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「アレス様!早くしなければ遅刻になってしまいます!走って行きましょう!」
そうカノンが言い、走りだした。
が、自分の限界を振り絞ろうとするカノンの姿が見える。
アレスが10m行けば、カノンは3m弱だ。
あきらかに運動神経が悪いのだろう。
アレスは、急いでカノンのもとに行き問いかける。
「カノン大丈夫か?もしかして運動苦手?」
「まさか運動は得意ですよ?」
カノンは、きっと運動が苦手なのがコンプレックスなのか笑ってごまかそうとしている。
ここは、男としての配慮を見せよう。
「カノン。もし良ければ俺が抱っこして行こうか?」
「えぇ!?」
想像でもしたのかカノンは、顔を真っ赤にして驚く。
「いいですよ!私、重いですし!私を置いて早く行って下さい!」
「・・・全く、世話のかかるお姫様だな。」
アレスが軽々とカノンを持ち上げ、お姫様抱っこ状態だ。
この状態でいそいそと歩いている先頭集団に追いつき、追い抜く。
その間、カノンは恥ずかしそうにアレスの肩に顔をうめていた。