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25 対策

「ちょっと冒険者ギルドへ行ってくる」

 俺はココさんにそう言って駆け出した。とりあえず、なんとか仕入れる商品をかき集めて機器にぶち込んで日本円を稼がないとな。


 カランカラン。

「タジマさん、こんにちは」

 俺が冒険者ギルドの扉を開けて中へ入ると、声をかけられた。定期的な依頼主ってことで受付のお姉さんにも顔を覚えてもらったようだ。


「申し訳ありませんが、依頼の方は受注者もいない状態で……

 流行り病のせいで、冒険に出れる人たちが極端に減ってるんですよね」

 そうか、この流行り病のせいで冒険者ギルドもさびれてるのか。


「それは仕方ないな。依頼の方は継続でお願いするよ」

 本当はまさに今ほしいのだが、それを言っても始まらないから仕方がないな。


 俺は奥の扉を開けて中へ入ることにした。

 いつもは忙しそうに動き回ってるドワーフのおっさんが元気なさそうに座り込んでる。

「おっちゃん、どうした? ヒマそうだな、流行り病の方は大丈夫か?」

「おぉ、タジマか。わしは流行り病とかにはかからんがのぉ……」

 ドワーフのおっさんは顔をこちらに向けて、元気なさげにそう答えたが、その後、大きなため息を一つ。


 まわりを見渡してみると、いつも雑然とおかれている様々なギルド買取品が嫌に少ないな。

「冒険者どもがさっぱり売りに来ないから、どんどん在庫が減っていってるよ。

 それなのに、売れるほうはそこそこ売れていくんだからな……」

 別におっさんは歩合給ってわけじゃなさそうだから、ヒマならそれでいいんじゃないかと思うんだが、ドワーフってのは現代日本人並にワーカホリックなのかな?

 そう言えば、ココさんも仕事熱心だよな。

 勤勉なのはこの世界の一般常識なのか?

 店舗だけで売買するだけでなく、こちらの世界の人たちを雇用して生産とかしてもいいのかもしれないな。


 と、先々のことを考えて見るより今はとりあえず仕入れれる商品を探さないと。

 アウランクスの牙は俺の依頼のほうが割をよくしてるはずだから、ここに在庫がないのはわかりきっている。

 だが、アウランクスの牙ほどでなくても、それなりに利益の出そうな商品は何点か思い当たるものがある。


 俺はギルド倉庫の隅々まで探してみたが、皮や毛皮などの商品も少なそうだ。

 そして、どうも品質がよくない。

 しかたない……普段なら仕入れないような商品だが、これでもないよりマシだ。

「おっさん、これだけまとめていくらになる?」

 俺は両手に抱えた品々をおっさんところに持っていった。

「35万ジェルってところか。普段ならもう少しまけてやるところだが、今の在庫状況じゃおまけはできん」

「しかたないなぁ」

 俺は言われたとおりにジェルで支払いをすませて、冒険者ギルドを出た。


 店舗に戻って、仕入れてきた皮や毛皮を機器に買取してもらった。

 合計48,000円……それなりに儲かっているんだが、少ないな。

 利益率はもっと低くてもいいんだけど、量がほしいところだ。


「薬草屋に行ってくる」

 ふと、大麻とケシのことを思い出した。

 アイリーンさんに確認して問題ないってことだから、あれを仕入れないって手はないな。

 長期的に見ればどこかの商人から卸してもらったほうが利益は上がるだろうけど、今は急ぎだから小売りしてる店から買うしかない。


 スマホのメモから、大麻とケシのこちらでの名前を確認して、陳列棚から探す。

 あれ? ないだと?

「すみません、ガザニスの葉とベアンデの実の在庫はありませんか?」

 店主らしき婆さんに尋ねてみることにした。

「流行り病のせいなのか、全部売れちゃったねぇ。

 流行り病にガザニスの葉とベアンデの実が効くとか聞いたこともないんだけど、誰かがそんなこと言い出したようで」


 おいおい、インフルエンザに大麻やケシが効くとか効いたことがないぞ。

 鎮痛効果とかはあるのか?

 それ効いてるんじゃなく、ただ病状をごまかしてるだけだからな。


 どちらにせよ、在庫なしかよ……詰んだか。

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