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19 クッキー

 コショウや砂糖の詰替えをあまり早くしてもしけってしまいそうだから週明けの方がいいよな。

 アウランクスの牙の方も昨日、クエスト依頼したばかりだし、何時になるかわからない。


 ってことで、週末はのんびりと。

 ココさんとおしゃべりしながら、機器で買える商品で何か面白そうなものがないかと眺めていた。


 一つ気がついたことは、電化製品などが一切売られてないこと。

 文明のレベルを超えるものは売られてないのかな? と思うんだけど、砂糖とかの包装してあるビニール袋とかも十分に文明的にこの時代に存在しちゃいけないものなんだよな。

 そういえば、この資源ごみとかはどうやって捨てればいいんだろう?

 来週月曜の報告日に確認しておこう。


「そういえば、この前の調味料はどんどん使ってる?」

「ショウユとかマヨネーズはいろいろ使ってますよ」

「コショウもどんどん使っていいからね。砂糖の方はどう?」

「砂糖は何に使ったらいいのかよくわからなくて……」

 ココさんの耳がしょんぼりしてる……


「お菓子とか作ってみたら?」

「作ったことないんですよ……」

 そういえば、砂糖とか庶民に普及してないんだからお菓子のレシピとかもあるわけないか。


「俺もお菓子とか作ったことないからなぁ……そうだ、いっしょに挑戦してみる?」

「いいんですか?」

 ココさんの耳がピンと立ったぞ。


「明日は休みの予定だけど特に予定もないし、よかったら一緒に作ろうか」

「お願いします」

 よし、そうと決まれば材料確認。


 お菓子の初心者って何が必要なんだ?

 わからないことはグーグル先生。

 とりあえず、このまま機器で検索してみよう。


 そうかなんかいろいろ道具がたくさん必要そうだな。

 ・はかり(スケール)

 ・計量カップ

 ・計量スプーン

 ・ふるい

 ・ボウル

 ・泡立て器

 ・へら

 ・めん棒

 ・オーブンシート

 必須なのはこれくらいかな?

 たいした金額じゃなさそうだな、デート代だと思えば安いものだよな。

 さっそく、機器で買っちゃおう。

 そういえば泡立て器は電動のやつは売られてないみたいだな。


「え、こんなにもらっちゃっていいんですか?」

「そのかわり、お菓子作り覚えたらいろいろ作ってほしいな」

「がんばって作っちゃいますからね」


 あとは材料か。

 最初に作るのは何がいいんだろう?

 クッキーが簡単そうだよね、きっと。


 レシピを検索……うーん、なんとなくできそうだ。

 ・薄力粉

 ・バター

 ・砂糖

 ・卵

 材料はこれくらいか。

 これも機器で買っちゃってもいいけど、砂糖以外はこっちの材料でのほうがココさんがいつでも作れていいかな?


「ココさん、薄力粉・バター・卵って用意できるかな?」

「今でもありますよー」

 そうなんだ、普通に常備されてるものなんだ。

 そういえばクッキーなら型抜きもあったほうがいいな、これも追加で買っておこう。


「よし、じゃ残りは明日にしよう。いつもどおりの時間に来ればいいかな?」

「わたしはどちらにせよ、その時間には普通に活動してるので何時でもいいですよ」

「じゃ、明日の朝九時で」

「はーい、楽しみですね」




 ということで、土曜日。

 ココさんと二人でクッキー作りってことになりました。ココさんの部屋に入るのは三回目かな? 少し慣れてきた感じ。


 スマホで初心者向けクッキーのレシピを見ながら、そのとおりに作っていくことに。

「お菓子作りの基本は正確に量を計ることって書いてある」

「わかりました」

 はかりで材料を正確に計ってもらった。


「バターをクリーム状になるまで練り練りするんだって」

「はーい」

 作業は基本的にココさんにまかせてある。

 その後も、レシピに従ってココさんがせっせと作業を。


「冷蔵庫でしばらく冷やしておくんだそうだ」

 クッキー生地までなんとか作ることができた。このまま二時間位冷蔵庫に入れておくんだそうだ。

「それじゃ、その間にお昼ごはんにしましょうか」

「食べに行く?」

「簡単なのでよかったら作りますよ。時間はたっぷりありますし」

「それじゃご馳走になるかな」

「ゆっくりお待ち下さいね」

 ココさんが料理するのを後ろから眺めてる。こういうのってなんかいいな。

 しっぽがリズミカルに振られてるな。


「さぁどうぞ」

 出てきた料理はパスタっぽい感じなのに、醤油とにんにく味のひき肉のソースって感じの料理。

 ソースはココさんのオリジナルだろうな。コショウも使われてる感じだ。

「うん、美味しい」

「よかった。いろいろチャレンジ料理なのでちゃんと出来てるかどうか不安だったんですよー」

 いろいろ向こうの世界のレシピを教えてあげたいんだけど、機器もさすがにそういうところはこちらの世界の言葉に翻訳してないから、俺がイチイチ読んであげないといけないんだよな。


 昼食後、冷やしておいたクッキー生地から型抜きをして、オーブンへ。

 しばらく待つと、部屋は甘い匂いに包まれた。


 ピピピピ

 オーブンが軽快な音を立てた。

 完成かな?

 アツアツのクッキーを取り出す。

 ココさんがしっぽをぶるんぶるん振ってるけど、今食べたらやけどするからな」


「まだ熱いから少し冷まさないとやけどするぞ」

「うー……」


 じーっと見つめるココさんの視線が痛い。

 俺はそっとクッキーに触ってみる。

 まだ、熱そうだけど、そろそろ大丈夫かな?


「そっと食べてみようか」

「うんうん」


 二人で一つずつクッキーをそっと口に。


「熱いけど、あまーいですん」

 たしかに、まだ熱い。でもまぁ食べれないほどじゃないな。


 二人でクッキーをつまみながら、お茶を。

 そんな異世界での休日の一日。


 ココさんは魅力的だし、手を出したくなってくる。

 気がかりなのは一点。俺がまだ試用期間だってこと。

 試用期間で不合格だと、もうここに来れなくなっちゃうんだよな。

 やっぱり、ちゃんと正式採用になってからのほうがいいんだろうな。

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