21・ステータスと旅の準備
ステータスの説明で長くなってしまいました。サッと読んで下さい。
ではどうぞ。
ステータスのあり得なさに全力で突っ込んでしまった。
開けておいた窓から声が思いっきり外に漏れ、村人が驚いてこちらを凝視していた。
瑠華はそっとベッドから降り窓を閉めてベッドに戻る。
そしてもう一度ステータスを見てみるが、やはりステータスは変わらずあり得ないことになっていた。
「セぇぇぇぇぇラぁぁぁぁぁ…………」
セラフィミリムに呪詛を吐いておく。
カスタマイズされてるのはこの際よしとしよう。強くなれるのは純粋に嬉しいから。
だけど!明らかに遊んでるよな⁉特に職業と称号‼おかしいにも程があるだろ⁉
なんだよ!(笑)って!ステータスにそんな表示は存在しない!しかも『勇者(爆笑)』って!爆笑すんなら消せよ!消しといてくれよ!『天然(人)たらし』は納得できないがとりあえずはいい。だがその次!『ハーレム野郎(願望)』って!そんな願望持ったこともねぇよ‼
はぁ、はぁ、一回落ち着こう。
うん、上から順番に見ていこう。うんうん。
先ず名前と年齢はいいか。
レベルは、最後に見た【カイン】のレベルとあまり変わらないからこれもいい。
問題は次だ。無職(笑)ってふざけてんの?おちょくってるの?あちらの世界では学生してたし、この世界に来たばかりだから無職なのもいい。旅人とかにしてほしかったけどね‼でも(笑)ってナニ?なんでステータスに笑われないといけないの?
ふぅ……………ダメだな。心が荒れてしまう。スルーしよう。僕のスルースキルはMAXだからね。
HPから器用まで全部SSSになってるのは、世間一般的に化け物というかあり得ないレベルなんだけど、それは【カイン】の頃からだから気にはならない。
流石に【カイン】でも全部SSSではなかったけどここは流そう。
この世界のステータスは数字ではない。
FからSSSまでの9段階で表示される。更にこの表示には色がついており、緑、青、赤と変わっていく。
F‥‥緑で瀕死、青で死の一歩手前の出遅れ、赤で死亡
E‥‥赤ちゃんから三歳位まで
D‥‥十歳位まで
C‥‥一七、八位まで
B‥‥一般的な大人
A‥‥超人、例えばSランク冒険者など
S‥‥ちょっと化け物
SS‥‥本物の化け物
SSS‥‥神レベル?
これがHPの見方である。言い方はBの緑、という感じだ。
HPにはスキル、魔法、魔道具、装備などの補正は一切ない。健康でいればBの緑まで何もしなくても、一般人レベルであればなれる。その先は努力してレベルをあげるしかないけれど。
目安としてDの青になると休まなければならない。
当たり前だけど、皆いちいちステータスを見ずとも感覚で生活している。
これがMPだとまた若干異なる。
この世界では魔力は誰でも持っているが、全員が属性を持っているわけではない。一般の人達は精々無の生活魔法のみである。MPはDの赤が一般人の基本数値で、Dの緑だったら生活が少し楽になるという感じだ。
MPがBの緑だと一流と呼ばれ、それ以上は何処に行っても優遇されるだろう。
体力から器用も若干の違いはあるが、似たようなものだ。
という訳で、全ステータスSSSなんて化け物どころか神レベルで崇められそうな数値なのだ。
こんなステータス、過去でも勇者かその仲間位しか持っていなかった…………
とこんなところか。
次は属性。
全属性なんだね、僕って。セラの加護の恩恵だね。
創造神の加護は過去にも数人しかいない貴重なもの。その数人も全属性持ちだったと書物で読んだことがある。
無属性の重力、空間、結界、召喚まであるってどんだけチートなの?どこまで、どんなことが出来るか後で確認しないとね。
隷って隷属魔法のことだよね?全く要らないんですけど?確かに【カイン】だった頃は奴隷をもっていたけれど……………あの子は事情があるし。
でも逆に考えると、隷属魔法を無理矢理掛けられた者を解放できるってこと。
奴隷は主人となった者の“所有物”だから、勝手に解放したらこちらが罪に問われてしまうけれど。
次は魔眼だね。
魔導の魔眼?能力が魔力吸収、蓄積、譲渡、干渉ってこれまた随分チートくさいね………っていうか魔眼持ってるの?持ってるんだよね…………後で鏡でも見てみよう…………吸収、蓄積、譲渡は分かるけど干渉ってどういうことかな?人の魔法に干渉する、とかかな?
