追い詰められる者たち
久しぶりの投稿です。内容を思い出しながら、書いてみました。良かったら、感想などをお願いします。
マリアが閃光手榴弾を投げると、ヴィクターとジェームズの視界は一瞬眩み、手下のFresh・golemたちも動きを止めた。その隙にマリアはパーサーの手を掴み、大通りへと逃げ出す。
「早く、パーサーくん!」
人混みの中、二人は走り続けたが、大使館への道は混乱しており、近くを巡回する警官の視線も気になった。
仕方なく二人はパリのランドマーク、エッフェル塔を目指すことにする。
途中、肩で息をしているハミルトン大佐と偶然合流する。
彼もまた、逃げ延びた者として二人に加わることになった。
三人は通り道を塞ぐGolemたちを巧みにかわしながら、塔の足元にたどり着く。
塔を登るにつれ、追跡者たちの数は減らない。Fresh・golemたちの影が、鉄骨の間から次々と迫ってくる。パーサーはクラーディを守りながら必死に階段を駆け上がる。
そして、とうとう最上階付近まで追い詰められたとき、ヴィクターとジェームズが手下のFresh・golemたちを伴い、二人とハミルトンの前に立ちはだかる。
「ここまでとは、なかなか面白いな結末になったな」
ヴィクターは冷たい笑みを浮かべる。
「逃がさないぞ、パーサー」
鉄骨の上でジェームズが静かに宣告する。
その目は追い詰めた獲物、パーサーを射抜くように睨みつけていた。
「そうだな。ここから落ちれば命はない。だが、抵抗するなら少しは楽しませてもらおうか」
ヴィクターは冷ややかな声音で言い放ち、唇の端を吊り上げる。
「落ち着けよ、ヴィクター。舞台はこれからだ。我らが“主”のお出ましだからな」
その言葉に合わせるように、二人は同時に左右へと退いた。空いた空間から、肩にインコ型のGolemを乗せたローブ姿の男が現れる。
――ローブの裾が風に揺れるたび、鉄骨の上に張り詰めた空気がさらに重さを増していった。
パーサーたちは思わず息を呑み、自然と後退する。
男はゆっくりとローブのフードを外した。
そこに露わになったのは、クラーディと瓜二つの顔。
しかし、その全身は厚く塗り固められた蝋で覆われ、表情の欠片すら見せぬ冷たい人形の顔だった。
「クラウス……?」
パーサーが呟く。
その瞬間、ハミルトンの瞳が鋭く細められる。
「――全員、下がれ!」
緊迫した声が響いた直後、インコ型のGolemが嘴を開いた。
『やぁ、久しぶりだな……いや、初めましてと言うべきか』
あまりに自然な人語に、一同は息を呑んだ。愛玩用に過ぎないはずのインコGolemが、流暢に喋るはずがない。
『失礼を許してほしい。この“器”では言葉を紡げないのでね』
すると、クラウスの蝋で覆われた口元に亀裂が走った。
パリリ、パリパリと乾いた音を立てながら、固まった蝋の層が歪み、まるで人間の顔のように不気味な笑みを浮かべる。
『我が名は――Adam。人間を模して造られた最初のモデルだ。さて、長々とした前置きは好きではないので、単刀直入に言わせてもらおう……我が妻を返してもらおうか』
その言葉と同時に、クラウス――いや、Adamの腕がギギギと軋みながら動き出し、ハミルトンに背負われたクラーディへと伸びていった。
時間が開いているので、もしかしたら、矛盾しているところがあるかも知れませんが、今後ともよろしくお願いします。




