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15 砂糖の取引、個別の商談へ

「続いて砂糖の方をお願いしたいのですが」

 俺は引き続いて、砂糖の壺を一つフタを取って見せた。

「何という白さ!」

 そういえば砂糖って白いものってイメージがあったけど、黒砂糖もあったっけ。

 中世とかではどっちが主流だったんだろう? まぁ違いとかよく知らないんだが。

 コショウの時と同様にスプーンで少量手のひらにすくって眺めている。そして二人とも砂糖を口に。

 砂糖の甘さは誰をも至福にさせるのだろう。少し口元がゆるんでいるようだ。


「しばらくそのままお待ち下さい」

 先ほどと同様に二人は別室へ引き上げていった。

 十分ほどで戻ってきて今度はイサークの方からの商談となった。

 専門が分担されてるのかな? いや、違いそうだな。

 きっとお互いに競争にならないように、分担したんだな。

「砂糖一壺あたり20万ジェルでいかがでしょうか?」

 おや? 砂糖の方はほぼ想定していたような金額だな。

「そのくらいですか?」

「申し訳ないがこれ以上はギルドでは出せそうにない」

 ニ割足せばほぼ俺の想定金額ってことだから、まぁこんなものなんだろうな。

「しかたありませんね。それで手を打ちましょう」


「おぉ、それはありがたい。ではさっそく取引を」

「あっ、ついでにギルドへの年会費の支払いもしたいので差額でお願いします」

 実は、商品価格調査だけが目的でなく、年会費を現金で払いたくないからギルドへの買取をお願いしたってのもあるんだよな。

「それはこちらも助かる話だ。さっそく用意しよう」


 これで売上が

 ホワイトペッパー 14万×4 56万ジェル

 ブラックペッパー 14万×4 56万ジェル

 砂糖 20万×5 100万ジェル

 で、合計212万ジェルか。


 212万ジェルからギルド年会費30万ジェルを差し引いた182万ジェルを受け取った。


「それでは、商品サンプルも預からせていただきます。

 商品サンプルを預けたということは今後もコショウや砂糖の取引を継続して行われると思ってよろしいのでしょうか?」

 イサークの方からそう話があったので、

「そのように考えております」

「発注したとして、取引可能量や納期はどのくらいなんでしょうか?」

 さーて、どう返事しよう。いくらでも即座に納品可能なんだけど、まさかそう答えるわけにもいかないしな。

 さすが二人とも遣り手だよな、想像どおり個別の取引話になってきた。


「量の方は必要分だけ可能と思われます。納期は相談次第ですね、早期にと言われれば価格次第である程度はムリも可能です」

「いやいや、このような貴重品を納期でムリを言おうとは思わん。一週間くらいならムリせずできるか?」

「それだけいただければなんとかなると思いますが」

「砂糖20壺を一週間後に納入できるか?」

「八日後の朝でよろしければ可能ですが、お値段が20万ジェルと言われるとこちらも辛いものが、あくまで今回だけの特別価格と考えておりますので」

 月曜は報告やら忙しそうだから火曜の方が都合がいいんだよな。

「これはわたしの個人的な取引分だからギルドとは関係ないものだ。25万ジェルなら払おう」

 ほぼこちらの想定通りの金額提示か。正直美味しい取引なのでもちろんOKだ。

「これからもよろしくお願いしたします」

「売れ行き次第となるがある程度定期的に頼むことになると思う」

「優先的に取引できるように考慮させていただきます」

「それは助かる」


「イサークとの話は終わったようじゃの。

 コショウの方も同じように可能か?」

 続いてロザーノとの商談となった。やはりそういうふうに二人で分担したんだな。

「苦しいものがありますが、ロザーノ様のためになんとかいたしましょう」

「コショウはそれぞれ10壺ずつ同じ時期になんとかしてほしい。1壺18万ジェル出そう」

「それでは八日後の午後ってことでよろしいでしょうか?」

 両者にまとめて納品・商談ってのはしんどいから少しずらしたいんだよ。

「確かにイサークの方と重ならないほうがよいな、それでよい。

 ところで量が多くなるが、前金は必要か?」

「お二人ならば信用しても問題ありませんよね」

「当然、信用してもらって結構だ」

「それならは契約書だけで前金は結構です」

「それは助かる」


「納品場所はどうしましょうか?」

「量も多くなるな、そちらの店まで受け取りに行こうか?」

 ロザーノの方からそう言ってくれたので助かった。なかなかここまで担いで持ってくるのは毎回となるときついものがあるからな。

「よろしければそういうことでお願いいたします」

「わかった。最初はわたしも同行するが二回目以降は店の者だけで行かそう」


 その後、両者と個別の契約書を結んだ。見た限りでは問題なさそうだが、こちらの商文書には不慣れでもあるため、ココさんにも横で確認してもらった。

 二人に見送られて俺たちは商業ギルドを後にした。


 こちらでの初めての取引で緊張したが、想定以上に多くの売上を手にできたな。

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