これも後で確認だね。
次はスキル。
スキルは【カイン】の時と一緒だね。変わりなし。
さぁ~て、お次は問題の称号にいきましょうか~
『異世界の者』‥‥異世界の魂を持つ者 補正 身体能力向上中
これはそのまま。異世界から召喚された者には必ずつく称号。異世界の者はこの世界の住人より強い魂を持つそうで、総じて身体能力が高い。補正とはそういうことらしい。
『勇者(爆笑)』‥‥勇者
ねぇ、セラ?君は僕にどうしろと言うの?職業で笑われたのに更にここでまた?しかも爆笑って酷くない?説明も雑すぎるし‼
これはアカ、本当の勇者が持っている称号とは大違い。あちらは勇者らしくチート級の補正がついている。
邪神を倒す為の勇者なんだから当たり前だけど、すっごい補正だった。
何故この称号が僕にあるのか?
それは恐らくだけど、僕達を召喚した魔法が以前使われた“勇者召喚”をもとに使われた召喚魔法だったからだろう。いわば、副産物のようなもの。
勇者とはそんな簡単になれるものではないのだから。
『世界を救った英雄』‥‥ヴェントゥーザを救いし英雄の称号 固有魔法 ディパインハーモニー
固有魔法はあの最期の瞬間使った魔法だ。あれの劣化版、簡易版かな?“浄化と再生の光”だから聖魔法の最上級と考えればいいのか。アンデット系と穢れた地とかに有効そう。
『神々の寵児』‥‥神々に愛されし魂を持つ者 スキル 神託 称号『神の神官』
ああ、成る程。『神の神官』の称号はこれの副産物的な感じか。おかしいと思ったんだよね、『神の神官』の称号は聖職者にしか与えられないはずだから。
そりゃ、【カイン】だった頃も毎日祈りは欠かさなかったし、今でもしっかり毎日やってるけど聖職者ではないからね。納得した。
『神の神官』の称号スキル、スキル譲渡と封印、消去も使えるみたいだし。使う機会があるかどうかは別として。
『唯一無二の勇者の友』‥‥勇者と対の称号。勇者と共に戦うことで“邪悪なる者”、またその眷属に絶大なる効果を与える。
これはアカと初めて邪神の眷属を倒した後に取得した称号。これを見た時、お互い照れから苦笑いだったな。
『剣神』『気を操る者』『格闘術超越者』『調合を極めし者』『あらゆる武器の申し子』『冒険者を極めし者』は勇者が召喚される前から取得していたもの。特に変わりなし。見たまんま。
『魔眼覚醒者』‥‥魔眼を持つ者 能力魔力吸収、蓄積、譲渡、干渉
これはさっきと同じか。
『世界に絶望を抱く者』‥‥その心に絶望を抱く者の称号。能力 無慈悲
これはこの世界に転生した時から持っていた称号で、これのお陰なのか、せいと言えばいいのか、初めて人を殺した時でも何も感じなかった。これまで数えきれないほど人の命を消しても何とも思わなかった。
盗賊や敵対する者達だけれど、それでも人を殺して何とも思わないのは人として、いやそんな者は既に人ではないのかもしれない。
けれど後悔はしていない。してはいけない。
そして必要ならばこれからもこの手を血に染めることを厭(いと
)わない。
やらなければならない時などいくらでもあるのだから。
『冷酷な鬼畜英雄』‥‥勇者をはじめ大多数の者に陰ながら呼ばれている称号。貴方にぴったり!
この称号についてはノーコメント‼
『魔法殺し』‥‥幾度も魔法を阻止させてきた者の称号。貴方の前では詠唱は無意味。 能力 魔力感知向上最大
これは人間や魔物の魔法を完成前に潰していたらいつの間にかついていた称号。何気に魔力感知向上最大は役にたつ。
『天然(対象なんでもあり)たらし』‥‥無自覚に(対象なんでもあり)たらしこむ危険人物に与えられる称号。この人に近づいてはいけません。
この称号もさぁ…………………………………はぁ、もういいよ…………
『ハーレム野郎(願望)』‥‥多数の女性に好かれ侍らせるすけこましに送られる称号。世のモテない男性の敵。爆発すればいいと願われている。
何故、無実の罪で死を望まれなければならないのかな?女性を侍らしてなんてしていないしね?そして願望ってそういう意味なの?
