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第三十三話 1943.3-1943.3 激しさを増す空襲

米軍は日本を屈服させようと躍起になってます。





昭和十八年三月



毎週の様に空襲が続く中、三式重戦闘機の最初のバッチが陸軍に納品された。


米軍は毎回五百機を超える爆撃機に二百機近い陸軍機であるP-47を随伴させて空襲に飛来する。


しかし、B-17は毎回半数が未帰還の大損害を続けており、P-47も未帰還は少ないが全身が損傷した酷い状態で帰還する機体が多いはずだ。

だが、飛来するP-47は毎回新品同然であるし、B-17も被弾後が残るような機体は飛来しない。


恐るべきは米国の生産力であり、人的資源の厚さだろう。

流石に、内情はわからないが、少なくとも開戦以来千機以上のB-17が未帰還になっているはずだ。

とくに、ここ最近の損害は飛来する機体が増えている為、馬鹿にならないはずだ。


仮に、千機の搭乗員全員が未帰還だったとしたら、一万人もの未帰還が出ているのだ。

米軍の場合、海にさえ出れば不時着しても回収されるようではあるが、それでもすぐに戦線復帰とはいくまい。



陸軍の戦闘機が護衛に就くようになったからかどうかは分からないが、米海軍の機動部隊による攻撃も目に見えて増えた。

戦闘機による制空戦ばかりでなく、機銃掃射を執拗にかけて動くものを無差別に殺傷する。実に残忍なやり口であるが、米軍機が飛び回っている間、皇国の様々な活動を麻痺させることが出来るのだ。

そればかりでなく、三月頭には攻撃機も加えたこれまた五百機近い戦爆連合で港湾施設や船舶を破壊しようと来襲してきた。


海軍の軍港や大規模な港などに攻撃を加え、以前の艦隊決戦で損傷しドッグ入りしている戦艦などの軍用艦ばかりか、民間の貨物船など大型の船舶や大型クレーンなど港湾施設にかなりの被害が出た。


だがしかし、対空砲火や迎撃に出た皇国軍により敵の攻撃機はかなりの割合が撃墜され戻れなかったという話だ。

奇襲攻撃でもないのにいかな大編隊とはいえ白昼堂々と攻撃に飛来すれば対空砲火に晒されるし、今や常に臨戦態勢である飛行隊が大挙迎撃に殺到するだろう事が予想できなかったのであろうか。



新型の三式重戦闘機のデビュー戦の機会はすぐに訪れた。

最初のバッチで編成された飛行隊は陸軍でもベテランパイロットで構成された精鋭であり、習熟飛行もそこそこに迎撃に上がったのだ。


従来と異なり、機関砲が機首下面に取り付けられている事に最初は面食らった様であるが、中心に近い位置に並べて配置されており、また集弾性自体も悪くなく慣れてしまえば問題なかったようだ。


陸軍が期待する高速戦闘機はB-17の飛来する高度など何の問題も無く、P-47に補足される事も無く、縦横無尽に空を切り裂き担当空域に飛来したB-17を全機撃墜するという偉業を達成した。

そればかりか、これまでは撃墜に手古摺った重防御のP-47に対し初投入から大損害を与えたのだ。


その空襲での米軍の損害は相当数に上り、いずれまた再開するだろうが、その日以来空襲に飛来する米軍機を見なくなった。



陸軍は三式重戦闘機の戦績に大いに満足し、新たな新型兵器の搭載を決めた。


現在、軍は各種誘導兵器の実戦使用に向け最終調整と量産に入っているのであるが、新たな新型兵器の開発も急ピッチで進んでいるのだ。


三式重戦闘機に例の120ミリロケット弾の搭載を要求した時点で予定されていたことではあるらしいのだが、その新型兵器である空対空赤外線誘導ロケット弾を搭載させたいらしい。


まだ本格的に量産し実戦配備するには不安が残るらしいが、これから旧式機を利用した無人機を標的にテストを開始するとの事だ。


それとは別に、同じ流れの兵器であるがテレビ赤外線誘導式の地対空ロケット弾の開発も進んでいるそうだ。


なんでも、軍部は米軍はそう遠くない時期に夜間爆撃に切り替える可能性に警戒しているらしく、二式陸戦のレーダー搭載した夜間戦闘機型の配備を進めるとともに、地対空ロケットを活用したいそうだ。


