4
「はい、そうですが。」
「ですよね。申し遅れました、奉下カノンと言います。ご存知かもしれませんが、アレス様の婚約者でございます。」
「!!あなたがそうでしたか。私もついこの間、婚約者が要ることを教えられて正直実感がわきません。」
「仕方ないことでしょう。でも、大丈夫です。これから二人で愛を育みましょう。」
愛を育むと言われても・・・。
出会って5秒で婚約者だから結婚しましょうなんて流石に無茶だろう。
現段階で奉下さんのことを何も知らない。
ここは、知り合って間もないのだからお互いのことをまず知ってから結婚についてを話し合おう。
「奉下さん。」
「名前でお呼びください。」
「・・・じぁ、カノンさん。愛を育むことは、結婚するなら当たり前ですがまだ私達には、早い。お互いをよく知ってから、結婚しましょう。その為、まずは婚約者ではなく、恋人みたいな感じのほうが良いような気がするんだが・・・。」
相手を伺いながら聞くと。
「構いません。私は、あなたを愛しています。いつの日か結婚できるのであれば待ち続けます。」
「カノンさん。」
なんて純粋な人なんだろう。
まるで悪を知らない天使のようだ。
そんな彼女と会話をしていたが、よくよく考えてみるとここは桜並木。
つまり、他の生徒の通学路なのだ。
二人の会話は、全て聞かれた。
とりあえず婚約者を見つけたぞ、親父。
まずは、ミッション1をクリアできたことに嬉しく、自分の置かれている立場を理解することができなかった。
鈍感だからこそ、気づかないアレスであった。