冤罪も甚だしいよ‼
『血狂い』‥‥とある人物達に恐れられ悪夢の象徴とされ語り継がれている者に与えられる称号。夜道は背後に気をつけて!
この称号についても何も聞かないで‼
称号はこんなものかな……………これだけで僕のライフはかなり削られた……………突っ込みどころが多すぎるよ、セラ………
後は加護。
セラフィミリムの加護は【カイン】の時からあったけど、一三柱の加護は何故?こんな加護持ってる人、他にいないでしょ?なんでついてるの?セラだけでよくない?
もう、疲れたよ……………ステータスはいいかな…………
気を取り直して、アイテムボックスの確認をしよう!
え~とお金は…………うん、本当に全く使われてないね。使っていいって言ったのに。黒金貨数枚、白金貨数十枚、金貨銀貨銅貨鉄貨は数えきれないね。とりあえず2、3回人生遊んで暮らせる位あるね。
食料も結構ある。一人なら三年くらいは買わなくていいななんでこんなに貯めたんだろうか?
薬関係も多いなぁ。調合練習にバカみたいに作ったから有り余ってる。まぁ、売らずに取っておこう。
魔石はどうしようか。今は魔法が使えるからこんなには要らないけど、あっても邪魔にはならないからこのままにしとくか。売ってもいいしね。
後は装備(多種多様)、もろもろ生活用品、調合道具、調理関係、素材、魔物の死体、その他いろいろ。
よし!直ぐにでもダンジョンに潜っても余裕だね。特に買い物は必要なしっと。
服は《紫紺の太陽》の制服の黒い軍服風シャツとジャケットがあるけど、まだ着れないね。確実に面倒なことになる。
一般的な冒険者のシャツとズボンでいいか。
さて、装備は何がいいかな。
先ずは〔絶対なる守りを〕のローブ。
これは魔法防御向上最大の補正が付与されてるローブで、黒生地に横に白と水色の線が入っている。アクセントに袖に白いレースがついている【カイン】の頃からのお気に入り。
でもこれを来てたら【カイン】だって一発で分かってしまうから、この上に濃い紺色の〔穏やかな風〕のローブを羽織る。これには、「快適機能」がついていて身体を常に適度な温度に保つことができる。
両方とも薄いから二枚重ねにしても着ぶくれはしないだろう。
二つ合わせて着ると、一つローブに見えるから不思議だ。
でもフードが二つ重なってるのは変な感じ。
靴はローブに隠れるから以前と同じで、〔空駆ける翼を〕にしよう。五回風の足場を作れるという能力が付与されてる黒いブーツ。厚底で足首から膝上まで紐がついた特注品。
後は〔虹色の宝玉〕。
自分専用だけど薬や回復魔法の効果を高めるという補正が付与されてる虹色の宝石がついた指環。これは調合にも効果があり、同じ物でも僕が作った薬は他の人が作った薬より上級になり、効果も高まっている。
もう一つ、〔隠したいモノ〕という隠蔽効果がついてるペンダント。これを頭に付けると魔眼の金色が隠せる。黄金色の瞳は僕以外で見たことがなかった。【カイン】の特徴の一つとして有名だから隠しておいた方がいいだろう。
このペンダントの名前は謎。どういう意図で造られたのかも謎。それしか言えない。
後は剣か。とりあえずミスリルの長剣でも差しとくか。【カイン】の時の愛用の剣があるけれど、ミスリルの長剣でいいかな。
適材適所。
最後に〔血の盟約〕。
古代の魔術が組み込まれた黒い円の中に星形がある魔道具。召喚魔法が使えない者でも、血と魂で契約し召喚できるようになるモノ。
まだ彼等を喚べるだろうか。
明日村を出てから試してみよう。魂の誓約だから大丈夫だと思うんだけど、ムリだったら悲しい……
準備はこれくらいかな。
明日出発だ。
読んでいただいてありがとうございました。




