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12 ケモミミモフモフ

 さーて、月曜日だ。自宅から異世界へ直接出勤ってのは楽でいいよな。

 でも、ちゃんと着替えていかないとな。ついついラフな姿で出かけたくなっちまうけど、ちゃんと仕事とプライベートの区切りをしっかりつけないといけない。

 服装に規定はないんだけど、異世界支店へ出勤する際は、きちんとスーツに身を固めている。

 今はともかく、将来的にお偉い貴族様と取引することだってあるだろうからな。


 スーツに着替えて次元転移装置のスイッチを入れる。

 あっという間に通勤完了。

「タジマさん、おはようございます」

「ココさん、おはよう」

 こうやって、朝出迎えてくれるのって気持ちいいよな。


 ココさんの耳をじっくりと見る。うん、耳の先っぽがやっぱり黒いな。やっぱりキツネ娘で間違いなさそうだな。

 これって聞いてみても大丈夫なのかな? 何が失礼になるかよくわからないのが困ったものなんだけど。

「ココさんって、キツネの獣人でいいのかな?」

「うん、そうですよ」

 笑顔で答えてくれたってことは、聞いても問題なかったってことだよな。

 ここでなにか気の利いたことが言えるといいんだが、何も思いつかないな。

 恋愛シミュレーションでもなかなかこういうシチュエーションはなさそうだ。


「課題の容器を見つけておきましたよ」

「お、どんなのだい?」

「壺なんですけど、無彩色の素焼きの壺のちょっと形が悪いやつです」

 そう言って三種類の大きさの壺を見せてくれた。

「大きなのは4000ジェル、中くらいのが3000ジャルで、小さなのは1500ジェルってところです」

「おや、なかなかいいじゃないか」

 俺は手にとって眺めてみたあと、どこかの鑑定団の人のように指で弾いてみてが、もちろん音で良し悪しがわかるほど壺には詳しくない。


 ココさんがニコニコしているな、ここはチャンスか!

「俺の世界だと、年下の子がいい仕事をした時に頭をなでる習慣があるんだけど、こっちだとどうなんだろう?」

「ふぇっ、頭をですか? 家族や親しい同士が毛づくろいをすることはありますけど、頭をなでるってのは……」

「なでられるのは嫌かな?」

「んー、別に嫌じゃないかな」

 よし、確かに聞いたぞ。嫌じゃないってのはなでてもOKってことだよな。


「じゃ、せっかくだから、なでさせてもらうよ」

 俺はそうことわってから、ココさんの頭に手を伸ばした。

 一目見たときからなでたかったケモミミを今こそ!

 俺はめいっぱいケモミミを中心に頭をなでまくった。

 セクハラじゃないぞ、あくまで頭をなででいるだけだからな。


 うん、満足した。このモフモフはいいものだ。

 また機会を見つけてたっぷりモフモフしよう。

 ココさんは少し恥ずかしそうにしていたけど、決して不快ではなさそうな感じだ。

 なぜなら、しっぽがぶるんぶるん振られている。犬と同じ習性だとしたら、これって喜んでる時だよな。


 満足したので壺の方に再び。

 大きな壺は見る限りでは1kgくらいの砂糖や塩を入れるのによさそうだな。

 中くらいの壺はその半分くらいか。

 小さな壺は100gくらいのコショウでよさそうだ。ちょっと割高になるけど、まぁそれはしかたないだろう。


 でも壺の代金を考えるとやはり塩は利益が薄そうだな。5割儲かれば薄利とは言えないだろうけど、砂糖やコショウと比べるとどうにも手間ばかりかかって旨味がすくなそうだ。

 まずは、コショウと砂糖に絞って商売することにしよう。


「ココさん、それじゃとりあえず、大きい壺を5個、中くらいの壺を10個、小さな壺を20個仕入れておいてもらえないか」

「わかりました。さっそく注文してきます。お店に運んでもらえばいいですよね」

「それで頼む」

 配達してくれるのか、それは便利だな。

 ココさんはお金を機器から引き出して、さっそく注文に出かけていった。


 俺もさっそく機器を操作して、商業ギルドに持っていくための分を発注することにした。


 ホワイトペッパー 80g×5 2700円

 ブラックペッパー 100g×5 2600円

 砂糖 1kg×3 690円


 これをそれぞれ、

 ホワイトペッパー 80g 6400円

 ブラックペッパー 100g 5000円

 砂糖 500g 25000円

 を目安に、売ろうと思っている。


 これはあくまで、ネットで中世ヨーロッパの価格を参考につけた金額なのでここでの相場がよくわかってない。

 とりあえず、商業ギルドで対応した人に価格を提示させる予定だから、どのくらいの価格を提示してくるかがわからないので目安にするだけのつもりだ。

 まぁ普通に考えてめいっぱい低めに提示してくるだろうからな。


「ただいま戻りました」

 ココさんが戻ってきたと思ったら、2メートルくらいありそうな男といっしょだった。

 うん、この男はクマの獣人だな。いかにもクマって感じだ。

「壺はここに運べばよろしいか?」

 さっそく配達してくれたんだな。早くて助かる。

「あぁ、そこに並べてくれ」

 男は布でできた大きな袋から壺を取り出して並べていく。注文した分が全部はいってるのか。


「その袋ってどこかで買える?」 

 俺は壺屋の男に向かって聞いてみた。

「雑貨屋で買ったものだな。ちょっと値段は忘れたけどそれほど高くはなかったはずだよ」

「ココさん、わかる?」

「見てきますね。1つあればいいですか?」

「んー、1万ジェル以下なら2つほど買っちゃって」

「はーい、わかりました」

 さっそくココさんは駆けていった。フットワークがよくていいな。


「それでは、ありがとうございました」

 壺屋の男はちょこんと頭を下げて出ていく。

「きっとまた買うからよろしくな」

「まいど、ありがとうございます」


 壺屋の男を見送った後、俺は砂糖を中くらいの壺へ、コショウを小さな壺に詰め替えていった。

 なんかフタをしないと不味いよな。

 俺は再び機器を操作し、


 綿(無地・白) 10m 510円

 麻紐 600m 500円


 を購入した。ポリエステルの布やビニール紐ならもっと安いんだが、自然素材のものじゃないとあまりよくないよな。

 適当な大きさで布を切り取り、麻紐でしばるという単純なフタだけど、別にこれでいいだろう。

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