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第二章 19 う~ん、素晴らし!

(――よし!)

 乃子は思い切ってスピードを出し、ボードを高く上昇させる。そのまま身を屈めて窓の外に勢いよく飛び出した。一度外の空気を大きく吸い込んで、それから深く吐きだす。

「っ! ん! はっ!」

 思わず息を呑む。そのあまりのことに、思わずあたしは息を呑んでしまった。

 何よこれ。

 体中を、快感という刺激が駆け巡るかのような感覚。味わったことのない、未知の感覚。

「…………き、き!」

 何なのよこれは! 何なのよこれは! ほんと何なのよこれはぁ!!

 空をボードで飛ぶのって……き、き…………――。

「気持ち良すぎるでしょおおおおおぉぉぉぉぉ――――――――っ!?」

 雲一つない快晴の空に向かって、乃子は快感に打ち震えながらこれ以上ないくらいに叫んだ。

「ああ……。よだれ出してアヘりそう……」

 今の自分の顔がどうなっているのかは分からないが、おそらくちょっとひどい顔をしているに違いない。ヒロインにあるまじき顔であろう。たぶんR‐12くらいあるかも。

『いいなあ乃子さん。私も乗ってみたいですー』

「うわっ! 冥狐いたの!?」

 快感に浸りながら飛行していると、冥狐に隣からいきなり声を掛けられた。完全に一人の世界に入り込んでいたため、お化け屋敷で驚かされる並みに驚いた。

「というか、あんた飛べたのね」

 冥狐は空中で寝そべるような格好をして空を飛んでいた。

『そうですよー。私は常に乃子さんの隣にいるように言われていますからね。これくらいはできるようになっているのですよ』

「そうなの。……で、あたしは7時方向なんだけ、ど……」

『……お? あれじゃないですか?』

 冥狐が指差した方向を見ると、ようやく肉眼で悪魔を捉えることができた。

 美少女悪魔はとても露出の多い、とても肌色面積が多い格好をしていた。その服装というのが、ブラジャーに布を少し足した程度の黒の上着に、限りなくパンツに近い形をした同じく黒のホットパンツ、それに黒のニーハイブーツ、そして同様に黒の肘まである長い手袋というものであった。

 それに加えて、悪魔であることを象徴するかのような尻尾と翼、それと捻じれた角を完全装備していた。美少女というのにふさわしい人間的可愛らしさと、悪魔という異形のものが上手く組み合わさった、素晴らしいと言わざるを得ない姿形であった。

「う~ん、素晴らし!」

 これは言わざるを得ない。

『やっぱり乃子さんって、中学生男子みたいな感性ですよね』

「大人だって、子供心とか言うじゃない。それと同じよ」

 上体を傾け、ボードをさらに加速させる。悪魔との距離が近づいていき、その姿がみるみるうちに大きくなっていく。今まで良く分からなかったその顔と体つきも、徐々に鮮明に明らかとなっていくのが分かった。

「ん? もしかして…………」

『お? えっ?』

 そして二十メートルほどまで接近して、ようやく気がつく衝撃の事実。

「ろ、ろ、ろ…………」

『ろ、ろ、ろろろ…………!?』

 ロウソクではない。ロシアでもない。ロンドンでもない。――ロリだ。

「ロリだあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――っ!! いやっふううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅ――――――――っ!!」

『ロリだあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――っ!? いやっほおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ――――――――っ!!

 最近板についてきた、仮にもメインヒロインである乃子の叫び芸がまたも炸裂。今回はセットで冥狐の叫びも付いてきました。お得なセットとなっております。

 前方に存在する、あたしに任された美少女悪魔は、一言で言うなら本当にロリだった。レミアと同じか、それ以上の幼顔をしており、その体も見事なまでの幼児体型。もちろんそんな容姿をした少女が、先ほど言った露出の多い服装をしているのである。

 これはギャップに最高と言わざるを得ない。ロリロリしい少女が、頑張って露出の多い色気のある服装をしてみました、という状況のギャップにである。

「う~ん、最高ッ!」

 最高と言わざるを得ない。おっと、思わず前進するのを忘れてた。

 ――と。

「ひいっ! ごめんなさぁーい!!」

 悪魔との距離が五メートルまで差し迫った時、そのロリ悪魔が急に頭を抱えて、さらに体をくの字に曲げていきなり悲鳴を上げながら謝罪をしてきた。

「えっ!? 何!?」

 予想外の事態に、乃子も少し慌ててしまう。そりゃあ、いきなり幼女(悪魔だけど)に悲鳴を上げながら謝罪されたら、誰だって驚くに決まっている。イエス・キリストだって驚くに決まっている。あたしキリスト教徒じゃないけど。

「何もしませんからぁ! どうか助けてくださぁーい!! わたしはお姉ちゃんたちに連れられて、一緒に来ただけなんですぅー! わたしはこんな危険なことしたくないのにぃ!!」

 ロリ悪魔が頭を抱えたまま、見た目通りの子供のようにさらに泣き叫ぶ。

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