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21 それぞれの思惑

「ソウ、どういうことだよ!!」


俺はソウの襟首を掴む。


「解らない。私も驚いているんだ」


こいつの目は嘘をついていない。

わかっているが、様々なことが一気に重なって、わけがわからなくなった。


生け贄はリシルじゃなかったのかよ。



「まず知っていることを話すと、神託で生け贄が選ばれるのは嘘だ」

「なに?」


「神の声を聞くものなどこの国にはいない。本当は誰が贄でもよかったんだ」

「どういう意味だよ」

―――――――――――



―――私とメルドラは幼い頃に両親に捨てられ、貧しい生活をしていた

金に困った私は人を殺すことで生計を立てていたんだ

偶然、帝都に着いたとき、子供のいない貴族の夫妻が私とメルドラを拾ってくれた―――


それから数年、軍団長となった私の前にジソヴという神官の男が現れた。


男はメルドラが贄に選ばれる可能性があると告げた。



私は贄に選ばれぬようにするには、どうすればいいかとたずねる。


すると男は言った

“別の少女を贄として皇帝の前に差し出せばよい”

―――――――――――



「メルドラを守るためとはいえ、すまなかった」

「……ふざけんな」


「謝って済むことではないとわかっている

責任はとろう。迷うことなく殺してくれ」


ソウは諦めた、ただ生きる気がないのか、無であった。



「そうかよ、ならお望み通り――――――」

「やめてお兄ちゃん!!」


リシルが俺の前に出て、ソウをかばう。



「……リシル?」

「私お兄ちゃんが助けにきてくれるって、信じてた。だから殺さないであげて」


「けど、そいつはお前を……」

「カツはだまってて!」

「ちえ」

カツは納得いかないように言った。



「だって、この人悪い人じゃないよ。メルドラさんを助けたいから仕方なかったんでしょ」

「あのな……そんなこと言って、お前が代わりになってちゃ意味ないだろ」


「さっきも言ったでしょ。私は気にしてない。だから許してあげて!お願いお兄ちゃん!!」


「……たく仕方ないな」

「なぜ!?」


「妹のお願いは絶対だからな。

大体ハナッからお前を殺す気なんてねーよ。

それよりもやることがあんだろ」


―――――メルドラを助けにいく。



「話は終わったみたいね」


皇帝の治療をしていたセッカ、街でジソヴの情報を集めていたジェールがきた。



「皇帝の容態は?」

「落ち着いてるわ」


よかった。あいつには聞きたいことがあるからな。



『真帝に目覚められては―――』


「あいつ、真帝の部下ですらなかったみたいだが、何が目的なんだ」


「世界征服じゃない?」

「誰だ……」


暗めの布をまとった男が現れた。



ばさりと、体を覆う布をとりさらうと、中華服を着た水色の髪の男だった。




「――――――僕はジョク、この帝国の皇子だよ」

―――――――――――



「もうすぐだ……創造神カミュレットの力を我がとする日が来る」


愚かな全ての人間、物言わぬ動物たち、広大で残酷な大自然。


全てを我が手中におさめ、新たな神となり世界を作り替える時が来た。



「総てを消し去り、全てが新しい物へ変化を遂げ皆が新たな神であるこのジソヴを崇め、すがり、拝したたえるのだ」


尊厳、争い、格差に苦悩する人間、興味がない。


なんと愚かしく、滑稽、下らない。


価値のない者、みな消えよ、さすれば洗練された新たな存在を与えよう。

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