の癖……お兄ちゃんにバレたら嫌われちゃうかも……。


 さっきお兄ちゃんに抱き締められた感触がまだ身体に残ってる……お兄ちゃんの匂いも身体に残っている……。


 私は自分の両肩を自分で抱いてその感触を楽しむ。



「はあああ……お兄ちゃん……好き……大好き……」


 カッコ良くて優しくて、可愛くて愛しくて……大好きな大好きなお兄ちゃん……ずっとずっと大好きだったお兄ちゃん……これからもずっとお兄ちゃんで居るよって言ってくれて…………ずっとお兄ちゃんで兄妹でいるよって言ってくれて…………あれ?


 えっと……ちょっと待って……ずっと変わらないって? え?

 それって……私が望んでいた事?


 違う……違うよ……。


 そう……私とお兄ちゃんは血が繋がっていない……これって……確か……。


 私は慌ててスマホで検索する……『養子、兄妹、結婚』と入力する。


「でででで……出来る!」

 

 養子同士は結婚出来る! あ、養父養母とは結婚出来ないって書いてある……。これって……お母さんとお兄ちゃんはもう一生出来ないって事なんだ。


「フフフこの世からライバルが一人消えた……」

 ついこの間迄、いや昨日まで血の繋がりなんかどうでもいい、お兄ちゃんと一緒に居れればいい、お兄ちゃんさえ居ればいいなんて考えていたのに、さっきは兄妹じゃないって知って物凄く悲しかったのに、ショックだったのに……。


 え? なんで私今天にも昇る様な気持ちになっているの? なんでニヤニヤしているの? 何? この私の変わりよう……泣いたカラス所が笑うどころじゃない……泣いたカラスが大爆笑している。


「でも……お兄ちゃんは私の事……どう思ってるの?」

 血が繋がっていないって知っても……妹と思ってる……ずっと妹だって言ってた。


 ……嫌だ……違う……妹じゃもう嫌……だって……。


 法律の事はよくわからないけれど……もしお兄ちゃんが他の人と結婚したら……私とは他人って事になるんじゃ? お父さんとお母さんとは親子だけど……お兄ちゃんと私はどうなるの?

 

 いや……嫌だ……私はお兄ちゃんと繋がっていたい…………。


 血の繋がりがなくなった事で私は不安になった……だから泣いた……悲しくて泣いた……お兄ちゃんと繋がりたい……ずっとずっと永遠に繋がっていたい……そう思っていたから……それが幻だったと知ったから。


「……明日から学校」

 お兄ちゃんのファンは多い……しかもその殆んどが同じ学校の同級生になる。

 そして……先輩にも……お兄ちゃんのファンがいる……それが手ぐすねを引いて待っている。


 妹というハンデは無くなった……でも逆に妹という確かな繋がりも無くなった……。

 

 今の私は学校の皆と、お兄ちゃんのファンの娘達と変わらなくなったって事だ、


 お兄ちゃんと繋がり続けるには、皆に勝たなければいけない……1番にならなくてはいけない……。


 勝てるのだろうか? 私はそんな人達に勝てるのだろうか……義理の妹という事が今後重荷になってくるんじゃないか?


 そんな不安な気持ちのまま私は明日高校生になる……大好きなお兄ちゃんと一緒に……。





 



 

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