実際に夜間戦闘の演習をやったそうなのだが、真っ暗闇の中で探照灯を頼りに手探りのような戦闘はかなり困難が伴うそうだ。


その点、赤外線誘導ロケット弾は味方に当たる危険性はあるものの、テレビ誘導を併用することで命中性を高めてあるそうだ。



今月、陸軍の求めるジェット攻撃機、それにジェット爆撃機の仕様とスケッチを提出した。例の誘導爆弾や誘導式対艦ロケットを搭載できる爆撃機が必要との事だ。


一応、誘導爆弾は三式重戦闘機でも搭載は可能だが、誘導式対艦ロケットはテレビ誘導装置を搭載しなければならないため、通常の攻撃機では無理らしい。しかし、百式爆撃機や一式陸攻では不安が残ると。

とはいえ、現時点で進められている最終調整の為のテストは両爆撃機を使って行われているので、不可能では無いのだろう。


戦時下であり生産性も考え先ずデザインの際に共用パーツを用いる事を考えた。


共通する基本デザインは中型攻撃機である事、将来的にエンジンのバージョンアップを可能とし、またエンジンの整備や換装を容易にする必要がある。

熱の問題でジェットエンジンは現時点において耐久性に問題があり一定時間に達せば交換しなければならないのだ。


空力も考えシンプルな機体構造。

機体前面にB17の機首の爆撃手席の様なヒシライトを整形して作った半球系の風防を取り付け、そこにコクピットを配置し、余計な張り出しは一切省いた。


勿論、前輪式であり機体の真ん中にテーパー翼を配置し、エンジンを翼下に吊るす構造にする為、無理のない高翼式とする。


仕様は全長15メートル、全幅17メートル、全高4.5メートル。

翼面積26.5m2。


襲撃機型は自重7000kg、最大重量10,000Kg。

上昇限界12000m、上昇時間2000mまで3.5分。

エンジン、ネ-3ターボジェットエンジンx2(1300kgfx2)

最大速度700Km/h、航続距離2000km

乗員一名。

武装はホ402五十七粍機関砲x1、二式二十ミリ機関砲x2、12.7ミリ機銃x2。

250kg爆弾x2若しくは、120ミリロケット弾x6

機体、エンジン下面に6ミリ鋼板、コクピット回りには8ミリ鋼板を使用し防弾性を高める。

陸軍の要求仕様であるホ402の搭載については、実用の目途が立たない場合は30ミリ機関砲x2に変更。



爆撃機型は自重6000kg、最大重量10,000Kg。

上昇限界12000m、上昇時間2000mまで3.5分。

エンジン、ネ-3ターボジェットエンジンx2(1300kgfx2)

最大速度750Km/h、航続距離3000km

操縦士、爆撃手の乗員二名。

武装は機首下面に12.7ミリ機銃x2。

爆弾倉は無く1t爆弾x1若しくは500Kg爆弾x2、250kg爆弾x4

或いは誘導式対艦ロケットx1、500Kg誘導爆弾x2


コクピット周りに6ミリ鋼板使用し防弾性を高めるが、基本的に速度を活かすコンセプトだ。


ジェット機は燃費が良くないため、搭載能力のかなりの割合を燃料が占める。特に航続距離を求められる爆撃型など搭載容量の四トンのうち実に半分が燃料に取られる。


このままではあまり実用的とは言えないな。



主人公が陸軍に提出した襲撃機と爆撃機のプランは本来ターボファンを使用すべきですが、まだ実用化していません。

見た目はAr234的な感じですが、爆撃型はタンデムで操縦士の下に爆撃主が座ります。

ノルデン照準器より高性能なロトフェ 7のライセンス品かノルデンのコピーに、テレビ誘導用の誘導セットが搭載されています。

襲撃機モデルは爆撃手の位置にデカい57ミリ機関砲が搭載されています。

さながらA10みたいな思想の襲撃機です。あれに比べるとエンジンパワーがいまいちですが。

そろそろ二段ターボジェットの登場ですかね。


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