副長×三番隊長
タイトル通りの対談です。一切アクション無いよ!
豊葦原は京の都の歓楽街、島原。
「おう、ハジメ。さ、呑め呑め。」
「か、かたじけない。ささ、ご返杯です。」
なぁーにが呑め呑めだ。気分良くして頼み事、だろうが。ま、そんなことなら呑んでやらぁ。
とことんな。
「はは、遠慮せんでいいぞ。それともあんまり飲み過ぎると時尾にしかられるのか?」
と、小指を上げてニヤニヤと笑ってやがる。相手が相手なら舌打ちしてぶった切るんだがなぁ。まあ、店に入った時点で刀は預けるきまりなんだが。
襖の向こうから女の声。女も呼んで、お座敷遊びかね。
「おお、ねえちゃん。さ、ここに座りなさい。」
襖を開けて女が入ってくる。
「おおきに。おや、歳はん。おこしやす。よう来とくれやしたなぁ。」
知り合いかよ。てか常連かよ。
「お連れもいてらっしゃるのにうち一人でええんどすか?」
「おう、こいつにゃ女がいてな、そいつがまたこええから遊びはダメなんだとさ。」
「あら、ふふふ。」
「いや、恐ろしいのは否定しませんが、時尾は別にそう言うのじゃありませんから。」
そうかいそうかい、でも女は呼んでやらねぇ。がははははははは。
完全に酔ってやがる。早ッ。
……と、こんなやりとりが小一時間続き。
俺もそろそろ酔いが回ってるらしい。気分がいいや。
「で、ハジメ。」
いきなりしらふに戻るなよ。ビビるだろ。
まあいい。こっちも酒呑んで、頭が冴えまくってきた頃だ。
「おめぇにちょいと任務があってよ。」
「どんな内容でしょうか。」
「護衛だ。対象は仏蘭西の貴族さん。」
……それは、また。
でかいの持ってきたなぁ。
「……そんなに驚いてねえみたいだな。」
「いえいえ、驚いて言葉も出ないんです。」
まあ、正直予想通りのちょっと上って所か。
わざわざ酒呑ませて任せる任務だ。普段の俺なら渋るようなヤツだろうとは思っちゃいた。
「仏蘭西の貴族、ルイス・ド・ブルボン伯が天皇陛下に謁見なさるとかどうとか。ま、お前はとにかく護衛すりゃ良いんだが……」
「襲撃者の情報を集めて報告ですね。」
「ああ、そうだ。今回襲ってくるとしたら敵は十中八九尊皇攘夷を唱える不逞浪士共だ。だからこの機に一斉検挙したいのさ。」
なるほど了解。
まあ、受けるしかないさな。
「分かりました、その任務、お受けいたします。」
俺はちょっとだけイヤミと疲れを込めて言う。
「――副長殿。」
……。
…………。
「ではわたしはそろそろこの辺で。」
「おう、またあしt……あ、そうそう言い忘れてた。
「?」
「護衛するの、お前だけじゃねぇから。向こうも一人連れてくるらしい。」
………………は?