表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アリス イン ザ ビースト  作者: ペン
7/7

7話 初戦

学校が終わり太陽が空を赤く染める中、優介と天音は肩を並べて下校していた。


「それでね、明里がね…」


「うん」


天音が学校での事を楽しそうに話す一方、優介は相づちを打ちつつも頭では違う事を考えていた

〜1日前

事務所でイスに座り携帯をいじっていた司音に優介は話しかける。


「あの〜、僕って何やればいいんですかね」


「お前は基本見回りしかやることはねーよ、書類は大体が藤堂さんがやるし、いつ夢魔獣と戦うかわかんねーから覚悟だけはしとけ」



「ねぇ、ねぇったら!、優ちゃんと聞いてる?」


「あっ、うん聞いてるよ。僕こっちだからじゃあね」


「あっちょっと!?」


そう言うと優介は足早に去っていった。

その背中を寂しそうに天音が見つめてると


「はは、彼氏さんに逃げられちゃったみたいだね」


物陰から陰鬱として耳にこびりつくような声が聞こえた


「別に優とはそんな関係じゃないわ、それにあなたこそどうしたの、暇なの」


「御伽噺機関に新人が入ったって聞いたから、ちょっと見に来ただけだよ。そんなに怒ることないだろ」


「そうだとしても、人の日常をあまり覗かないでくれる。不愉快だわ」


「ははは、わかったよ。それと夢魔獣の被験体が足りないみたいだから、もっと捕獲しろだってさ」


そう言うと物陰にあった存在感がもともと何もいなかったかのように、すぅっと消えていった。


「わかったわ」


そう呟く天音の瞳には何も写っておらず、ただ深い闇が広がっていた。


〜次の日


その日、優介は司音に呼び出され、御伽噺機関の事務所に訪れていた。


「急にどうしたんでんすか?て言うか『事務所に来い』ってもうちょっと理由とか」


優介が最後まで言い切らずに藤堂が口を開いた


「夢魔獣が出現した」


その瞬間、優介は身体中の血の気が引いたようにかんじた。


「今回、その夢魔獣は君に駆除してもらう」


「僕がですか……」


「そうだよ、今は司音君が一人で戦ってるけど、司音君だといつの間にか倒してたりしてそうだから急いでね」


「えっ、倒せるんだったら別にいいんじゃ…」


「御伽噺君。君はもう一般人じゃない、御伽噺機関の一員なんだ。そのうち一人で夢魔獣を相手にすることがあるかもしれない。その前にある程度夢魔獣との戦いに慣れとかないと……死ぬよ」


そう言う藤堂の目はいつもの気を抜いただらしないものではなく、文字通り体を突き刺すような真剣そのものだった。


「…はい」


優介は藤堂の視線に思わず一歩後退り、か細い声しか出てこなかった。


「まっ、京花ちゃんにつれてってもらいな〜」


すぐにいつもの雰囲気に戻った藤堂はフニャッと表情を崩すとイスにもたれ掛かった






優介は京花に連れられ地下へと階段を下っていった。


「大変だったね〜、藤堂さんたまに怖い時があるから、今のうちに慣れといたほうがいいよ〜」


軽快な口調とステップで京花が進んでいく後ろで優介は黙ってついていく。

京花は機械で厳重に閉じられた巨大な扉の前で立ち止まると、カードをかざし大きな機械音と共に扉が開かれていった。


「ようこそ、御伽噺機関の最奥へ」


部屋の中央には紫がかった煙のようなものが渦巻いていた。


「夢魔獣はこっちの世界で魔力が濃い場所にできるゲートを通って夢魔界からくるんだけど、御伽噺機関の技術開発局が任意の場所をつなぐゲートを作るのに成功したんだよ。さぁ、入った入った」


「うわぁ⁉ ちょっ、ちょっと!?」


戸惑う優介の背中を京子は押していく











評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