1話 悪夢の始まり(前編)
僕は悪夢を見た。悪夢のような現実を
教室中は血でまみれ壁は所々赤黒く染まり、床には誰だか分からないクラスメイト達の無惨な死体がころがっている
一方僕は右腕を失った肩から止めどなく血が流れそのあまりの痛みにうずくまり声すら出ずに嗚咽する。
そんな僕にすっかり血で汚れてしまった茜色の髪をもった女の子 白樺 天音《しらかば あまね》が必死に声をかけてきた。
(よかった間に合った)
痛みで視界がボヤき意識が朦朧としても、その声を聞き僕は安堵した。
だが僕は目の前にいる絶望を認識した。いや、認識してしまった。
それは丸みをおびた体から生えた手足が地面につき1つしかないギョロ目と真っ赤な血で汚れた裂けた口でできた化け物だった。
その化け物の瞳が僕を写した時、死の恐怖が僕の心を埋め尽くした
(怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い)
化け物が近づき僕に向けてガパリと異臭ただよう裂けた口を大きく開けた
(死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない)
その時僕は願った
「……………しい」
切実に願った
「力が欲しい!!」
この化け物を倒しうるだけの力が
そこで僕は痛みか恐怖からの自己防衛からか意識を失った
「優!!」
天音が僕と化け物の間に割って入った
意識を失ったはずの僕はポツリと一言呟いた
「異能」
その時僕 御伽噺 優介《おとぎ ゆうすけ》は
獣になった