幼年編1
小学校の低学年だった俺は、同級生と一度も遊ばなかった。では誰と遊んでいたかというと、上級生の女の子達である。女の子と遊んでいるような子供は、たいてい、苛められるものだけど、俺は例外だった。なぜなら、俺は上級生の男の子達とも仲が良かったのである。
小学校の五、六年生ともなれば、もう小さな成人男性と呼んでもいいような者達が、ちらほら現れる。彼らは女の子達と関わるために様々な策略を巡らした。そんな彼らが、俺に目をつけたのは、当然と言えるだろう。最初、彼らは、女の子達と縄跳びをしている私に、砂を投げつけるという幼稚な手段で、女の子達の関心を引こうと試みたが、女の子達がそれに不快感を示すと、今度は「俺はとてもフレンドリーなやつなんだぜ」とでも言いたげ顔で、私をサッカーに誘った。彼らが怖かった私は、しぶしぶ、彼らの誘いを受け入れた。
女の子達と仲良くなると、俺をサッカーに誘った腹黒い狐達は、俺の存在を無視するようになったが、サッカーを通して知り合った他の男の子達は、俺をずいぶん可愛がってくれた。俺は思うのだけど、イケメンというのは、異性だけでなく、同性も虜にするものだ。
そんなわけだから、我が同級生達は、上級生に混じってサッカーをしている俺を、遠くから、忌々しそうに見ていた。彼らは、私に危害を加えることはなかったが、打ち解けてくれることもなかった。
そんな、ある意味孤独だった私に、ある日、一人の同級生が声をかけてきた。