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5 総合取引機器はすごく便利だね

「では、まず店舗に設置されている総合取引機器の説明から行います」

 オリエンテーションの説明もすべてアイリーンさんが行うらしい。というよりも、新宿のこの事務所にはアイリーンさんしかいないのかもしれない。

「機器のインタフェースはこの世界用にカストマイズされていますので、ウィンドウズ準拠と思ってください。入力機器も日本語キーボードとマウスを用意してあります。

 必要に応じてUSBインタフェースの機器を接続可能ですので発注してください」

「はい、わかりました」

 ウィンドウズ準拠とはな。そういえばハローワークの求人票にも「パソコンを普通に扱えること」って条件があったっけ。


「機器の基本機能は三つです。

 一つ目は機能は情報機器として、こちらの世界のインターネット接続が可能です。本部との連絡もこちらから行ってください。また、WiFiルーターの機能も持ってますのでお手持ちのスマホも店舗内では利用可能です。

 操作してみてください。起動スイッチはこちらです、右手を当ててください」

 指さされた起動スイッチに右手を当てると一瞬で画面が表示された。画面には「ようこそ、田島真司さん」の文字が。今のが本人認証を兼ねているのかな?


 俺は言われたとおりにブラウザを立ち上げる。ホーム画面が本部との連絡用か。

「その画面にて本部と連絡が可能です。勤務管理はこちらから行ってくださいね」

 【勤務管理】と書かれたタグをクリックしてみる。

「こちらで勤務予定を入力しておいてもらえると、本部から連絡を取りたい時に便利ですので、可能な限りお願いします。

 特に勤務実績はこちらでは管理していませんので入力は不要ですが、ご自分で実績管理などしたい場合は利用していただいても結構です」

 そういうものなのか、ずいぶんフリーダムな感じだな。


「もっとも重要なのが緊急連絡時ですね。本部へ緊急で連絡したいことがある場合は、こちらの画面からの連絡が確実で早いです。この機器が連絡不能になれば本部でもすぐにわかりますので、その際は本部から可能な限り早急に連絡を取ります。

 それ以外の場合は店舗側からこの機器を使って連絡してください」

 そうか、これから行く世界は日本ほど平和ボケした世界じゃないはずだ。緊急連絡手段は重要だな。

「他にも機能がありますが、特に使い方がわからないものは少ないと思います。不明な点があればまたいつでも聞いてください」


「ここからが重要ですよ。

 二つ目の機能は商品の発注機として使えます。この機器から発注された商品は在庫があれば十分以内に転送されてきます。

 ただし、発注できるのは画面に記されている残高の金額までです。

 今はオリエンテーションですので、関係なく自由に発注してみてください」

 右上に表示されている金額は20万円か。画面はどう見てもアマゾンだよなぁ、これ。

 俺は適当に画面を選んで食品から米を選択してみた。ほぉ、家庭用の一食分のレトルト食品から、未精製のものまで選べるのか。

 単位も個単位からトン単位まで様々に切り替えれる。

 俺は試しにレトルトのごはんパックを一個発注してみた。

 すぐに目の前にごはんパックが一個と伝票が届けられた。これは早いな。

「商品の種類は膨大ですから後でゆっくり見てください。商品に対して要望があれば連絡してもらえば本部で検討いたします」

 ちなみに、右上の金額は価格の150円が引かれて、199,850円になっている。



「さて、最後の機能です。これがなかなか優れものですからね。

 三つ目の機能は買取機として使えます。ただ使ってもらえればすぐにわかりますが、買取機以外の機能がなかなか使えますからね。

 この台の上に商品を載せて、鑑定スイッチを押してみてください」

 俺はさっきはちゅうしたばかりのごはんパックを台の上に載せて鑑定スイッチを押してみた。

 すると、画面に

【品目:レトルトごはんパック 数量:1 買取額120円】

 と表示された。さっき買った時の金額が150円だったから、2割引かれてるか。


「わかりますか? これは鑑定機能です。あちらの世界の未知の商品もこの機器でそれが何かってことと買取額がわかるわけです。

 本当はもう少しコンパクトになって持ち運べるといいんですけど、なかなかそこまでは技術的に難しそうで」

 おっそうか、これから行く世界では未知の商品ばかりなわけか。確かにこれがあれば何を仕入れれば利益を出せるかわかるわけだな。

「品目のところをクリックすると、詳細な鑑定結果も見れますから、あとでいろいろ試してみるといいですよ。

 そして、ここで画面の【買取】を押せば商品は転送されます。【キャンセル】を押せば鑑定だけができるわけです」

 とりあえず、おれは【買取】を押してみた。一瞬でごはんパックは消えて、金額は199,970円に変わった。

「今の操作でわかると思いますけど、この機器内での売買では基本的には損しますからね」

 まぁ当たり前の話だよな。でも「基本的に」ってことは時価のあるものに関しては儲かることもありうるってことかな?


「わかりますね。この機器の発注と買取とをうまく利用して稼いでもらうのがお仕事になりますからね」

 うーん、なんかこれすごく便利だ。特に最後の鑑定機能とか、これがあれば商品知識があまりなくてもなんとかなりそうだな。

 まぁ向こうにも商品となりうるものは膨大だろうから、その中から何を選び出して、どう仕入れるのかが俺の才覚次第ってわけかな。


「それじゃ、これで今日は終わりです。明日は現地に行ってもらいますね」

「え、もう終わりなんですか? これでいきなり現地へってちょっと厳しすぎるんでは」

「ふふふ、明日はわたしも同伴いたします。向こうでのほうが説明しやすいことがありますからね。

 明日も朝9時にこちらへ出社してください。一緒に行きましょう」

 ふー、慌てたぜ。さすがにこの説明だけで後はよろしくってのは、ちょっとばかりきついからな。

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