17 冒険者ギルド
今日は冒険者ギルドに行ってみようと思ってる。
当然だけど、冒険者になるってわけじゃない。冒険者が集めてきた薬草やモンスターからの素材を冒険者ギルドで販売もしてると聞いていたからだ。
「ココさんは冒険者ギルドに行ったことがあるの?」
「冒険者ギルドの前は通ったことがあるから場所は知ってるんですけど、中にはいったことはありません」
やっぱり冒険者ギルドはあまり普通の人たちにとって縁のないところだよな。
ファンタジー小説では定番だから、少し楽しみにしている。
冒険者ギルドは商業ギルドのすぐ近くにあった。
カランカラン。
ドアには商業ギルドと同じようなドアベルがついているようだ。
少し冒険者ギルドのドアベルのほうが音が低いような気がするが、気のせいかもしれない。
俺たち二人が中へ入ると、人々の注目を浴びたようだ。
そりゃ俺の格好と言ったら上下ともスーツ、冒険者には見えそうにないしな。
俺は見渡した結果、正面のカウンターの向こうにいる女性に話しかけた。
「すみません、受付はこちらでよろしいでしょうか?」
「はい、どのような御用ですか?」
正面の女性は丁寧に話してくれた。
「この街で店を開いたばかりの商人なんですが、冒険者ギルドで取り扱っている商品を見たくて来たのですが」
「それでしたら、あちらの扉からはいって中にいる人に声をかけてみてください」
そう言って、右手の奥にある扉を指さしてくれた。
「ありがとう」
俺は礼を言って、言われたとおりの扉に入っていった。
「こんにちは」
中にいる男の人に声を掛ける。
背が俺の胸のあたりまでしかなく、ずんぐりとした体格でひげもじゃらの男性だ。
この人ってもしかしてドワーフってやつじゃないだろうか?
初めて見たので少しドキドキしている。
「なんじゃ、買取って感じじゃないな。商人か?」
「はいそうです。
この街で店を開いたばかりの商人なんですが、冒険者ギルドで取り扱っている商品を見たくて来たのですが」
俺はさっきの受付で言った内容を繰り返して伝えた。
「そうか、常に置いてある品としては薬草類じゃな」
ドワーフのおっさんは三種類の薬草名を教えてくれた。どれも昨日薬草屋で買ったものであった。
「他は、その時次第でさまざまじゃな。
どうしても欲しい商品があるのなら、クエストとして依頼しておくといい。
そこに並べてあるのが今売れる商品だから、適当に見てってくれ」
「わかりました。価格は都度聞いてよろしいですか?」
「あー、そうしてくれ」
うーん、面倒なシステムだな。俺は雑多に並べられてる品々を眺めていく。
俺は手近に置いてあった皮や毛皮について、ドワーフのおっさんに尋ねてみた。
どれもそれなりにいい価格だな。このあたりはあっちの世界でも需要がありそうな気がするんだが、この価格で仕入れてもあまり儲けにならない気がする。
一応候補商品ってことで、スマホで撮影して価格のメモだけはしておく。
「これってなんですか?」
俺は奥の方に無造作に立てかけてあった巨大な牙を見つけて、ドワーフのおっさんに尋ねてみた。
「アウランクスの牙だな。でかい割に武器として使うには強度が足らないので価値は低いぞ。
一つ5万ジェルってところだな」
アウランクス……どんなモンスターなんだろう?
「ココさん、アウランクスって知ってる?」
「すっごく大きなモンスターって話ですよ。見たことないですけど」
うーん、わからん。これもしかして象牙かもしれないなって思ったけどどうなんだろう?
すごく大きいって言ってたからそうかもしれないけどな。
「これって二本しかないですか?」
「そうだな、あまり狩りの対象にもならないし、狩ってもそれ持ってくるのも大変だからな」
まぁ試しに買っていってみるか。
「これ頂いていきます」
「わかった。もっと欲しいようならさっき言ったとおりクエストにでもしないと滅多に入荷しないぞ」
「わかりました、持って帰ってから考えます」
俺はドワーフのおっさんに10万ジェル支払ってアウランクスの牙を二本買って帰った。
確かに結構重いな、ココさんと一本ずつ持って帰ったんだが、一本あたり10キロ以上ありそうだ。
店舗に戻ってさっそく俺は、アウランクスの牙を機器にかけてみた。
【品目:アウランクスの牙/象牙 数量:1 買取額128,600円】
象牙で正解だったようだ。しかもいい値がついてるじゃないか。もう一本も同様に
【品目:アウランクスの牙/象牙 数量:1 買取額128,900円】
誤差のような金額差だけど、少し買取額に差があるな、重さか状態かわからないけど微妙な差があるんだろう。
これはなかなかいい商品が見つかったようだ。
ただ、クエストにしないと入手できないのが面倒そうだ。ただクエストにするなら店舗に届けてもらえるかな?
これ何本も持って帰るのは重労働だからな。