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18 クエスト依頼

 翌日、アウランクスの牙をもっと入手できるように、クエストを依頼するべく、俺はココさんと冒険者ギルドへ向かった。


 カランカラン。

 やはり俺の姿は冒険者たちから注目を浴びるようだ。

 まぁこればっかりは仕方ない。そのうちお互いに慣れるだろう。


 俺は昨日と同じく、正面のカウンターの向こうにいる女性に話しかけた。

「すみません、クエストの依頼を出したくて来ました。初めてなので要領がまったくわからないのですが」

 俺がそう言うと、受付の女性は、

「それでは、こちらへお出で下さい」

 そう言って、カウンターの仕切りを上げて俺たちを中へ誘導してくれた。


「こちらでお待ち下さい」

 俺たちは指定された部屋の椅子に腰掛けて、そのまま待つことにした。


「お待たせしたかな」

 目つきの鋭い引き締まった体をした中年の男がそう言って現れた。

「当ギルドのギルドマスターをしているアレイスターだ。よろしく頼む」

「わたしは商人の田島真司です。タジマと呼んでください。よろしくお願いします」

 俺は挨拶をしてアレイスターと握手をした。


「クエストの依頼と聞いたんだが間違いないかな?」

 さっそく本題に入るようだな。

「はい、アウランクスの牙を買取たいと思います。昨日、こちらで二本買わせてもらったのですが、それ以上ほしいのならクエストで出したほうがいいとお聞きしたので」

「アウランクスの牙か、確かにそうだな」

 アレイスターは少し考え込んでいるようだ。

「アウランクスの牙を何に使うんだ? 武器にするには微妙な硬さだろう」

「彫刻するための工芸品として需要がありますので」

「ほー、彫刻か。確かに彫り物をするのには面白い素材かもしれんな」

 アレイスターは感心しているようだ。納得してもらえたかな?


「アウランクスの牙はなかなか難しいかもしれんな」

「そうなんですか?」

「昨日買っていったのならわかるだろうけど、重いんだよあれは。その割には売値があまり高くもないってことで、持ってきてくれる冒険者が少ないんだ」

「確かに、なかなか重かったですので狩り場から持ってくるのは辛いでしょうね」

「あー、そういうことで、あれを持ち込むのはアイテムボックス持ちの冒険者くらいなんだ。スキルにせよアイテムにせよ、それほどアイテムボックス持ちは多くはないからな」

「そういう事情でしたか」

 アイテムボックスなんてのがあるんだ。それいいな、なんとか入手できるといろいろ便利なんだが。


「アイテムボックスにも容量制限があるからな、だからあまり期待されても困る」

「少し金額の方に色をつけたらいかがでしょうか?」

「ほー、それなら一般の冒険者でも依頼を受けることがあるかもしれないな」

「アウランクスの牙を入手すること自体は難しくないんですか?」

「デカブツだから、それなりの冒険者でないと相手はできないから、誰でもいけるってものでもないぞ」

「そうなんですね」


「どのくらいの金額ならそれなりにクエストが成立しそうでしょうか?」

「そうだなぁ、1本あたり10万ジェルってところか」

「相場の倍ですか……」

「ムリか?」

 まぁそれでも十分美味しいんだけどな。


「わかりました。その金額でクエストを依頼しましょう。

 ただ、それだけ出すのですから、うちの店舗まで牙を納入するところまでしてほしいのですが」

「そのくらいなら、いいだろう。お前んとこの店の場所とか、係の者に伝えておいてくれ。

 受け渡し方法とか、細かい話もそいつと頼む」

「わかりました」

 アレイスターはそれだけ言うと、さっさと立ち去ってしまった。

 代わりにまだ若そうな女性が現れ、細かい調整となった。


 そこで1本10万ジェルで週にアウランクスの牙を10本買い取るべく契約が成立し、前金として半額の50万ジェル冒険者ギルドに支払うことになった。

 あわせて、前回買い取ったアウランクスの牙の大きさを基準として、それより小さいもの大きいものに関しては割引・割増を行うこと。

 アウランクスの牙はすべて店舗まで納入することなどが取り決められた。

 ちなみに、金額の3割をギルドが徴収するため、冒険者たちに渡る金額は1本あたり7万ジェルらしい。結構冒険者ギルドもぼったくってやがるな。


 最後に世間話のついででアイテムボックスのことについて聞いてみたところ、10キロ程度しか入らない最低ランクのアイテムボックスでも1000万ジェル前後で取引されているようだ。

 欲しいとは思うけど、価格があまりにも法外すぎるな。

 アイテムボックスは諦めたほうがよさそうだ。

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