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8 昼食

 商人ギルドの商品サンプルを一つ一つ見ていくのは諦ることにした。こっちの世界での買取商品をどうするかはまた別の方法を考えることにしよう。

 ということで、商品ギルドを離れて店舗へと三人で引き返した。

「それでは、わたしはこれで引き上げますね。田島さん、ココさん、あとは二人におまかせします」

 そう言ってアイリーンさんは去って行った。これで研修は終わりってことか。


 ココさんと二人っきりになるとちょっと緊張する。

 そしてケモミミをなでたくて、なでたくてしかたない。でもさすがに、いきなりは不味いよな。

 もう少し親しくなってからお願いすべきだろう。こういうことは慌てちゃダメだ。


 スマホを見るともうお昼時だな、そろそろ昼食にしようかと思ったが、はたして何を食べようか。ココさんは普段はどうしてるんだろうか?

「ココさんは昼食はいつもどうしてるんですか?」

「わたしですか? これまでは特にすることもなくのんびりとしたものでしたから、住まいの方に戻ってゆっくり作って食べてました。

 でも、今から作ってると遅くなりそうですね。外に食べに行きましょうか。

 タジマさんはなにか食べたいものがありますか?」

「そうだなぁ。何があるかさっぱりわからないから、おまかせしますよ。

 できれば、この世界で普通によく食べられてるものを体験してみたいかな」

「よく食べられてるものですか……わかりました。では、行きましょう」

 ちょっと考えてたようだけど、なにか思いついたようだ。


「ちょっと待ってください。こっちのお金持ってなかった。

 どのくらい持っていけば問題ないですか?」

「んと、昼食だけなら2000ジェルもあれば十分ですね」

 200円くらいってことか、ランチの相場は日本より安いな。

 俺は機器を操作して銀貨1枚と小銀貨8枚で18000ジェルほど引き出しておいた。


 ココさんの後をついて昼食へ。

 店舗の三軒隣が飲食店を経営してるようで、結構賑わっる感じ。

 ウサミミの店員さんが注文を取りに……これが真のバニーガールだと感動して、つい見惚れてしまった。

「じゃ、ランギウス肉の定食を二つお願いしますね」

 ココさんが注文してくれたが、ランギウス肉っていったいなんだろう?

 おまかせしたんだから、どんなものが来ても食べよう……どうしてもダメならこちらでの食事は全部機器でレトルト物を取り寄せることにしよう。


「兎人の女性が気になるのかな?」

 どうやら無意識にウサミミ店員を目で追ってしまってたようだ。ココさんに指摘されてしまった。

 慌てて視線をココさんに向けると、ちょっと不満げな顔をしてる。

「ごめんごめん、初めて見たからちょっと気になっちゃって。でもココさんのほうが可愛いと思うよ」

「ふぇっ!」

 なんかココさんが真っ赤になってうつむいてしまった……結構チョロいな。

 あらためて、ココさんのケモミミをじっと見てみるけど、ココさんはどんな獣人なんだろう?

 ネコミミでないことはわかるんだが、耳だけで動物の種類を見分けるほど俺は動物の耳に詳しくはないんだよな。


 ウサミミ店員さんが持ってきれくれた料理は、薄切り肉を焼いた料理と野菜のスープにパンといった感じ。

 うん、見た目はとても普通だ。

 パンからひとかじりしてみたが、想像どおりに硬くてボソボソしてる。うん、ここまでは想定どおりよ。

 さて、スープはどうかなって思って食べたところ悪くはない。でも塩味を薄く効かせただけの野菜スープかな。まぁあまり美味しくはないな。

 ここまではまぁ大丈夫だ。このくらいの食事なら問題なし。問題はメインディッシュ、よくわからない動物の肉を食べてみることにするか。

 一口食べて、噛み締めてみる。

 あ、これ鶏肉だ、これなら大丈夫そうだ。もしかしたら爬虫類の肉かもしれないけど。爬虫類の肉は鶏肉と似たような食感って聞くからな。

 何はともあれ、一安心。少なくとも食べられる料理だった。


 ただ、正直言ってあまり美味しくはない。

 よく言えば素材の美味しさに頼った味。まぁ飾らなく言えば味が薄いな。

 塩だけで、しかも相当少ない量の塩しか使ってない感じで味付けされているようだ。

 これはいろいろ商売のヒントになるかもしれない。


「ココさん、こっちの常識をまるで知らないから聞くんだけど、こういうふうに男女二人で食事の時って勘定はどうするものなんだろう?」

「普通は別々に払うものですよ。あっ恋人同士とかだと男の人が払ったりするかもしれませんね、よく知らないんですが……」

 ということは、ココさんには特定の彼氏とかはいないってことかな? あまりこういう時につっこむと最近の日本ではすぐセクハラとか言われるから困ったものだが、こっちじゃ大丈夫だよな。

「じゃ、ここは俺が払いますね」

「え、どうして今の会話からそうなるんですか……あ、だって」

 なんかまた赤くなってしまった。いろいろ免疫のなさそうな子みたいだから、あまりいじっちゃかわいそうだな。

「それでは、そういうことでいきましょうか。いろいろ教えてもらいたいことがありますし」

「はい……」

 成り行きで俺が勘定を持つってことが了承されたようだ。期待していいかな、これは。

 ちなみにランギウス肉の定食は二人前で4000ジェルだった。

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