第二章 21 ロリを追い詰める
「逃がさないわよ!」
乃子はさらに距離を縮めるように、真っ直ぐに最短コースでボードを走らせる。ある程度距離が縮まってくると、埒が明かないと思ったのか、ロリ悪魔は学校の方へ進路を変更した。たぶん建物を利用して逃げようという魂胆なのだろう。
「わざわざ近づいて来るとはね!」
進路が逆転するということは、限りなく距離を詰められるということでもある。追いかけっこで、大きくカーブして走る二人組の場面を想像してみれば分かりやすい。
乃子は彼女との距離をもっと縮めると、再度シューターを腰だめで撃つ。今、ロリ悪魔との距離は十メートルもない。これだけ近ければ、それなりに当てることはできる。
今度は髪よりさらに下の、お尻から太股にかけての一番良い所に着弾する。黒のホットパンツが下地にあることで、カレピヌの白さがより一層際立って見え、そして太股を伝うカレピヌが、とてつもないエロさを放っていた。
うへへ、じゅるり。これはいいぞ~。いいぞぉ~。
もはや内なる衝動、内なる獣を抑えることはできない。あたし女だけど。
「わ、わたしは生きるんだからぁー!! お姉ちゃん……はどうなってもいいからぁー!!」
「うわぁ、言うことはやっぱり悪魔ね!」
姉を売って、自分だけ助かろうとするタチの悪さ。悪魔の鑑ですわ。
「でも逃がしてあげないから! 姉もろとも、あの世へ昇天しなさい!」
これで決めるくらいの勢いで、乃子はシューターの引き金を引いた。唸るような重低音を響かせながら、秒間何発もの速度でカレピヌが銃口から飛び出していく。
カレピヌは、ロリ悪魔の背中から生えている漆黒の翼の左翼に命中した。
「ああっ……!」
彼女は悲鳴と嬌声が混ざったような声を出して、体をぐらりとよろめかせた。しかし、すぐに体勢を立て直して元気を主張するかのように叫んだ。
「ま……まだ、いけるんですからぁー! まだまだぁー……!」
言葉ではまだいけるとは言いつつも、目に見えて彼女の動きにキレがなくなってきていた。距離も近いうえに動きも鈍くなってきていたのでは、もう終わりも近いだろう。だが、慢心してはいけない。最後まで全力で狩る――もとい、全力でぶっかけるのよ。
それからロリ悪魔は、校舎に向かって一直線に進んでいく。ぶつかるのも厭わないかのように、一心不乱に進んでいった。さすがにそろそろ方向転換をしなければ、校舎に激突してしまうかもしれない。
(何をする気……?)
いよいよ乃子が勘繰り始めた時、ロリ悪魔はいきなり下方向――地面の方に向かうようにその進路を変えた。
校舎の壁に触れるくらいスレスレの位置で、彼女は真下に向かって急降下ダイブしていく。
「なるほどね! でも甘いわ!」
おそらくロリ悪魔は、シューターの撃ちにくい所に入ることで逃げるチャンスを得ようとしているのだろう。確かにボードの下側は、体勢的にシューターが撃ちにくいうえに、ボード自体が遮蔽となっていて非常に撃ちにくい。
予想通りに、彼女は急降下をやめて、ボードの下へ飛び込むように移動してきた。
「読めてるのよ!」
乃子はそう言って、ボードに左手をかけて、体ごとそのボードを一八〇度回転させた。天地が逆転し、頭の上にロリ悪魔が来る形になる。
ボードの性能的に、反転したら落下すると思っていたのだが、実際はそうはならなかった。ボードに向きを検知して、リアルタイムに反重力の方向を変更させる機能でもあるのか、その場に留まったままだった。おかげでスカートもバサリと翻っていない。
これは嬉しい誤算だ。落下を考えなくていいのなら、そのまま狙わせてもらおう。
乃子は天地が逆転した状態で、ロリ悪魔に狙いをつけて引き金を引いた。
「それは予想がぷひゃあ!」
乃子の予想外の動きに驚いて声を発したロリ悪魔だったが、その途中でカレピヌが顔面にヒットし、結果として変な声を出すことになってしまった。
無残にも思惑が潰えてしまったロリ悪魔は、踵を返すように再び校舎の方へ逃げ始める。そして今度は降りてきた時とは逆に、校舎の壁面を沿うように昇っていった。しかしその動きには最初のようなキレはまったくなく、むしろふらふらとおぼつかないような感じであった。
「あ……ひ……まだいけまひゅー……! いけみゃす……!」
ロリ悪魔は頬を朱に染めて、ろれつが回らない声でそう言う。まるで媚薬が体中にでも回ったかのような状態である。前々から嬌声を上げたりして、女として感じているかのような素振りを見せていた彼女だったが、カレピヌを顔面に受けてからはそれがさらに顕著になった。
(もしかして、このままぶっかけ続けたら絶頂するんじゃない!?)
待てよ、ひょっとして……。
絶頂させることができたら、退治完了ってことになるのかしら!? レミアはどうなったら退治完了とか詳しく言ってなかったし、その可能性は十分にあるでしょ! もしそうだとしたら……あー、考えただけでも興奮してきたぁ!!
「待ってロリ子ちゃん! お姉さんとイイことしましょう!」
「い、嫌れひゅー……!」
だが追いかける。乃子はもう一度体ごとボードを反転させて体勢を元に戻すと、全力でロリ悪魔を追いかけ始めた。
再び壮絶な追いかけっこが起こ――らなかった。




