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アリス イン ザ ビースト  作者: ペン
2/7

2話 悪夢の始まり(中編)

7時間前




カーテンの隙間から朝日が漏れだし優介の顔にかかる

「んぅ〜」

朝日から顔を背けもう一眠りしようとした時優介の部屋の扉が激しくたたかれる。

「お兄ぃ〜早く起きないと舞のせっかくの朝ごはんが冷めちゃうのです」

長いオレンジの髪をまとめたポニーテールに大きな目とあどけない顔立ち見る人によっては小学高高学年に見える優介の妹 御伽噺おとぎ まいである。

優介と舞の年は1年程度しかはなれておらず、今優介は高校2年であることにたいし舞は高校1年でる。

そんな舞は基本的にこの家の家事全般をこなしている。両親は2人が小学生ぐらいのときに事故で他界し2人は親戚をたらい回しにされ最終的には母の古い友人の杉本すぎもと 杏奈あんなにひきとられた。杏奈はとにかく家事ができない。外聞はきにするのか家は外からだとパッと見普通なのだが2人が初めて杏奈の家に入ったときまるで強盗にでも入られたかのように物が散乱し所々にホコリや蜘蛛の巣、いかんとも形容しがたい異臭に顔をしかめた。これまでどうやって生活してきたのか優介が聞くとご飯は基本コンビニ、月に一度は誰かしら呼んで洗濯やら掃除やらをしていたらしい。1度優介は杏奈の料理を食べたことがあるのだが食べた直後に気絶して味はよく覚えていないらしい。また杏奈は家にはあまり帰ってこずゲーム関連の仕事場で寝泊まりし、たまに行事の時に帰ってくるぐらいだ。

無論優介も舞が受験で忙しかった時期はある程度の家事をやりはしたが受験が終わったあと優介が皿洗いなどの家事をやろうとすると舞に

「大丈夫です、これは舞がやるです」

と満面の笑みで言ってそれから優介に家事をやらせなくなった。

優介は舞につれられ階段を降りリビングにあるテーブルについた。(この家は入ってすぐ目の前に階段がありその奥にトイレと風呂、左には台所とリビング。2階には階段から上がってすぐ優介と舞の部屋が隣り合いその真正面に物置部屋があるといった構造である)

テーブルにはベーコンエッグと香ばしく焼かれたパンがおかれ、優介がパンを口に運びザクリと音をたて「美味しい」と呟き、それを舞が嬉しそうに見て食べはじめるのはいつもの光景といっていいかもしれない。

そのいつもの光景にテレビから不穏なニュースが語られてきた

『昨晩宮城県◯◯町にて身元不明の遺体が発見されました。遺体の損壊が激しい点や周囲の状況より夢魔獣が出現したのではないかと推測されており警察と御伽噺機関おとぎきかんの捜査が続いています。なお近隣住民の方々は充分注意してください。では次のニュースです……』

「近いな、舞気を付けろよ」

すると舞は自慢気な顔で

「大丈夫です。もしもの時はお兄ぃが舞を守ってくれるです」

それに思わず優介は

「僕に死ねと!?」

「それも心配ないです。お兄ぃは舞のお兄ぃですからきっと強いです。夢魔獣なんか一発です」

胸をはって誇らしげに言う舞を呆れてその後どこか微笑ましい顔をみせて優介は

「……そうか、ごちそうさま」

といって立ち上がり舞の頭を優しくなで食器を台所に置き2階にあがっていった。


ところで、御伽噺機関というのは世界に突如出現した人を襲う化け物のような夢魔獣に対抗しうるため組織された異能集団である。その機関に属する者は異能を使い人々をまもり人智を超えた化け物夢魔獣を倒すというのが世間の一般的な知識である。だがそれ以外はよくあまり知られていない謎めいた組織でもある。


2階にあがり自分の部屋に戻った優介は自分が現在所属している成鈴高校せいりんこうこうの制服に着替えた。成鈴高校の制服は一般的な黒の生地に首もとに3枚の桜を重ねたような校章がある。

制服に着替えたあとふと鏡をみて黒髪にとくにパッとしない普通の顔立ち身長も170前後と体型も運動をとくにしていないが太りすぎず痩せすぎているというわけでもない。そのあまりの特徴の無さにため息をはきたくなったが、そこで優介は自分の首に左手をそえた。

両親が事故に遭った日に舞は家で留守番し優介は両親の車に乗り事故に遭ったその時にできた傷が今も首筋から左肩にかけて残っている。周りの人達は夢魔獣によるものだといっていたが

(違う、あれは人間だった)

思わず片方の手を握りしめた優介がその時に見たのは人間の姿形をした何かだった。

ある意味自分の一番の特徴といっていい傷に手を触れ事故の日のことを思い出していたとき、一階から舞の声が聞こえた

「お兄ぃ、天音ちゃん来てるですよ」

優介は慌ててリュックを背負い階段をかけおり勢いよく玄関の扉を開けた。

そこには肩辺りで短く切り揃えられた茜色の髪が太陽光で照らされ快活として整った顔に白い肌、出るところは出てしまるところはひきしまった体もはやモデルでもやってるんじゃないかとでも思えるような美少女そしてぼくの幼なじみでもある白樺天音が立っていた

「おはよう、優」


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